更新日: 2022年1月14日

施政方針(平成22年度)

平成22年度施政方針

本日、平成22年2月市議会定例会の開会に際し、平成22年度の予算案をはじめとする諸案件の審議をお願いするにあたり、新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べさせていただきます。

はじめに

昨年11月の市長選挙におきまして、市民の皆様方から、第25代市長として、この市川市のまちづくりを託されましたことは、大変光栄であると同時に、その責任の重さに、身の引き締まる思いであります。

本市は、数々の遺跡が示しますように、縄文の昔から人々が集い、万葉集にも詠われるなど文化の薫り高く、現代に至るまで着実に発展を遂げてまいりました。そこには、常に人々の暮らしがあり、地に足のついた弛まぬ努力が、今日の本市を築き上げてきたといっても過言ではありません。
この市川市の魅力をさらに磨き上げ、確実に次の世代に引き継いでいくことはもちろん、住んでみたいという未来の市民の獲得にもつなげていくことが、私の使命であります。

市川で生まれ育った私にとりまして、ふるさと市川を愛する気持ちは誰にも負けないと自負しておりますが、市民一人ひとりが、さらにこのまちを愛し、住むことに誇りを持っていただけるよう、力の限り邁進してまいります。

1.市政運営の基本方針

一部の企業では、業績の上方修正が報道されるなど、100年に一度といわれる世界的な経済危機の中にも、一筋の光が射し始めてはおりますが、国民が経済回復を実感するというまでには至っていないのが現状であります。
このことから、国を挙げて景気を回復させ、安定化させることが喫緊の課題であると認識するところではありますが、市民に一番身近な行政といたしましては、このような社会状況のもとでも、耐震改修など市民生活を守る施策をはじめ、首都圏有数の住宅都市として、市民の暮らしに直結した施策に全力を挙げて取り組んでいかなければなりません。
その着実な一歩こそが、本市の健康都市宣言にも謳われた、「誰もが個々の能力を生かしながら健やかに、生き生きと暮らせる」まち、そして、将来都市像である「ともに築く自然とやさしさがあふれる 文化のまち いちかわ」の実現につながるものであります。

私が掲げた、「市民発の行政」とは、まちづくりに懸ける皆様の熱き思いと行動こそが、市川市の新しい時代を創り上げる原動力であるという思いから出た言葉であります。
私は、この度の選挙を通じ、多くの皆様が、自らの地域で個性豊かなまちづくりに励まれている姿に接して、大変感銘を受けるとともに、改めて、本市こそまさに「市民発の行政」を実践するにふさわしい自治体であると確信いたしました。

また、私は、多くの皆様からご意見を伺う中で、実に様々な考え方や価値観があることを肌で感じ、その声を受け止める仕組みづくりの必要性を痛感いたしました。
そこで、引き続き市民ニーズシステムなどを通じて、様々な市民の生の声をお聴きするとともに、行政運営に関するご意見やご提案を伺う新たな仕組みを構築し、庁内の協議機関である行政経営会議や、市民、民間有識者等で組織する市政戦略会議の場で議論、検討するなど、戦略的な市政運営に取り組んでまいります。また、行政評価システムの再構築による既存事業の見直しをはじめ、事業仕分けの実施など、行財政改革を進めてまいります。

様々な視点、立場から十分に議論して、より良い方向を見つけていくという過程を大切にし、市民に分かりやすい行政、市民に最も身近な自治体である市だからこそできる、きめの細かいまちづくりを目指し、皆様の思いを、一つひとつ現実のものとしてまいります。

2.新年度の重点施策

以上のような考え方のもとに市政運営に臨んでまいりますが、新年度は、基本計画の最終年度でありますので、すべての施策を総点検し、次期の計画に反映させてまいりたいと考えております。

以下、新年度の重点施策について申し上げます。

(1)子育て支援

まず、子育て支援についてであります。教育委員会所管の事項も含めて、私から述べさせていただきます。

私は、公約として、「待機児童ゼロを目指す」ことを掲げさせていただきました。
私自身が団塊の世代の一員であり、まだ空き地や原っぱの多く残る市川のまちを大勢の仲間たちと走り回った経験が、こうして市長に就任してみて、改めて「このまちに育てられた」という実感として思い出されてまいります。

