永井荷風

永井荷風(1879~1959)

外部リンク

永井荷風作品の電子テキスト(青空文庫)
永井荷風の市川関連作品をWeb上で読むことができます。

略歴

荷風著作

東京文京区生まれ。小説家・評論家・フランス文学者。耽美主義の反自然主義文学の中心的作家。

1898(明治31)年、20歳で広津柳浪の門弟となる。

1903(明治36)年、24歳で渡米。フランスを経て1908(明治41)年に帰国し、『あめりか物語』『ふらんす物語』を発表、さらに1909(明治42)年江戸情緒的な風俗小説『すみだ川』を発表した。 1910年に、森鴎外・上田敏の推薦で慶應義塾大学文学部の教授となり、文芸雑誌「三田文学」を創刊し、自然主義の「早稲田文学」と対立した。また谷崎潤一郎の作品を認め、同じ耽美派の後進として引き立て、文壇に登場させた。

1916年(大正5)年、37歳の頃、慶應を辞し三田文学からも離れる。その後、余丁町(現在の新宿区)に移り住み、そこを「断腸亭」と名付けた。『断腸亭日乗』を綴り始めたのは1917年(大正6)年9月頃である。1920(大正9)年、麻布市兵衛町(現在の港区六本木)に新築した『偏奇館』へ移り住む。

1952(昭和27)年には文化勲章受章。

市川市との関係

荷風イラスト2

1946(昭和21)年1月より市川市に移り住み、1959(昭和34)年4月30日に亡くなるまで、約13年間に渡り、市川に住む。

この間、4回ほどその住まいを変えている。はじめは、菅野の大島一雄(杵屋五叟)方。1947(昭和22)22年1月に、菅野のフランス文学者・小西茂也方。1948(昭和23)23年12月、菅野1124番地[現在の東菅野2-9-11あたり]に18坪の家を購入し移転、最後は1957(昭和32)年に、終焉の地となった八幡4丁目1228番地[現在の八幡3-25-8あたり]に家を新築して転居。

荷風の作品には、市川周辺の風物が描かれた作品がいくつかある。例えば「来訪者」「或夜」「羊羹」「畦道」「にぎり飯」「買出し」「葛飾土産」など。これらの作品は、『葛飾こよみ』(毎日新聞社 1956)として発刊された。また当時の生活を最もよく表しているのが「断腸亭日乗」という日記である。『葛飾こよみ』に収録された「荷風戦後日歴」第一・第二は、戦後混乱期の市川の様子を知る上でも、貴重な文献と言える。

没後50年 パブリック・ドメインに

著作権法51条2項にあるように、著作物の権利は、著作者の死後50年を経過するまでの間、存続します。著作物が創作されてから、作者の生存期間およびその死後50年までは著作権の保護期間といいます。50年を過ぎると、著作権が消滅することとなり、その創作物は、パブリックドメイン(著作権が発生していない状態)に帰すこととなります。

永井荷風の場合は、1959(昭和34)年4月30日に亡くなっていますので、著作権の保護期間が2010(平成22)年1月1日でなくなりました。今後は、荷風の作品も、インターネット上で読むことができたり、作品の複製や再配布等が自由にできるようになります。

「市川の文学」著作権が消滅した作家リスト

外部リンク
永井荷風作品の電子テキスト(青空文庫)

荷風をめぐる人々

荷風をめぐる人々1:身近な人々は語る

  • 杵屋五叟 (1906~1957) 邦楽家
  • 正岡 容 (1904~1958) 芸能研究家
  • 小門勝二 (1913~1977) 新聞記者、荷風研究家
  • 相磯凌霜 (1893~1983) 鉄工所重役
  • 猪場 毅 (1908~1957) 俳人

荷風をめぐる人々2:市川ゆかりの人々が「荷風」を語る

  • 幸田露伴 (1867~1947)、幸田文 (1904~1990)
  • 吉井 勇 (1886~1960) 歌人
  • 和田芳恵 (1906~1977) 小説家
  • 吉田機司 (1902~1964) 医師・川柳作家
  • 水木洋子 (1910~2003) 脚本家
  • 長谷章久 (1918~1985) 文学研究家
  • 安岡章太郎 (1920~) 小説家
  • 五木寛之 (1932~) 小説家

荷風をめぐる人々3:荷風を訪れた著名人は語る

  • 森鴎外 (1862~1922) 小説家、森於莵 (1890~1967) 解剖学者
  • 谷崎潤一郎 (1886~1965) 小説家
  • 久保田万太郎 (1889~1963) 小説家・劇作家
  • 堀口大學 (1892~1981) 詩人
  • 佐藤春夫 (1892~1964) 詩人・小説家
  • 花柳章太郎 (1894~1965) 俳優
  • 川端康成 (1899~1972) 小説家
  • 林芙美子 (1903~1951) 小説家
  • ドナルド・キーン (1922~) 日本文学研究家

荷風をめぐる人々4:荷風を訪れた編集者は語る

  • 佐藤観次郎 (1901~1970) ジャーナリスト
  • 臼井吉見 (1905~1987) 評論家
  • 小田切進 (1924~1992) 文芸評論家
  • 半藤一利 (1930~) ジャーナリスト

荷風研究家:小門勝二(1913~1977)

中央図書館の正面ゲート左手のガラス展示ケースでは、小門勝二さんの私家版による著作を展示しています 。(終了しました)

※開催時期:2009年9月

2009年展示概観

東京生まれ。本名は小山勝治。日本新聞協会新聞学院卒業後、毎日新聞記者を経て著述生活に入り、永井荷風研究家・随筆家として知られている。

『断腸亭日乗』によると彼の荷風訪問は、荷風の死までつづけられていたことが記されている。荷風が同書で「東日記者小山氏」と書いているのは、東京日日新聞の記者だったことによる。1959(昭和34)年5月3日の朝日新聞朝刊に荷風の葬儀の模様が記事になっており、葬列の写真に小門勝二氏の姿も写っている。

2009年展示概観2(写真画像)

小門勝二氏は、1957(昭和32)年以来、十数年にわたって永井荷風について書き続け、40冊ほどの本を、すべて少部数の私家版として出版した。これらは知人等に頒布されていたため、 古書店にもほとんど顔を出さないものが多い。市川市中央所蔵の『荷風散人傳 私家版』全5巻もそのひとつである。

  • ※中央図書館では、古書店を通じてこれらの貴重な資料を収集し、保存及び利用者の貸出にも供しています。

市川市立図書館の小門勝二著作の所蔵リストは以下よりご確認ください。

所蔵検索を著者名「梶山俊夫」で検索する

市川・荷風忌

2009(平成21)年は、市川を終焉の地とした文豪・永井荷風の生誕130年・没後50年の年に当たります。この記念すべき節目に、市川市民が発起人となって「市川・荷風忌」を毎年開催しています。

(以上、文化振興課の作成したページへのリンク)

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