更新日: 2022年7月5日

いちかわの四季 Diary

2022年7月

野鳥たちは子育てに大忙し <ヒナを拾わないで>

※※本日は、市川市生活環境整備課 自然環境政策専門員の鈴木弘行よりお届けいたします※※

初夏、野鳥たちは子育てに大忙しです。
市役所第二庁舎隣の勤労福祉センターの非常階段の隙間で、イソヒヨドリの子育てを観察することができました。イソヒヨドリは、ヒヨドリぐらいの大きさで、オスは背が青、腹は赤褐色のオシャレな羽色、メスは全身灰褐色で、ヒヨドリによく似ています。主に海岸に生息する鳥でしたが、近年、少数が内陸部で見られるようになり、繁殖するようになりました。市内でも市民モニタリングの調査員さんから、目撃情報がいつくか寄せられていましたので、近いうちに繁殖が確認されるだろうと期待していました。

エサをねだるイソヒヨドリのヒナとメスの写真
エサをねだるヒナとメス
イモムシを運んできたイソヒヨドリのオスの写真
イモムシを運んできたオス
カナヘビを運ぶイソヒヨドリの写真
カナヘビを運ぶ
ヤモリを運ぶイソヒヨドリの写真
ヤモリを運ぶ
エビを運ぶイソヒヨドリの写真
エビを運ぶ
ヒナのフンを運び出すイソヒヨドリの写真
ヒナのフンを運び出す

ヒナが生まれると、親鳥がヒナ達のために餌をせっせと運ぶ様子を観察することができました。 餌はケムシや芋虫、ハチの仲間などの昆虫類が多かったのですが、カナヘビやヤモリという大物を捕らえてくることもありました。どのように捕まえたか分かりませんが、エビを運んできたこともありました。イソヒヨドリの捕らえた生きものから、周辺にこれらの生き物が生息できる多様な環境があることの証明となり、嬉しい発見でした。

スズメのヒナの写真
スズメのヒナ
ツバメのヒナの写真
ツバメのヒナ
ヒヨドリのヒナの写真
ヒヨドリのヒナ
カワラヒワのヒナの写真
カワラヒワのヒナ
カルガモの親子の写真
カルガモの親子
バン親子の写真
バン親子

他にも様々な野鳥たちが子育てに大忙しです。巣立ったばかりのヒナたちは、上手く飛べず地面に落ちたりしますが、近くでは親鳥が必ず見守っています。私たちは手を出さず、そっと見守りましょう。

2020年8月

巨樹に会いに行こう(常緑樹編)

  2002年3月に発行された巨樹に会いにいこう―市川市巨樹・巨木林調査報告書―という冊子があります。今から20年近く前の報告書です。
 「巨樹」とは、一般に地面から1.3メートル地点の幹周(太さ)が3メートル以上のものをさしています。当時の調査の結果、市内には約200本の巨樹が確認され、常緑樹と落葉樹の比率は、ほぼ半々でした。無くなってしまった巨樹もありますが、多くの巨樹は地域の皆さんに見守られて、現在でも健在です。
 木陰はとても涼しく過ごせるクールスポットでもあります。まだまだ暑い日が続きますが、地域の歴史を刻む巨樹に会いに行ってみましょう。
 今回は常緑樹編ということでいくつか紹介します。

【国分2丁目のスダジイ】交通:市川駅から京成バス「国分角」下車、約350メートル
 
国分2丁目スダジイ 国分2丁目スダジイ
見事な樹形のスダジイ ベンチとイスが置かれている

国分寺のある国分台地の東側に位置する斜面林にはスダジイの巨樹が何本かありました。無くなってしまったものもありますが、地元で雷神木と呼ばれている1本のスダジイが残っています。赤い鳥居のある小山の上にあり、根元には小さな石祠(せきし)があります。
白幡神社(宮久保四丁目)のスダジイ】
白幡神社スダジイ[1] 白幡神社スダジイ[2]
歴史を感じさせる独特な樹形 地際から何本にも分かれる

【木内ギャラリー(真間四丁目)周辺のクスノキ】
木内ギャラリークスノキ 木内ギャラリークスノキ[2]
クスノキの巨樹が多い 空を覆うクスノキの枝葉
 
【子安神社(柏井町三丁目)のスダジイ】
子安神社スダジイ 子安神社スダジイ[2]
街道沿いに立つスダジイの巨樹 空洞から生えるモッコク

神社の入口に立つスダジイは幹に空洞も見られ、老木の貫禄十分です。上部の幹の空洞からはモッコクが伸びています。鳥によって運ばれた種から芽生えたものでしょう。参道の両脇にも大きな樹木が生えています。