子どもは、家族の一員であると同時に市民であり、次代の社会を担うかけがえのない存在であります。地域全体で子育てができるまち、そして、子ども自身が、家庭や地域で大切にされているという実感の持てるまちづくりを進めてまいります。

まず、待機児童対策につきましては、保育園整備として、私立保育園が大野町3丁目と広尾2丁目に開設されます。また、妙典5丁目に開設が予定される私立保育園の整備や、定員増及び耐震対策のために増改築をする国府台、行徳あけぼの、百合台の各私立保育園の施設整備費に対し、経費の一部を助成してまいります。
さらに、公立保育園では、定員の弾力化による運営を図り、受け入れ児童の拡大に努めてまいります。

これらに加えて、市の認定を受けて自宅等で保育を行うファミリー・まま制度の拡充、認可外保育施設を利用している保護者の方への補助、さらには幼稚園を活用した預かり保育など、待機児童の解消を目指した総合的な保育計画を推進してまいります。

放課後保育クラブにつきましては、施設整備を進めることで定員増を図るとともに、保護者から要望の高い開所時間の延長に向けて、関係機関と十分に協議してまいります。

子育て環境の整備につきましては、主に乳幼児を持つ親と子どもが気軽に集い、交流できる場である、親子つどいの広場として、引き続き4箇所に、また、地域子育て支援センターとして、新たに開設される私立保育園内2箇所を含めて、計11箇所に設置してまいります。

家庭や子育てサークルの支援など、地域に出向いた活動を行うすこやか応援隊を増強し、移動型親子のひろば事業を拡大してまいります。
子どもや子育て家庭からの相談や、虐待通報などに対応している子ども家庭総合支援センターにつきましては、より効果的な支援と迅速な対応を図ってまいります。

学校給食につきましては、現在は食材費が比較的安定している状況にありますが、世界的な不況により先行きの経済情勢が不透明なことから、平成21年度に引き続き新年度も、緊急措置として給食用食材の一部を支給してまいります。
なお、給食費の無料化につきましては、国の子ども手当の動向も注視しながら、保護者も含めた市民意向を確認したうえで検討してまいりたいと考えております。

(2)産業振興

次に産業振興についてであります。

経営者としての経験から、地域に活力を与え、この市川市が豊かな、そして魅力ある都市としてあり続けるためには、今ここで、産業振興に力を入れるべきであると考えております。

本市には、多くの中小企業があり、世界的な経済危機の中で、未だに先が見えにくい状況に置かれています。この一番苦しい時期を支えるとともに、将来的な業績の回復や企業の成長を促し、新規の雇用確保や、消費の回復などの良い循環を生み出すことが、本市のさらなる発展の鍵になるものと信じております。
そのためには、融資などの経済的な支援と起業家支援などの人材の育成をバランスよく組み合わせて、実施することが重要であります。

商業や工業の振興策につきましては、融資返済額を軽減するための借り換え制度を創設するとともに、新規融資の利率を引き下げて、融資を受けやすい環境を整えてまいります。また、市内の小規模企業者を対象に、利子補給制度を引き続き実施し、経営の安定化を図ってまいります。

企業経営に関する相談事業につきましては、「なんでも相談担当」を設置するとともに、引き続き起業支援アドバイザーを配置してまいります。
また、市内のオンリーワン技術を有する中小企業について、新たなビジネスチャンスの獲得や雇用の創出につながる支援を行ってまいります。
こうした個々の取り組みに加え、民間の企業経営経験者等を、経済対策の担当理事として招聘し、さらに効果的な経済活性化策について検討してまいります。

地場産業の育成につきましても、活き活きとしたまちづくりに欠かせない重要な施策のひとつだと考えております。
そこで、市川の特産である梨、海苔、アサリをはじめ、地域の野菜類、花類を販売する直売所などについて関係機関等と協議するとともに、農商工連携により地域のブランド力を高めてまいります。

