更新日: 2018年11月15日

中高層建築物の紛争の予防をめざして

近隣に中高層建築物の計画があり、相談されたい市民の方へ

建築紛争予防条例、その他の内容がわかります

近隣に高い建物が建つ計画があると、日影やプライバシーなどが心配になります。

下記の「冊子」には、このような場合の、近隣住民の皆様と建築主の関係、市の役割や法的な問題などについて説明いたしております。
中高層建築物の手続などにつきましては、「開発指導課のページ」をご参照ください。


関連リンク

建築の規制について

建築する場合にはさまざまな法的規制によって制約を受けています。
これらの規制は、建築基準法をはじめとする公法上の規制と民法による私法上の規制に分けることができます。

公法上の規制

公法上の規制の多くは、都市計画で定められた用途地域に関連しながら、建築基準法により建物の安全(構造、避難規定等)、用途の制限(用途規制)、規模の制限(建ぺい率、容積率規制)、高さの制限(道路斜線、隣地斜線制限等)、隣地への日影時間の制限(日影規制)などの必要な基準を定め、無秩序な建築の防止を図っています。市または民間の指定確認検査機関は、建築主からの建築確認申請を受け、それが法令の規定等に適合しているかどうかを法定期間内に審査し、その結果を建築主に通知します。建築主は建築確認を受けた後でなければ建築工事の着手できません。

私法(民法)上の規制

日照の阻害、プライバシーの侵害、工事中の騒音・振動、テレビ電波障害などの建築計画によるいろいろな問題は、私法(民法)上の問題として扱われ、建築確認において審査する範囲ではありません。したがって建築確認が下りたとしても、その建築計画が私法上の規制にまで適合しているとは言えません。
民法はお互いの権利や利益の調整を図る観点から定められていますので、お互いが了承すれば必ずしもこの規制に従わなくともよく、また、その地域にこの規制と異なる慣習があれば、これに従うもの(民法第236条)とされていますので、建築計画によるいろいろな問題は、基本的には当事者同士の話合いで解決することになります。
 

建築物の建築に伴う影響についての一般的な考え方

日照の阻害について

建築基準法では、「日影規制(建築基準法第56条の2 日影による中高層の建築物の高さの制限)」を設け、中高層の建築物が周囲に生じさせる日影を一定時間内に抑える制限をしています。
なお、「日照権」については、法律上では明文化されておりませんが、日照阻害が社会生活を営む上で、お互いに我慢し合う程度(受忍限度)を著しく超えているときには保護される場合があります。
このような場合に判例では、日影規制の適合性、日照阻害の程度、地域性、損害回避の可能性を基に判断しています。
建築物による日照の阻害については、建築主側に日影図の提出を求め、計画されている建築物によりどのくらいの時間日影になるかを把握し、建築主側と改善方法についてよく話し合ってください。
 

プライバシーの侵害について

民法では、「隣地境界線から1m未満の距離に隣の宅地が観望できる窓や縁側等を設ける場合は、目隠しをしなければならない。」と定めています(民法第235条)。
しかし、プライバシーが問題となるケースの多くは1m以上離れた窓やバルコニー、外廊下であることから実際の解決には両当事者の話し合いによる解決が大切であり、建築主側に対策を求めるばかりでなく、住民側でカーテンやブラインドを設置するなどお互いに歩み寄ることも必要です。
 

工事中の騒音・振動について

建築工事にともなう騒音・振動に関する法的な規制として、特定の作業による工事上の騒音・振動については、騒音規制法及び振動規制法がありますが、通常の作業についての規制はありません。このため、工事の規模や周辺の状況等により騒音・振動の影響が大きくなると考えられる場合は工事協定を締結し、その中で作業方法や作業時間、工事用車輌の通行時間、施工に伴う家屋等の被害が生じた場合の損害賠償等について取り決めておくことがよいでしょう。