【里見公園(国府台三丁目)のシラカシほか】
里見公園[1] 里見公園[2]
市川市最高標高地点近くのシラカシ巨樹 タブノキとスダジイの合体木
里見公園[3] 里見公園[4]
林床にはスダジイの落葉 堤防から見た里見公園の照葉樹林帯

2018年12月

鴨ウォッチング「じゅん菜池緑地の今昔」

※※※ 本日は、市川市自然環境課 自然環境政策専門員の鈴木 弘行よりお届けいたします ※※※

 じゅん菜池緑地の池には、毎年多くのカモがやってきます。しかし、昔と今では様子が違います。
 
2003年1月
2005年1月
写真は2003年と2005年のものです。多くのカモが写っていますが、目立つのはオナガガモというカモです。白い鳥はユリカモメです。オナガガモとユリカモメは人が与える餌に集まる傾向があり、当時、多くの来園者がパンなどを与えていたと思われます。

2018年12月
サイン

今でもカモはたくさんいます。2018年12月に調査したところ、7種類237羽が確認されました。カモへの餌やりが減ったおかげで、カモ達の本来の生活を見ることができます。
陸に上がって餌をねだるカモはおらず、中之島周辺や陸から少し離れた水面などにいます。多くのカモ達は首を曲げて頭を身体に突っ込んで寝ているように見えます。カモのほとんどは夜行性で、昼間は主に休息にあてているのです。
日が暮れると餌場に飛んでいきます。じゅん菜池のカモ達の餌場は主に江戸川です。この冬、カモ達の自然の生活をウォッチングしてみましょう。
 
常連のカモ達 

池では何種類ものカモが見られます。雄はその種独特の美しい羽色をしているので見分けは簡単ですが、雌は茶褐色で似ているため見分けが難しいかもしれません。高い確率で見られる6種類を紹介します。

ヒドリガモ(雄・雌) オナガガモ(雄・雌) ハシビロガモ(雄・雌)
コガモ(雄) マガモ(雄) キンクロハジロ(雄)
 
出会えたらラッキーな珍しいカモ達

毎年見られるわけではありませんが、数年に一回くらいの確率で飛来します。出会えたらとてもラッキーな3種類を紹介します。
オシドリ(雄) トモエガモ(雄) ミコアイサ(雄)

 

2017年 3月

下も向いて歩こう

いよいよサクラも開花宣言と思いきや、冷たい雨と真冬の風で、ツボミも冷蔵保存されているような市川市です。
あたたかい春が待ち遠しいけど、この寒さは、入学式までなんとかサクラを残そう!という自然の粋なはからいのような気もちょっとします。

華やかなサクラを見上げて、真っ青な空とピンクの花のコントラストを楽しむのは春の楽しみです。
しかし、足元の花たちも春の訪れで精一杯はなやかな色をまとっていました!
左からオオイヌノフグリ、カラスノエンドウ、キンラン
オオイヌノフグリ、カラスノエンドウは皆様も「そういえばよく見かける」という方が多いのではないでしょうか。
江戸川の河川敷などでもたくさん見られます。
キンランは北部の里山などに自生しています。黄色いつぼみが可憐ですね。

しかし、こんなおなじみのお花以外を今回は紹介したいと思います。
一番左は「キュウリグサ」
葉っぱをもむとキュウリのような香りがすることが名前の由来です。
小さな、とても可憐なお花ですがキュウリの香り。
花言葉は「真実の愛」

真ん中は「ハナニラ」
別名は「ベツレヘムの星」で、原産国はアルゼンチン。
明治時代に園芸植物として導入されたものが、広まって帰化しているものです。
綺麗な見た目、美しい別名なのになぜ「ニラ」かというと、
葉っぱがニラとかネギの香りがするのです。
ちなみにニラの花は食べられますが、この「ハナニラ」は食べられません。
花言葉は「耐える愛」

一番右は「タネツケバナ」
水辺などに多く自生しています。やわらかい野草で、七草がゆに入れる「ナズナ」に間違えられる例も多いそうですが
毒はなく、食べられるので問題はないそうです。
花言葉は「父の失策」
花言葉っておもしろいですね。
  
左からタチツボスミレ ハルジオン ホトケノザ


多くの人たちが見上げるサクラの足元で、目立たなくても、それぞれの色を身にまとっている春の野草たち。
都市化されてても、季節の中で、市川市なりの自然は確かにあるのです。