雇用・就労支援につきましては、失業者への就労機会の拡充を図るため、市内の事業所を雇用推進事業調査員が個別に訪問して雇用状況を把握するとともに、新規の求人情報の掘り起こしを進めてまいります。
また、この結果をもとに、ハローワーク市川、市川商工会議所と共催で、合同就職面接会を年2回実施してまいります。
さらに、企業の雇用調整等により、解雇や離職を余儀なくされた労働者の生活の安定を図るため、緊急雇用対策として、市民マナー条例の啓発キャンペーン事業をはじめ18事業の委託や直接雇用により、就業機会の創出を図ってまいります。

(3)まちづくり

次に、まちづくりについてであります。

交通渋滞は、円滑な移動を妨げるだけではなく、騒音や振動、大気汚染などの環境問題、あるいは、狭い生活道路にまで通過交通が流入するなど、安全面にも影響を及ぼすことから、本市の重要な課題のひとつであります。
直接的な道路整備以外にも、再開発などのまちづくりの手法を総合的に活用しながら、より住みやすいまちづくりを進めてまいります。

京成本線立体化につきましては、これまでの経過を踏まえ、京成八幡駅や国府台駅と市川真間駅の中間に位置する変則5差路の周辺地区について、まちづくりの観点から整備手法等の検討を行ってまいります。

都市計画道路3・4・18号の整備につきましては、引き続き、八方橋拡幅工事などの橋梁工事を進めるとともに、京成線下部を横断する工事に着手してまいります。
また、任意交渉による未買収地の取得に努めるとともに、土地収用法の手続きも適切に進めてまいります。

外環道路につきましては、早期にご協力いただいた方々や多くの市民の期待に応えるため、平成21年8月に高谷から京葉道路市川インターチェンジ付近までの一般国道部分が暫定2車線で先行して供用開始されました。
平成27年度の全線開通に向け、引き続き未買収地の取得及び環境等に十分配慮した工事の推進に取り組んでいただくよう、国に働きかけてまいります。

狭隘道路対策につきましては、道路の幅員や交通量、沿道の利用状況等を踏まえながら、部分的にまごころゾーンとして退避スペースを設けるなどの方法を検討し、地域にとって安全な道路環境を確保するための制度を整備してまいります。

また、老朽化したマンションは、適切な維持管理を欠くと、居住環境の低下を招くだけでなく、周辺環境や安全の維持にも影響を及ぼします。
そこで、良好な住環境を形成するための住宅施策として、市内の分譲マンションにマンション管理士を派遣し、管理状況の実態を把握するとともに、管理運営上の問題について指導・助言することで、適切な管理を支援してまいります。

3.新年度の主要な施策

以上、新年度の重点施策について申し上げてまいりましたが、これらに加え、新年度に取り組む主要な施策について、総合計画の5つの基本目標に沿って順次申し上げてまいります。

(真の豊かさを感じるまち)

はじめに、「真の豊かさを感じるまち」を目指す施策であります。教育委員会所管の部分も含め、私から説明させていただきます。

まず、健康づくりにつきましては、乳幼児から成人、高齢者まで、健康度に応じた保健サービスを提供するとともに、地域と行政のパイプ役となる保健推進員、食生活改善推進員と協働し、市民の自主的な取り組みを支援してまいります。

疾病の予防につきましては、各種がん検診の実施体制の充実を図り、がんの早期発見に努めるとともに、40歳から74歳の国民健康保険加入者に特定健康診査、特定保健指導を実施し、生活習慣病の予防を図ってまいります。
また、口腔衛生につきましては、新成人と30歳から70歳の節目年齢を迎える方に、歯科健康診査、保健指導を実施してまいります。

救急医療につきましては、地域の総合病院である国立国際医療センター国府台病院、東京歯科大学市川総合病院、東京ベイ・浦安市川医療センター、順天堂大学医学部附属浦安病院において、重篤患者や小児などの救急受け入れ体制の充実を図ってまいります。

