更新日: 2018年11月12日

平成13年度収蔵美術作品展 女性美と衣裳美/出展作品

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平成13年9月15日(土)~24日(月) 市川市文化会館 大会議室

同時開催
市川の文化人展「洋画家中山忠彦・美の世界展

<洋画>

「皎然」(1991)   97.5×131.0cm   第23回日展出品
伊藤清永 いとう きよなが(1911~2001)
 洋画家。兵庫県出身。東京美術学校で岡田三郎助に師事し、豊麗な色彩とフォルムによる女性人物画に独自の境地をひらき、現代日本の洋画界を代表する一人であったが、今年6月逝去。文化勲章、文化功労者章受賞。白日会会長として有為の人材を育成した。今回「市川の文化人展」でご紹介した中山忠彦氏もそのひとりである。

「射光」(1991)   114.0×164.0cm
松沢茂雄 まつざわ しげお(1929~)
 洋画家。千葉県出身。1980年の「第3回現代の裸婦展」にて大賞に輝き、画壇で大きな評価を得た。またこの年「日仏現代美術展」ビブリオテーク・デ・ザール賞の1席を受賞。独自の点描画による大作を発表し、裸婦の画家、点描の画家として確固たる地位を築く。中山在住。現在、市川美術会参事。

<素描>

「南方風俗スケッチ」(1943)   28.0×35.7cm
伊東深水 いとう しんすい(1898~1972)
 日本画家。東京都出身。鏑木清方に師事。1914年の文展に初入選し、早熟の才能を示し注目された。1958年日本芸術院会員となる。健康的な下町娘を好んで題材とし、現代の浮世絵師を自負し、現代美人日本画家としての地位を確立した。木版画作品も多く手掛けている。

「南方風俗スケッチ」について
 昭和18年(1943)4月、深水は海軍報道班員としてシンガポール、セレベス、ボルネオなど南方に4ヶ月派遣され、4,000枚に及ぶスケッチを描いた。この南方風俗スケッチは戦時下における作品ではあるが、カラフルな南国の風俗や一般の人々の生活を描いた作品が多く、戦争を思わせるところは少ない。女性の肖像画や民族衣装を身にまとった人物など、当時の人々の暮らしぶりが、生き生きとした線とその瞬間を捉えた深水の言葉によって的確に描写されている。深水は、インドネシア滞在中に現地でも展覧会を開催し、好評を博した。「南方風俗スケッチ」は美術作品としての評価はもちろん、歴史資料としての価値も高く、約270点を収蔵している市川市にとっては、貴重なコレクションである。

伊東深水の写生メモ
 No.166 「ジャワ スラバヤにて」
 No.168 昭和18年5月2日写 「武官邸にて 西村良子」
 No.175 昭和18年5月2日 「武官邸にて写 ハーフカス」
 No.177 昭和18年4月26日 「□武官邸に於て」
 No.180 昭和18年4月29日 「ジャカルタにて」
 No.191 昭和18年6月6日 「マカツサル 於市長邸写」
 No.226 昭和18年7月10日 「ジョクジア候 愛な娘 チャミナ嬢」
 No.235 昭和18年5月2日 「於武官邸写 スンダ美人」
 No.237 昭和18年7月19日 「バリ キンタマニにて写 火踊りの踊り子 サンギャン」
 No.238 昭和18年6月6日「マカツサル 於市長邸写 ミナアサ美人」

<日本画>

「春の雨」(1991)   173.5×211.5cm   第23回日展出品
立石春美 たていし はるみ(1906~1994)
 日本画家。佐賀県出身。伊東深水に師事する。帝室展、日本美術院展等で長く活動し、朝倉賞等を受賞。師の深水ゆずりの婦人像に本領を発揮し、装飾性に優れた華麗な画面で評価が高い。長く東菅野に在住。
○作品の人物はお召しの着物に紅型風染帯か。昭和初期を思わせるような着こなしである。

「残夏」(1972)   182.0×130.5cm
宮内英好 みやうち えいこう(1905~1997)
 日本画家。東京都出身。東京女子美術学校卒業。蔦谷龍岬、中村岳陵に師事する。人物画を得意とする。関東大震災により生家を焼失し、八幡に移住。22歳で帝展初入選、以来入選3回、その後、日展入選16回。蓮尾氏と同じく「市展」及び市川美術会の発展に寄与する。また、後年は市内を中心に学生や主婦のために日本画の指導にあたる。
○作品の人物は紬の着物につづれの染帯か。

「樂韻」(1962)   198.5×174.0cm   日本美術院再興第47回展覧会出品
蓮尾辰雄 はすお たつお(1905~1989)
 日本画家。福岡県出身。東京美術学校卒業。前田青邨に師事する。院展特待。人物画を得意とする。市川市美術展覧会、通称「市展」の草創期に日本画において立石春美、富取風堂、東山魁夷などと名を連ねる。
○衣裳は和装の手前の人物が絣の着物につづれの帯、奥の人物が夏らしく紗の着物。洋装の人物の髪型、服装・靴のデザインからして、昭和30年前半を思わせる作品である。

<工芸>

「花たより」(1990)   和服一点 第37回日本伝統工芸展出品
松崎澄子 まつざき すみこ(1935~
 藍型染色家。千葉県出身。植物染を長浜重太郎、藍型染を松原利夫、紅型を屋宣元六に師事する。日本染色展において日本経済新聞社賞受賞。現在、日本工芸会正会員、千葉県美術会理事、市川市美術会常任理事。北方在住。中山法華経寺参道に工房を構える。
○絽の着物で、野ばらの静けさと優しさを表現したもの。

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