名前を知られてなくても、色が地味でも、たくさんの種類があって、
鳥や虫の餌になったり、人間の歩く足元がふかふかになったり、時には美しさに足をとめたり。
草や樹だけではなく、どんな生きものでもきっとそんな役割があるはず。

人間も生きものの一員で、たくさんの生きものと市川市にいます。
そんなことを考えながら、ちいさな野草でお花見をする春です。

もうすぐ、春爛漫です。
 

2017年 1月

酉年 冬鳥に逢いに

※※※本日は、市川市自然環境課 自然環境政策専門員の鈴木 弘行よりお届けいたします※※※


新年明けましておめでとうございます。

2017年の干支は酉(とり)ですね。「酉」という漢字は「果実が成熟の極限に達した状態」を表しているとされるそうです。
もともと十二支の子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥には動物の意味はなく、庶民でも覚えやすいよう、身近な動物を当てはめたようです。
「とり」には「にわとり」が選ばれていますが、今回は市内で冬に見られる野鳥について紹介します。  

野鳥たちの目に、市川市の自然環境はどう映っているのでしょうか?

市内には林(里山)が多く残されています。多くのボランティアの皆さんの活動により、下草管理などの環境管理がされている里山では、植物・昆虫等の生きものも多様となり多くの野鳥も見ることができます。



里山や、緑豊かな公園で出会える野鳥
左から、ルリビタキ、トラツグミ、アカゲラ
左から、アトリ、ヤマガラ、シメ

都市においては何処でも、草地的な環境が減少しています。
市川市では西端に江戸川が流れ、河川敷を有するため恵まれているといえます。
また、国分川調節池や大柏川第一調節池緑地もヨシやヒメガマなどを中心とした草地が保存され、水鳥を含む多くの野鳥で賑わいます。



河川敷・調節池などで出会える野鳥
左から、オオバン、タシギ、クイナ
左から、ヒバリ、セッカ、ノスリ



また、住宅街でも冬になるとメジロ・ツグミ・ウグイス・シジュウカラなどの野鳥がよく観察されるようになります。 
市内の自然を代表するいくつかの場所の鳥類調査を実施していますが、冬に多くの種類の野鳥が生息していることが確認されています。

月毎の鳥類の観察種類数のグラフは、こちらをご覧ください。(Excelファイル 66KB)


市の南部には海もあります。
これらの水域にも、冬には多くの水鳥が飛来しています。 
(参考)→→ 2015年 12月22日 鳥達に会いに


ご紹介してきたように、市内には里山(林)や草地、海、河川、調節池など様々な自然環境があります。
このように自然環境の多様性があるということが、とても大切です。
それぞれの環境を好む様々な野鳥が生息するからです。

市川市の自然環境は野鳥たちから見て、とても魅力があると言っていいと思います。
今冬は冬鳥が特に多いようです。寒い日が続きますが、バードウォッチングには最適の季節です。
酉年の2017年!市内の冬鳥に会いに出かけてみましょう!


 

2016年 11月

秋の色々

真夏日の毎日が終わったと思ったら、雨の毎日そして11月の雪など、
まるで秋がなかったかのような今年の市川市ですが、
それでも自然はルーティンどおりに「秋の色」を我々に見せてくれています。
黄~橙~赤。さまざまな色が街を彩っています。
ハゼノキ
ナツヅタ
イチョウ
さて、あらためて何故緑色だったはっぱが赤くなるのでしょうか?
よく考えてみると不思議です。


【紅葉の仕組み】
・葉の細胞には葉緑体という光合成をおこなう器官があります。この葉緑体の中には緑色のクロロフィルと黄色のカロチノイドという色素があります。
・光合成をおこなっている春~夏には、カロチノイドがクロロフィルの緑色に隠れてしまい葉は緑色に見えます。
・秋が深まり気温が低くなると、クロロフィルは分解されてしまい、カロチノイドが目立ってくるため、黄色に変化していきます。
・赤く色づく葉には、黄葉とは違った仕組みがあります。紅葉はアントシアニンという赤色の色素によって起こります。
・黄葉のしくみに加えて、葉の細胞中にあった糖分がアントシアンという赤色の色素に変わります。こうして黄色と赤色の色素があるので葉が赤く見えます。

この仕組みに加えて、

【綺麗な紅葉になる3つの条件】
・日中の天気がいいこと
・昼と夜の寒暖の差があること
・適度な湿度があること。 今年はちょっと違う日も多いけど、これは秋の天気の典型ですね。