周産期医療につきましては、産科救急など高度な医療に対応する地域周産期母子医療センターとして認定を受ける、順天堂大学医学部附属浦安病院の整備費用の一部を支援してまいります。

急病医療の電話情報案内「あんしんホットダイヤル」では、引き続き24時間対応で医療機関の案内やメンタル面も含めた健康相談を行ってまいります。
また、自殺予防につきましては、本市の実態把握と対策の検討を進めるとともに、関係機関との連携を強化し、体制を整備してまいります。

地域ケアシステムにつきましては、引き続き地域での支え合いの場となるサロンの開催に対する助成を行い、福祉コミュニティの充実を図ってまいります。

高齢者のための施策につきましては、介護予防として、いきいき健康教室の開催などによる心身機能の維持、増進をはじめ、地域包括支援センターにおける継続的な支援を図ってまいります。

ホームレスの自立支援につきましては、第2期市川市ホームレス自立支援実施計画に基づき、自立支援住宅の提供や、巡回相談、まちかど相談を行ってまいります。

障害者のための施策につきましては、重度の身体障害者の方を対象として、従来の来所型だけではなく、理学療法士等が自宅や施設に訪問することで、身近な地域でのリハビリテーションが受けられる体制を整備してまいります。
また、障害者生活介護施設「松香園」につきましては、新たに重症心身障害者の受け入れを行ってまいります。

少人数学習につきましては、児童生徒に確かな学力を身につけさせるため、市内小・中学校全55校に補助教員を配置するとともに、37人規模の学級を有する大規模校のうち5校に1人ずつ、計60人の補助教員を引き続き配置し、少人数指導やティームティーチングを実施してまいります。

特別の支援を必要とする児童生徒への教育につきましては、特別支援学級におけるきめ細かな指導や支援を図るため、22人の補助教員を配置いたします。
また、通常学級に在籍し、発達障害をはじめとする様々な障害により特別の支援を必要とする児童生徒のために、5人の補助教員を引き続き配置してまいります。
さらに、専門的な知識を有する巡回指導職員が、市内全小・中学校を訪問し、教職員への指導・助言を行ってまいります。

国際理解教育につきましては、英語会話能力を有する人材を小学校39校に13人派遣し、英語の歌やゲーム等、英語を楽しむ活動を通じて、コミュニケーション手段としての英語教育の充実を図ってまいります。
また、英語を母語とした外国人指導助手16人を各中学校に1人ずつ派遣し、英語学習に対する意欲及びコミュニケーション能力の向上、国際感覚の育成を引き続き図ってまいります。

ヘルシースクール推進事業につきましては、小児生活習慣病予防(すこやか)検診や、新体力テスト、食事調査等のデータ分析を行い、生活リズム、運動、食事面から健康相談、個別指導を行ってまいります。

教育の機会均等を図るため、引き続き高等学校・大学等への入学準備金の一部を無利子で貸し付ける事業を実施してまいります。

教育環境の整備につきましては、老朽化したトイレの改修を計画的に進めておりますが、新年度は、小・中学校5校の改修工事及び次年度の工事に向けた5校の設計を行ってまいります。

公民館につきましては、外環道路の整備に伴い中央公民館菅野分館を廃止し、菅野3丁目に公民館を新設してまいります。
また、公民館の主催講座では、健康、環境の分野など、今日的な課題についても積極的に取り組んでまいります。

スポーツ振興につきましては、市川市スポーツ振興基本計画に基づき、国府台と塩浜に設立した、総合型地域スポーツクラブの活動に対し引き続き支援を行い、地域に根付いたスポーツクラブの育成を図ってまいります。
また、既存のスポーツ施設の改修を計画的に進めるとともに、スポーツ施設用地の取得に努めてまいります。

第65回国民体育大会(ゆめ半島千葉国体)につきましては、9月30日から10月4日までの5日間にわたりハンドボール競技が開催されますが、多くのボランティアや小・中学生の協力をいただきながら、夢と感動にあふれた、心に残る大会にしてまいります。