【工事協定書(例)】

テレビ電波障害について

中高層の建物や大規模な建物によりテレビジョン放送の電波の著しい受信障害を生ずる場合は、建築主がその対策を講ずるよう定めています。

10mを超える建築物については事前にテレビ電波の障害予測調査を行っておりますので建築主側に調査結果の説明を求め、障害が発生した場合の対策を話し合っておくことがよいでしょう。

眺望の阻害について

景勝地などのように、その眺望が特別の価値を持つと裁判で認められた例外的なケースのほか、眺望の阻害を理由として工事の差し止めを認めた例はありません。建築主側にもその土地を有効に利用する権利があることから、市街地では、住居からの眺望の確保を理由として、法的に保護を求めることは無理があると考えられています。

隣地境界線からの離れについて

民法では、「建物を建てる場合には敷地境界から50cm以上離さなければならない。(民法第234条)」と規定していますが、「地域にこの規定と異なる慣習がある場合は、その慣習による。(民法第236条)」ことになっています。
また、建築基準法では、隣地境界線から一定の距離を離すという規定はなく、「防火地域又は準防火地域内にある建物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。(建築基準法第65条)」と規定しております。
しかしながら、隣地境界と建物との距離が狭い場合は建物の建築や修繕のための足場を越境して組む必要が生じ、隣地所有者の承諾が必要となります。相隣関係が崩れると、このような話し合いも円滑に行えなくなる可能性がありますので、建築主側とよく話し合ってください。

風害について

建築物による風への影響については、地形や周辺建物の状況等により複雑に左右されるため、被害が発生するかどうかについての予測は困難です。このため、風害が心配される場合は、計画建物の周囲に防風効果のある樹木を植えたり、将来具体的被害が生じた場合の補償を工事協定等に盛り込んでおくという方法が一般的です。

近隣の同意と建築確認申請について

建築行為については、建築基準法をはじめ、さまざまな建築に関する法令により規制を受けていますが、近隣の住民の同意を義務づけた規定はありませんので、建築計画が法的要件に適合すれば、同意がなくても法的には建築が可能です。

市による建築紛争の調整

当事者同士の話し合いが基本です

市川市では、事前に建築計画や工事概要についての説明を行い、近隣住民の方々へ適切な情報を提供し、理解を得ておいていただきたいとの考えから、「市川市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」により、建築主に標識設置と近隣住民への説明を義務づけております。
説明を受けた上で、その内容について質問や要望があれば、建築主と話し合って下さい。合意に達した場合は、覚書や協定書を締結するとよいでしょう。
当事者間での自主的な話し合いによる解決が困難となった場合に、市は、「あっせん」「調停」という紛争の調整を図る制度を設けております。

「あっせん」

紛争当事者双方からの申し出があった場合に、市職員が話し合いの場を設け、双方の主張を明確にし、必要に応じて助言を行うことにより、紛争の解決を図ろうとするものです。

「調停」

「あっせん」によっても紛争の解決に至らなかった場合に、双方からの申し出により、法律や建築の専門家で構成する「市川市建築紛争調停委員会」が中立かつ専門的な立場から調停案を作成して、紛争の解決を図ろうとするものです。

なお、市による調整は当事者間の民事上の話し合いの延長線上にあり、裁判所のような強制力はありません。

市川市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例あらまし
(紛争の予防と調整に関する条例、及び施行規則もこちらからご覧になれます。)

市では一般的な相談窓口として、弁護士による法律相談(予約制)、建築行政相談員による建築相談を行っております。
詳細は、総合市民相談課へお問合せください。TEL)047-334-1002

裁判所による建築紛争の調整

民事調停について

簡易裁判所及び地方裁判所で行う調停は、裁判官と民間から選ばれた2名の民事調停員とで構成する調停委員会が行います。ここでの調停が成立すれば、その内容を記載した文書(調停調書)は裁判の確定判決と同様の効力を持ちます。また、公開が原則である裁判とは違い、秘密が守られ、経費も安く利用できます。

・調停手続きについての問合せ先
 市川簡易裁判所
 〒272-8511市川市鬼高2-20-20
 (TEL)047-344-3241

このページに掲載されている
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市川市 街づくり部 開発指導課

〒272-8501
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