 
左から、ブルーベリー、ザクロ、カツラ(すべて市川市内での撮影です。)

さまざまな葉っぱがクロロフィルとか糖分とか、カロチノイドとか・・・
いろいろああなってこうなって、色を変えています。

歩く速度をすこし遅くして、いまだけの木々の色々を見てみてはいかがですか。



 

2016年 5月

ニューフェイス

最近道端で、よく見かけるようになったとおもいませんか?
写真はナガミヒナゲシという名前の植物です。
はじめは園芸種で日本に持ち込まれ、その種が運ばれて道端でどんどん増えているようです。
とても綺麗なお花ですが、この花が咲いていた場所にはどんな草が生えていたんだっけ、と考えても思い出せません。

多分人間からみたら「雑草」だったので覚えていないのでしょうが
もしかすると、その雑草を食べたり、蜜を吸ったり。その草に生かされていた昆虫がいたかも。。

こうして、急にやってきたものが大きな顔をして、ずっと居た様な感じになる。
そのものが華やかであればあるほど、その陰で追いやられるものは忘れられるけど
追いやられたものと、追いやられたものに生かされていたものはひっそりと居なくなるのです。
 
というようなお話のことを、わかりやすく一言で言うと「外来種」です。
外来種の定義を考慮すると、ペットや家畜、園芸植物などのほとんどの生物は広い意味での外来種といえますが、
導入される外来種がすべて定着するわけではなく、実際に野外へ定着して分布を拡大させる生物(いわゆる侵略的外来種)が問題となります。
外来種が野外に定着する過程で、日本の在来種の生息環境を脅かし、駆逐してしまうことが問題となります。
上の写真は左から、アカボシゴマダラという蝶。
おそらくは人為的に放されたものが広く定着してしまった例です。
在来種との競合が懸念されています。


中はオオキンケイギク。一時、高速道路の緑化に用いられたため、全国的に繁殖しています。
繁殖力が強く、森林の環境下でも定着できるといわれています。
環境省もリーフレットをつくって啓発しています。

オオキンケイギク拡散防止のリーフレットはこちらをご覧ください。(PDFファイル 601KB)


右はご存知ミシシッピアカミミガメ、通称ミドリガメです。
こどもはこんなにカワイイので、お祭りなどでも売られていましたが、
飼いきれなくなった人が河川や池に放したなどの理由で、爆発的に増え、
市川では、日本在来種のイシガメはほとんど見られなくなっています。

 
そして、このハクチョウ、日本にもともといた種類ではなく、シベリアに渡っていく種類でもない「コブハクチョウ」といいます。
ほんとうにかわいくて心なごむ様子ですが、
日本古来の種を守るという観点では、残念ながら積極的な保護をするというわけにはいきません。
かといって、今のところじゃまにするわけではありません。

しかしながら、たくさん貼られている注意喚起を無視して、餌やりをする人などが多くなると、ハクチョウの外敵であるカラスが活気付いてしまいますし、
外来生物であるミシシッピアカミミガメも大喜びします。
結果的にとても生態系に悪影響を及ぼします。
そのような方がふえると、保護とは反対の方向に動かざるを得ないケースもでてくるかもしれません。

コブハクチョウやミシシッピアカミミガメはかわいいし、オオキンケイギクやナガミヒナゲシは綺麗です。
しかし、かわいい、綺麗だけではない事情もちょっとあるんだな~~と、ご理解いただければ幸甚に思います。

 

2016年 3月

蝶舞う季節

 行ったり来たりの季節が、ようやく春に届こうとしています。
  花が咲けば、そこにあつまるいきものも動き出してきます。
 
 代表的なのは、チョウ。
  春になると見かけるようになるけれど、彼らは冬どうしているのでしょうか??