消費者行政につきましては、消費生活センターにおいて、引き続き消費生活全般に関わる相談に応じるとともに、多重債務者の救済を図るため、弁護士による法律相談を実施してまいります。
また、消費者被害を未然に防止するため、消費生活講座、出前消費者講座を開催し、情報提供や啓発に努めてまいります。

男女共同参画につきましては、次期実施計画の策定に向け、市民意識調査を行ってまいります。
また、配偶者やパートナーからの暴力(DV)への対応につきましては、引き続き女性の専門相談員や弁護士による相談事業を行うとともに、市川市DV防止基本計画の策定を進めてまいります。

平和事業につきましては、終戦から65年にあたる新年度は、各種平和啓発事業のほか、青少年を被爆地長崎に派遣してまいります。

(彩り豊かな文化と芸術を育むまち)

次に、「彩り豊かな文化と芸術を育むまち」を目指す施策についてであります。

本市にゆかりのある文化人・芸術家の業績を紹介する市川の文化人展では、昨年、「日展」で内閣総理大臣賞を受賞した彫刻家、久保田俶通氏の素晴らしい作品の数々をご覧いただきます。
また、年々応募作品数も増え、第11回を迎える市川手児奈文学賞では、「市川を詠む」というテーマで、全国から短歌、俳句、川柳の作品を募集してまいります。
さらに、市内各地域の歴史的、文化的資産を活かした街回遊展を開催するなど、引き続き、本市の文化・芸術の魅力を内外にアピールする各種事業を実施することにより、文化意識の高揚を図ってまいります。

開館5周年を迎える東山魁夷記念館では、他の美術館との連携を図り、特別展を開催し、「人間・東山魁夷」を顕彰してまいります。

文学館につきましては、既存の文学プラザと映像文化センターの機能をあわせ持つ特色ある施設としての整備に向け、展示設計を進めてまいります。
また、水木洋子生誕100年を記念し、文学プラザでは、企画展や水木洋子氏脚本の映画の上映などを行ってまいります。

史跡の保存につきましては、引き続き曽谷貝塚の公有地化を進め、郷土学習の場、市民憩いの場として活用を図ってまいります。

刊行後30年余りが経過した市史の改訂編さんにつきましては、新年度、歴史分野において、国府台遺跡の資料整理や下総国府関連の調査を行うとともに、引き続き民俗・自然分野の調査研究を進めてまいります。

国際交流につきましては、ローゼンハイム市で開催される州ガーデンショーの「いちかわDAY」において、文化芸術・伝統文化を市民が主体となって紹介する活動を支援するなど、各提携都市との友好親善を深めてまいります。

観光施策につきましては、市内外でのイベントに参加するなど様々な機会を活用して、本市にある豊富な歴史的、文化的資産を積極的にPRしてまいります。
また、昨年開設した市川駅北口の観光・物産案内所において、市内の観光名所や文化資産を紹介するとともに、特産品や地場産品の即売などを行ってまいります。
さらに、アイリンク展望施設においては、スカイコンサートなどを開催し、眺望も楽しめる市民の憩いと交流の場としてまいります。

(安全で快適な魅力あるまち)

次に、「安全で快適な魅力あるまち」を目指す施策であります。

まず、防災につきましては、広尾防災公園が、平常時には、地域住民の憩いやレクリエーションの場として、災害時には、一時避難場所のほか、初期救援や緊急輸送等の中継拠点機能を担う公園として4月に開園いたします。
また、隣接する旧江戸川におきましては、県事業による緊急船着場の整備を促進してまいります。
さらに、地震等の災害に備え、小学校を避難拠点として位置付け、周辺に居住する市職員を配備し、災害時の初動対応を強化してまいります。
併せて、市民参加型の総合防災訓練「防災ひろば」の開催や、地域の防災訓練、ボランティアセンター運営訓練などを実施し、自主防災組織の育成と自助・共助の強化を図ってまいります。

防災無線のデジタル化につきましては、平成20年度から計画的に進めてまいりましたが、新年度、避難所となる公共施設等に50台を配備することで、主要な施設への配備が完了いたします。