 卵のまま、幼虫のまま、さなぎのままなどでの年越しは想像できますが、
   なかには成虫のまま、あの姿のまま冬を越すチョウもいるそうです。
   冬の間は、葉の裏や、枯れ草の間などで春を待っているそうです。
   
   しかし、成虫で越冬するのはかなりのリスクもあり、
  春を待たずに死んでしまうものも居るそうです。

 冬を乗り越え、無事に春を迎えたチョウたちが飛び回る季節になりました。
   市川で見られる成虫越冬のチョウをいくつかご紹介いたします。
左ムラサキツバメ 中ムラサキシジミ 右ウラギンシジミ
左アカタテハ 中ヒメアカタテハ 右キタテハ
左ルリタテハ 中ヒオドシチョウ 右キタキチョウ
ところで、皆様画像をご覧になり、気になっておられると思いますが
「ガ(moth)」と「チョウ(butterfly)」の間に、学術的な違いは無いそうです。

市内で、これらのチョウに出会ったら
「ようやく春が来たね!寒さに耐えてよく頑張った!!」と、あたたか~い気持ちになっていただければ幸いです。



 

2015年 12月

22日 鳥達に会いに

冬を越すためにたくさんの水鳥たちがやってくる、三番瀬(東浜)に来て見ました。

スズガモがすごくたくさん居ます!毎年数万羽が飛来するそうです。
スズガモはおもに貝類を食べるので、冬の間、数万羽のスズガモを支える貝類が、ここ東浜にはいるのですね。
スズガモのほかにもオナガガモやヒドリガモなど、カモ類がたくさん見られます。


チドリの仲間「ダイゼン」「シロチドリ」がいます。あの「千鳥足」の由来になった鳥です。
少し歩いては止まって方向を変え、また少し歩いて止まって方向を変え、ジグザグな歩きをします。
繁華街に出没する人間と同じような歩き方ということですが、鳥たちはあんなによたよたはしていません。。。
左 スズガモ 右 オナガガモ
左 ダイゼン 左 シロチドリ


このはっきりした色合いが可愛い鳥は「ミヤコドリ」 
白と黒の体にオレンジ色のくちばしがとっても目立ちます。
三番瀬には毎冬、300羽以上が飛来します。日本にやってくるミヤコドリは600羽前後くらいと推定されますので、なんと日本に来る個体の半数以上が東浜にいる事になります。
他の地域ではなかなか見られない珍しい鳥が見られる東浜です。

ちなみに、日本の古典文学に登場する「都鳥」とは、ユリカモメを指すとする説が有力だそうです。
左 ミヤコドリ 右 ユリカモメ



海から空に目を上げてみましょう。
ハヤブサが現れました。
たくさんの鳥達を狙っているようです。肉食系なのです。

ミサゴは猛禽類ですが、魚だけを食べます。
ミサゴたちの餌になる魚もたくさんいる、東浜です。


冬の海というと寂しげですが、東浜の冬は鳥たちや、鳥たちをささえる貝や魚でいっぱいです。
温かくして、みんなに会いに出かけて見ませんか??


今年一年間「いちかわの自然Diary」をご覧戴き、ありがとうございました。
来年も宜しくお願いいたします。
 
左 ハヤブサ 右 ミサゴ

2015年 10月

6日 秋を探しに江戸川へ

10月に入り ずいぶんと秋らしくなりました。
里見公園周辺の江戸川の河川敷に出かけてみましょう♪


河川敷では、オギの穂が風に揺れて、きらきらととても綺麗です。
オギとススキはよく似ていますが、オギが湿地帯などに生えるのに対して、ススキは乾いた土地に生えます。

セイタカアワダチソウも黄色い花を咲かせ始めました。
日本名は「代萩」
昭和40年代には日本各地で大繁殖しましたが、平成に入って以来勢力が衰え、繁殖地も減っているようです。

秋の七草のフジバカマは最盛期を過ぎましたが、まだ蜜を求めて多くの蝶が訪れています。
この写真では「ツマグロヒョウモン」というチョウが来ています。

1980年代までは、日本でも関西以西でしか見られないチョウでしたが、最近では関東でも普通に見ることが出来ます。
フジバカマの蜜を吸っています。
このチョウの幼虫は、スミレ科の植物が大好きで、パンジーやビオラなどを食べるそうです。
左から、オギ セイタカアワダチソウ フジバカマとツマグロヒョウモン



その他にも、キンエノコロ、ゲンノショウコ、ハッカなどさまざまな野草を見ることが出来ます。

ゲンノショウコ、ハッカは薬草としてお聞きになった事のある方も多いと思います。
この耳慣れない「キンエノコロ」は、ヨーロッパ原産と言われていますが、日本には何と最終氷期から自生しているとの事!!

氷河期からずっとおなじようにおなじような穂をつけているキンエノコロ。
このふさふさにロマンを感じてしまったのは私だけでしょうか!?


このオニグルミは、ずっとずっと上流。
江戸川を越えて、利根川上流群馬県のほうから流れ着いた実が、江戸川河川敷で発芽して成長したものです。
木の周りには、ジョロウグモの巣が張られ、、巣には一匹のメスと1~数匹のオスを見ることができました。
この巣では、メスの争奪戦が行われているようです。
巣によってはオスメス1匹ずつだったり、オスがいなかったり、、人間界と変わらない様子があるようですね。
左から キンエノコロ オニグルミ ジョロウグモ





アキアカネ(赤とんぼ)もたくさん飛んでいます。
アキアカネは、他のトンボとちがい、休むときに少し翅を下げるのが特徴です。

土手の草原では、トノサマバッタやコバネイナゴ、ショウリョウバッタなどのバッタ類もたくさん生息しています。

「キィー キィー キチキチキチ」
秋の風物詩ともいえるモズの高鳴きも聞こえてきます。


ちょっと歩いただけで、たくさんのいきものに出会えました。
皆様も秋の河川敷に出かけてみてはいかがでしょうか♪
 

左から アキアカネ コバネイナゴ モズ


2015年 8月

14日 外来種の取り扱いにご注意を!

夏真っ盛りです!いくらなんでも盛り上がりすぎの気温も、ようやく少し落ち着いてきましたでしょうか。
 
夏休み中は、ハイキングやキャンプにお出掛けになる機会も増えると思います。
自然の中で生きものたちと触れ合うことは、とても楽しいものです。
 
ここで、ご注意いただきたいのが、日本で昔(だいたい明治以前)には、見る事の出来なかった「外来種」の生きもの達の扱いです。
例えば、水辺にいるアメリカザリガニ、池や川で釣れるブルーギル
また、縁日などで購入することができたミドリガメ(アカミミガメ)。
アメリカザリガニ
ブルーギル
アカミミガメ
 これらはすべて外来種です。
外来種が侵入すると、地域に昔から暮らしていた生き物たちが影響を受けてしまいます。
 
外来種を捕まえたら、決して他の場所に放したりしてはいけません。
その場で放すことをおすすめします。
もし、外来種を飼っている方がいらしたら、飼い続けていただく(終生飼養)ことをお願いします。

外来種がいたとしても、すべて見つけて処分しなくてはならないということは、現在のところ例外(「特定外来生物」のアライグマ)を除いてありません。

外来種を「入れない!」「捨てない!」「拡げない!」ため、ご理解とご協力をお願いします。
           
なお、外来種についての詳しい説明は「移入 外来種対策」のページをご覧ください。
 
 
※ちなみに、このありがちな黄花コスモスのような「オオキンケイギク」も外来種です!!

2015年 7月

28日 大町自然観察園の夏の昆虫たち

※※※本日は、市川市自然環境課 自然環境政策専門員の鈴木 弘行よりお届けいたします※※※

市川市の北東部にある大町自然観察園は、谷津の地形をそのまま残した場所です。池や小川もあるので、トンボの仲間をたくさん見ることができます。
特にオニヤンマの数は多く、上空を舞ったり、小川をパトロールする様子が観察できます。時には林縁の枝にぶらさがって休んでいることがあります。
その他にもギンヤンマ、ウチワヤンマ、シオカラトンボ、ショウジョウトンボなど、10種類以上が見られます。また、人気者のカブトムシやクワガタも園内の木々で見られます。
また、チョウやバッタの仲間、カマキリなどたくさんの昆虫が見られる昆虫天国です。木陰は涼しく過ごせるので、快適です。是非、この夏に出かけてみてください。
なお、大町自然観察園は採集禁止となっています。自然の状態の昆虫たちの生態をじっくりと観察してみて下さい。

大町自然観察園(動植物園入り口右手奥)→ → 動植物園のアクセスはこちら



左 大町自然観察園の風景  右 湿地の植物ミソハギ
左 枝で休むオニヤンマ  右 尾の先が特徴的なウチワヤンマ
左 真っ赤なショウジョウトンボ  右 オオシオカラトンボの雄
左 カブトムシの雄  右  雌を守るノコギリクワガタの雄

2015年 6月

26日 干潟の生き物たち

 
行徳橋付近の干潟
 ※※※本日は、市川市自然環境課 自然環境政策専門員の鈴木 弘行よりお届けいたします※※※

 市川市の西側を流れる江戸川の行徳橋付近には、潮の干満により干潟が現れます。干潟には様々な水生の生き物が生息しています。カニや貝、ゴカイや魚などです。これから夏にかけては、大潮の干潮の時間帯には大きく潮が引き、干潟が現れ、干潟の生き物の観察に適しています。
行徳橋付近の干潟では、日本での生息域の北限となっているトビハゼをはじめ、チゴガニやコメツキガニ、ヤマトオサガニ、アシアラガニなどのカニがたくさん見られます。トビハゼがぴょんぴょん跳ねたり、ごろりと寝ころぶ様はとても可愛いものです。チゴガニがハサミ上げ下げするダンスもユニークです。
(画像左から 目が印象的なトビハゼ ダンスをするチゴガニ スマートなヤマトオサガニ)