災害時における要援護者の支援につきましては、災害発生時に一人で避難することが難しい、高齢者や障害者等を地域ぐるみで支援するため、災害時要援護者名簿の整備を引き続き推進してまいります。

公共施設の耐震改修につきましては、平成20年4月に定めた市川市市有建築物耐震化整備プログラムに基づき、新年度は、行徳保育園、大町第二団地など3棟の補強・改修設計のほか、東部公民館、塩浜団地など3棟の補強工事を、田尻老人いこいの家では建替工事を行ってまいります。
また、教育施設につきましては、小学校3棟、中学校2棟の補強設計のほか、平成21年、平成22年の2ヵ年継続事業として現在進めている小学校11棟、中学校4棟及び平成22年、平成23年の2ヵ年と平成22年から平成24年の3ヵ年の継続事業として小学校7棟、中学校6棟の補強設計及び工事を行ってまいります。

民間建築物の耐震化につきましては、引き続き、促進に向けた啓発、指導を行い、耐震診断、改修に要する費用の一部を助成するとともに、危険なコンクリートブロック塀の除去、補強等に要する費用の一部助成を行ってまいります。
浸水対策につきましては、都市基盤河川改修事業として、大柏川の浜道橋から鎌ケ谷市境までの約1.6キロメートルの河道の拡幅整備を引き続き行うほか、幹線排水路の整備として、広尾地区、国分第1排水区、大野西排水区の水路改良工事等を行ってまいります。

また、「市民あま水条例」に基づき、雨水の貯留及び浸透施設の設置に対して、引き続き助成するとともに、その効果を検証するモニタリングを行ってまいります。

防犯対策につきましては、これまでの街頭防犯カメラの設置効果を検証するとともに、街頭犯罪の抑止と市民の体感治安改善のため、新たに50台を増設し、合計152台でネットワークを構築してまいります。
また、5年目を迎える青色防犯パトロールにつきましては、深夜のパトロールを実施するとともに、講演会、一斉パトロールなどの記念イベントを開催し、防犯意識の高揚を図ってまいります。

消防力の強化につきましては、新年度、化学消防車、水槽車など消防活動車両の整備とGISを活用した指令管制システムの改修を行ってまいります。
また、北部消防施設につきましては、平成23年度までの2ヵ年継続事業で新築工事を行ってまいります。

交通安全対策につきましては、自転車の安全利用に関する条例を制定し、交通マナーの向上を図るとともに、街頭指導を実施してまいります。
また、南沖交通公園に、子どもたちが自転車の安全利用や交通ルールを学ぶ研修や展示ができる管理棟を整備してまいります。

急傾斜地崩壊対策といたしましては、宮久保4丁目の崖地について、平成21年度に引き続き、平成23年度までの3ヵ年で整備することを目指してまいります。

主要駅周辺の概ね500メートル以内の特定経路を中心として、歩道の段差解消等を進める人にやさしい道づくりにつきましては、八幡3丁目、相之川4丁目等で整備を行ってまいります。

コミュニティバスにつきましては、コミュニティバス運行指針に基づき、市主導の社会実験運行から、地域住民、運行事業者、市の協働による実行委員会主導の本格運行へ切り替えてまいります。
中山参道につきましては、街なみ環境整備事業として、黒門の改修に合わせた舗装の改修を行うとともに、参道に面する店舗、住宅に対しても修景整備費用の一部を助成し、歴史的な街なみに調和する景観整備を行ってまいります。

公共下水道につきましては、汚水事業として、引き続き江戸川左岸処理区及び
西浦処理区の下水道供用区域の拡大を図ってまいります。
また、雨水事業として、高谷・田尻排水区及び市川南排水区において、外環道路事業との整合を図り、事業化に向けた調整を進めてまいります。
なお、菅野処理区においては、引き続き合流式下水道改善事業を進め、汚濁負荷等の削減に努めてまいります。