 健全な干潟は生き物の宝庫であり、水を浄化する機能も大きいものです。次の世代にこの自然豊かな干潟を残していかなくてはなりません。
先ずは、自分の目でその豊かな自然を観察してみましょう。潮見表で潮位と干潮時間を確認することを忘れずに!

2015年 6月

4日 渡る者渡らない者

ただいま大野こざと公園の池に、下の写真のとおり、コブハクチョウが二羽住んでいます。
シベリアに渡るイメージが強いハクチョウですが、このコブハクチョウは外来種で、日本にいる個体は渡りはしません。

おそらく飼い鳥が逃げてしまってきたのでしょう。

こんなに大きな体ですが、草食系。

水の中の藻などを食べます。

一方、渡りをする鳥は、こんなのがおります。

左はコアジサシ。よーく見ると親子ですよ!

漢字で書くと「小鯵刺」 水にダイビングして魚をしとめる様子から、そう呼ばれていたようです。

日本に夏鳥として渡来し、河川や海岸で集団繁殖しますが、環境省の第4次レッドリストで絶滅危惧2類に位置づけられています。


中央はチュウシャクシギ。日本に旅鳥としてやってきます。

旅鳥とは、日本より北の国で繁殖し、日本より南の国で越冬するために、渡りの途中に日本を通過していく鳥のことだそうです。


右も旅鳥のムナグロ

漢字で書くと胸黒。そのまんまです。

好きな食べ物は昆虫類と甲殻類。

千葉県ではレッドリストの中の「一般保護生物」に指定されています。



左は夏鳥のコチドリ

ミミズ類などの節足動物や、ユスリカなどの昆虫を好んで食べています。

酔っ払いの歩くさまの「千鳥足」は、この鳥のまっすぐ歩かないさまからいわれたようです。

千葉県では「重要保護生物」に指定されています。


右はおなじみのツバメ

巣が壊れたので補修しているのですが、直してる人間おかまいなしにヒナに給餌をしています。

「人間なんかにかまっちゃいられないよ!子供が腹を空かしてるんだよ!!」といわんばかりです。

子育てはどこでもだれでも大変ですね。



夏の市川では以上のような渡りをする鳥も、たくさん見られます。

河川や海岸沿いなどで一般的によく見られるようです。

写真は「行徳野鳥観察舎」さんから提供いただきました。行徳野鳥観察舎ではもちろんたくさんの鳥を観察することが出来ます。



鳥ではありませんが、自然環境課も、住み慣れた南八幡分庁舎から庁舎建て替えのため、市川南仮設庁舎へ渡っていきます。

5年間ほどの渡りになるようです。

6月から7月にかけて、市川南仮設庁舎には自然環境課をはじめとしたたくさんの課が移っていきます。

ご不便をおかけすることもあると思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。



 

2015年 4月

21日 お花見

 4月から、市川市に自然環境課という課ができました。
 
 これから、いちかわの四季Diaryは、こちらで担当致します。
 
 今日は、自然環境課ではじめての更新なので、華やかにお花見の話題で行こうと思います。

 場所は、市川のはじっこ。原木公園です。
クロマツです。市川市の木です。
これもクロマツです。
これはクロマツの花です。
てっぺんの赤いのがめしべ。

根元の突起上のものがおしべだそうです。

両方一緒についてるんですね!

ちなみにまつかさ(松ぼっくり)になるのはめしべの部分です。


サクラは終わりですが、こんなお花見もありますね♪

しかし、これだけではちょっと地味なので、最近の話題をおとどけします。
大柏川第一調節池緑地のハクチョウ
4月21日現在、市内北方町にある大柏川第一調節池緑地に、こんなお客様がおります。

どこからきたのでしょうか??ご夫婦?お友達??