市川駅南口の市街地再開発事業につきましては、昨年、図書館、保育施設、展望施設がオープンし、本年1月にはぺデストリアンデッキが供用開始に、3月には駅前広場が完成いたします。
新年度は、安全で快適な市街地整備に向けて、当該事業の関連工事を進めるとともに、新設されるロータリーを活用したバス路線の充実について、運行事業者と協議してまいります。

本八幡駅北口のA地区市街地再開発事業につきましては、京成電鉄の本社機能の移転も確定する中で、新年度より本格的に着工となることから、駅周辺にふさわしい活気ある街並みの創出に向けて、引き続き技術的指導や補助金の交付などにより、組合の着実な事業推進を支援してまいります。

石垣場・東浜地区につきましては、県による江戸川第一終末処理場整備事業に協力し、地域の環境改善に努めてまいります。
また、地域コミュニティゾーンにつきましては、引き続き用地買収を進めてまいります。

塩浜2丁目護岸につきましては、県による改修事業に協力し、推進してまいります。また、塩浜1丁目護岸につきましては、県が主体となり事業を実施する方向で調整が完了したことから、安全で親水性に配慮した護岸整備の早期着工に向けた協議を進めてまいります。

農業の振興につきましては、環境にやさしい農業に向けて、梨剪定枝炭化事業や減農薬栽培を引き続き支援するとともに、市民農園の拡充に努め、農業体験を通して、農業の楽しさや収穫の喜びの機会を提供してまいります。

水産業の振興につきましては、漁港整備として、平成21年度に行った基本設計等をもとに、関係機関との調整を図るとともに、ノリ養殖の生産安定と品質の向上を図るため、引き続き漁業協同組合による高性能冷水機導入に対して支援してまいります。

(人と自然が共生するまち)

次に、「人と自然が共生するまち」を目指す施策であります。

自然環境の保全につきましては、市川市自然環境保全再生指針に基づくモニタリング調査の一環として、3ヵ年にわたって行っている河川遊水池等水生生物生態調査の最終年度にあたることから、地域戦略における管理目標を作成するための取りまとめを行ってまいります。

緑地保全につきましては、みどりの基本計画に基づき、本市の緑の現状を把握するため、デジタル航空写真データの画像解析を行い、緑に関する基礎データである緑量等を調査してまいります。
また、国府台緑地の整備につきましては、用地の取得と整備を進め、周辺の公園・緑地とのネットワーク化を図ってまいります。

緑と花の市民大学につきましては、緑の基礎講座と実践講座を引き続き開講してまいります。
また、花の講座のバラ育成講座を修了された皆様とともにバラの輪を広げ、バラ街道の整備につなげてまいりたいと考えております。

地球温暖化対策につきましては、市川市地球温暖化対策地域推進計画に基づき、住宅用太陽光発電システム設置助成枠を拡大するとともに、エコライフ推進員等による啓発活動や、エコドライブを推進するほか、環境意識を醸成するための市民環境講座や親子環境教室を開催してまいります。
併せて、市民、事業者、行政及び関係団体で構成する地域協議会を設置し、環境家計簿ポイント事業、緑のカーテン事業、環境フェアなどの各事業の拡充を行い、二酸化炭素排出量の削減を図ってまいります。
学校版環境ISO認定事業につきましては、平成21年度指定校5校に、新規5校を加えて、計10校で、特色ある環境保全活動や省エネ・リサイクル活動に取り組み、環境意識の高揚を図ってまいります。

生活排水対策につきましては、河川の水質浄化を図るため、引き続き生活排水対策推進員(みずアドバイザー)との協働により、家庭でできる対策を普及啓発してまいります。

平成21年度に改定した市川市一般廃棄物処理基本計画(じゅんかんプラン21)で目指す将来像「資源循環型都市いちかわ」の構築に向けて、各地域で、じゅんかんパートナーとの協働により説明会を実施するとともに、市内転入者向けのごみ分別ガイドブックや、小学生用副読本を作成し、ごみ減量及び資源化の推進に取り組んでまいります。
また、家庭から発生する生ごみの有効利用を図るため、引き続き、生ごみ処理機及びコンポスト容器購入費の一部を助成するとともに、学校等の公共施設から出る生ごみから「じゅんかん堆肥」を製造し、リデュース・リユース・リサイクルの3Rの施策を推進してまいります。