またどこに行くかは本人(本鳥)次第ですが、

春本番、ハクチョウをたずねて緑地内の散策はいかがでしょうか。

2015年 3月

6日 梅とウグイスとメジロ

今日3月6日は「啓蟄」(けいちつ)です。

虫が土から出てくる日とされています。

太陽の黄径が345度になる日だそうです。ほう。

むずかしい事は抜きにしても、春の気配をだんだん感じてくる時期ですね。

市内でも梅の花が良い感じに咲いてきました♪
紅いシダレ梅 須和田付近
白梅 おりひめ神社
おめでたい。


梅にウグイス。日本人に刷り込まれているワードですが

皆様は「ウグイス色」というとどんな色を思い浮かべるでしょうか。

うぐいすパンにはいっている餡のような黄緑色?

それとも?
これがウグイスです。地味。

うぐいすパンに入ってる色じゃない!?


多くの方は、ウグイス色というとこういう色を思い浮かべませんか??
これは、メジロです。

よくウメやサクラの花の蜜を吸っています。

市川市内でもよく見られる、身近な野鳥です。


ウグイスは、声は聞こえてもなかなか姿が確認できませんね。

緑の葉がほとんど見えない春先の木々の中で、樹の色に良く似ているウグイスは見つけづらいようです。

そんな時、メジロは比較的わかりやすく、しばしばウメやサクラのそばに居ます。

そんな中でだんだん混同されてきてしまったのでしょうか??


江戸時代当時の「鶯色」は、本来の鶯の羽色である「灰色がかった緑褐色」だったようですね。


なので本来「うぐいすパン」は、「めじろパン」という名前がぴったりかも??


あさって8日は、じゅんさい池緑地で、地元の自治会主催の「梅まつり」も開催されるようです。

お出かけしてみてはいかがでしょうか♪ 

2015年 2月

11日 市川市のお花見計画立案応援!

毎日寒いですが、暦の上では立春が過ぎ、春が来ていることになっています。

中華圏のお正月(春節)は、来週の19日だとの事ですが、立春のあとに春節がある年を「春の来ない年」と呼んだりするそうです。

しかし!市川市には春は来ます。サクラ咲きます!

年度末から年度始めへの慌しい時期に咲くので、確実なお花見計画を立てたいものです。


ひとくちに「サクラ」といっても、市川市内だけでも、たくさんの種類があります。


左からカワヅザクラ カンザクラ カンヒザクラ
左からエドヒガン フセヒメザクラ ソメイヨシノ
左からオオシマザクラ ヤマザクラ カンザン


これは市川市内の主な種類だけです。 日本全体では、サクラは野生種が10種、園芸品種が300種あるといわれています。

全部サクラと言っていいのか?と思うほど多種多様ですが、

考えたら「人間」もいろんな人種の、いろんな顔が居ても、「人間(ホモ・サピエンス)」ですね。

おんなじ顔だけだと怖いです。 。

ところで、上の写真のサクラたちを、環境政策課の自然環境政策専門員の高野が、

毎年どの種のサクラが、いつ開花したかを、市川市をあちこち巡って記録しておりました。

「市川のサクラ咲き始め」のファイルはこちらをご覧ください。(PDFファイル 139KB)

※こちらの「開花」とは、一本の木に5から7輪の花が開いた状況です。

開花といっても、年によって、1ヶ月近く開花がずれることのある種もありますが、

開花してから満開までは、カワヅザクラが若干長く10日程度

他の種はだいたい5日から7日だと思われます。

7分咲きのお好きな方は、気持ちお早めに。花吹雪のお好きな方は、気持ち遅めに、

お花見の計画を立てていただくのもよろしいかと思います。

☆開花後、急激な温度変化や、強風などで、一瞬にして満開が早まったり、つぼみが落ちたり、散ってしまうことも考えられます。

そういったことも含めて、サクラの醍醐味を楽しみましょう♪

2015年 1月

1日 あけましておめでとうございます

お正月風景といえば、門松ですね。


市川市の木は「クロマツ」

これは門松の材料として欠かせないものでした。

江戸時代、市川市は門松の生産地として、江戸に出荷していたとか。

市川市は、江戸のおめでたい風景に欠かせない場所だったのですね♪


 

古来門松は、向かって右がクロマツを使った雄松、向かって左がアカマツを使った雌松が飾られたそうです。

(お雑煮と一緒で、地域差が沢山あると思われます)

アカマツは一般的には内陸部に多く、さわってもあまり痛くないのが特徴です。


対して、市川の木のクロマツは海岸付近に多く

古くは、行徳での製塩にも、燃料として使われたそうです。
これがクロマツです!


そしてこれもおそらくクロマツなのでしょうか!
門松カード

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