制度施行から5年が経過した市民マナー条例につきましては、駅周辺の路上禁煙・美化推進地区の範囲を市内の全駅周辺13地区に拡大してまいります。また、空き缶等の投げ捨て、犬のふんの放置に対しましても過料を科すとともに、道路や公園など公共の場所での歩行喫煙を禁止行為に加え、より良い生活環境の実現に努めてまいります。

クリーンセンターにつきましては、安定的な操業を確保するため、計画的に設備等の大規模修繕・更新工事を行うことで、平成35年まで延命化を図ってまいります。

(市民と行政がともに築くまち)

次に、「市民と行政がともに築くまち」を目指す施策であります。

広報、広聴につきましては、広報紙や市ホームページによる情報発信と併せて、インターネット放送局により、市議会本会議や各種講座等を映像配信するなど、分かりやすい市政情報の提供に努めてまいります。
また、インターネットを活用したe-モニター制度による住民リサーチ事業を推進するとともに、私が直接地域に出向いて、皆様の声をお聴きする機会を設けてまいります。

地域コミュニティにつきましては、防犯、防災、子育て、環境美化など様々な場面における自治会の役割と活動の重要性に着目し、円滑な自治会活動に向けて、支援してまいります。

1%支援事業につきましては、本市のほか5つの自治体が同様の制度を導入するなど、全国的な広がりが期待されており、今後とも、制度の周知を図るとともに、団体支援への参加を募ることにより、市民活動団体を支援してまいります。

情報格差の解消につきましては、市に登録している市民ITサポーターの協力により、基礎的な操作やインターネットの活用を習得していただく「いちかわやさしいIT講座」を、引き続き開催してまいります。

住民基本台帳カードにつきましては、市内に設置されている自動交付機により住民票の写しをはじめ、各種証明書等の交付サービスを実施しており、2月からは、コンビニエンスストア(セブン-イレブン)においても住民票の写しと印鑑登録証明書の交付が受けられるようになるなど、サービスの広域化を進めてまいりました。今後も、引き続き市民の利便性の向上を図るため、カードの普及に取り組んでまいります。

情報セキュリティ対策につきましては、ISO27001の認証を維持することにより、セキュリティの更なる向上を目指してまいります。

入札制度につきましては、低価格入札による下請け業者や労働者へのしわ寄せを回避するため、委託業務に最低制限価格制度を導入してまいります。

広域行政の推進につきましては、これまでの研究成果を踏まえ、市民への情報提供を通じて、意識の醸成を図るとともに、市長懇話会による東葛飾・葛南地域における具体的な連携についても、さらなる検討を進めてまいりたいと考えております。

以上、重点施策及び主要な施策について申し上げてまいりましたが、新年度は、現下の厳しい経済状況を反映して一般会計予算では、歳入において市税が大幅に落ち込み、一方、歳出においては扶助費等の義務的経費が急増していることから、例年以上の市債の発行や財政調整基金の取り崩しなどにより収支の均衡を図らざるを得ない状況となったものであります。

このように大変厳しい予算編成ではありましたが、景気の悪化に伴う様々な社会的な要請にできる限り応えるとともに、最終年度となった第三次総合3ヵ年計画事業の進捗にも留意したところであります。

予算規模といたしましては、一般会計では、子ども手当が創設されることなどから、前年度当初比7.8%の増、1,268億円としたところであります。
また、市川駅南口地区市街地再開発事業における主要施設の竣工などにより、特別会計全体では、前年度当初比0.4%の減、694億5,700万円としたところであります。

この結果、一般会計、特別会計、公営企業会計をあわせた予算総額といたしましては、前年度当初比で4.7%の増、1,991億6,900万円とした次第であります。

市民の皆様、ならびに議員各位のご理解とご支援を心よりお願い申し上げまして、新年度の施政方針といたします。

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