更新日: 2021年10月21日
昭和の市川に暮らした作家 井上 ひさし
※この特集展示は、2005年(平成17)10月~2006年(平成18)4月にかけて、文学プラザで開催され、コンテンツも当時、ホームページに掲載されたものです。その記録を「展示アーカイヴ」として残してあります。
井上ひさし いのうえ・ひさし 小説家・戯作家
1934(昭和9)~
〔1967(昭和42)~1987(昭和62) 市川市国分・北国分在住〕
山形県川西町出身。上智大学在学中から浅草の劇場で台本を書き始め、卒業後には放送作家としてNHK「ひょっこりひょうたん島」(1964・昭和39~・共作)などを手がけました。
1967年(昭和42)から1987年(昭和62)まで、市川で創作活動を行い、「永井荷風が好きで市川に引っ越したくらいで」(『作家の証言 四畳半襖の下張裁判』1979・昭和54)とも語っています。
江戸の戯作を愛読した荷風を敬愛する井上ですが、1972年(昭和47)に、戯作者になりたかった若旦那を描いた「手鎖心中」で直木賞を受賞したのをはじめ、小説、戯曲において数多くの賞を受賞。笑いと風刺のなかに、人間の悲哀をにじませる作風が、人気を博しています。
1984年(昭和59)には、生まれ故郷の名を冠した「こまつ座」を立ち上げ、自ら座付き作家となって「きらめく星座」「人間合格」など多くの傑作を書き下ろし、新国立劇場でも「紙屋町さくらホテル」「箱根強羅ホテル」などを発表しています。なお、市川市市民会館での「頭痛肩こり樋口一葉」が「こまつ座」の旗揚げ公演です。
2004年度文化功労者。日本ペンクラブ会長。
1967年(昭和42)から1987年(昭和62)まで、市川で創作活動を行い、「永井荷風が好きで市川に引っ越したくらいで」(『作家の証言 四畳半襖の下張裁判』1979・昭和54)とも語っています。
江戸の戯作を愛読した荷風を敬愛する井上ですが、1972年(昭和47)に、戯作者になりたかった若旦那を描いた「手鎖心中」で直木賞を受賞したのをはじめ、小説、戯曲において数多くの賞を受賞。笑いと風刺のなかに、人間の悲哀をにじませる作風が、人気を博しています。
1984年(昭和59)には、生まれ故郷の名を冠した「こまつ座」を立ち上げ、自ら座付き作家となって「きらめく星座」「人間合格」など多くの傑作を書き下ろし、新国立劇場でも「紙屋町さくらホテル」「箱根強羅ホテル」などを発表しています。なお、市川市市民会館での「頭痛肩こり樋口一葉」が「こまつ座」の旗揚げ公演です。
2004年度文化功労者。日本ペンクラブ会長。
展示内容
井上ひさし『偽原始人』1990 講談社 |
井上ひさし『吉里吉里人』1981 新潮社 |
井上ひさし『偽原始人』1976 朝日新聞社 |
井上ひさし『東京セブンローズ』1999 文藝春秋 |
井上ひさし『私家版日本語文法』1981 新潮社 |
井上ひさし『空き缶ユートピア』19 集英社 |
井上ひさし『手鎖心中』1972 文藝春秋 |
井上ひさし『日本語よどこへ行く』1999 岩波書店 |
井上ひさし『ひょっこりひょうたん島2003』2003 日本放送出版協会 |
井上ひさし『人間合格』1990 集英社 |
井上ひさし『きらめく星座』1985 集英社 |
井上ひさし『闇に咲く花』1987 集英社 |
井上ひさし『太鼓たたいて笛ふいて』2002 新潮社 |
井上ひさし『箱根強羅ホテル』2006 集英社 |
井上ひさし・昭和と市川へのまなざし
人々は、食べるためにがむしゃらに働くことで、わずかばかりの明日への希望をつないでいました。また、家族が、そして、他人までもがひとつ家に肩を寄せ合って生活することで、楽しいことは倍になり、悲しいことは半分になったのです。時にはわずらわしいことがあっても、困ったことは御互い様の心が通い合っていたのです。
昭和の時代にはまだこのような草の根の「庶民」の暮らしが広がっていました。
井上ひさしがこだわる視点は、一貫して「庶民」の側に立つものです。旧体制出身の荷風が描く視点も、「庶民」の暮らしを通して時代や社会を見ているものでした。
市川に越して来た理由を、「ぼくも永井荷風が好きで市川に引っ越したくらいでかなり読んでるんです」(『作家の証言 四畳半襖の下張裁判』1979・昭和54)と語る井上ひさしと、市川を終焉の地とした荷風は、同じ視点でこの市川を眺めていたのではないでしょうか。
昭和の時代にはまだこのような草の根の「庶民」の暮らしが広がっていました。
井上ひさしがこだわる視点は、一貫して「庶民」の側に立つものです。旧体制出身の荷風が描く視点も、「庶民」の暮らしを通して時代や社会を見ているものでした。
市川に越して来た理由を、「ぼくも永井荷風が好きで市川に引っ越したくらいでかなり読んでるんです」(『作家の証言 四畳半襖の下張裁判』1979・昭和54)と語る井上ひさしと、市川を終焉の地とした荷風は、同じ視点でこの市川を眺めていたのではないでしょうか。
わしの生まれるよりも前、この丘陵地帯は 井上ひさし「ドン松五郎の生活」一九七五(昭和五〇) |
井上ひさし 主な作品受賞歴
1958年 | 昭和33 | 「うかうか三十、ちょろちょろ四十」第13回芸術祭賞脚本奨励賞 |
1969年 | 昭和44 | 「ひょっこりひょうたん島」第9回日本放送作家協会賞最優秀番組賞 |
1971年 | 昭和46 | 「十一ぴきのネコ」第16回斎田喬戯曲賞 |
1972年 | 昭和47 | 「道元の冒険」 第17回岸田戯曲賞・芸術選奨新人賞 |
1972年 | 昭和47 | 「手鎖心中」 第67回直木賞 |
1979年 | 昭和54 | 「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」第14回紀伊國屋演劇賞個人賞 |
1980年 | 昭和55 | 「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」第31回読売文学賞・戯曲部門 |
1981年 | 昭和56 | 「吉里吉里人」 第2回日本SF大賞 |
1982年 | 昭和57 | 「吉里吉里人」 第33回読売文学賞・小説部門 |
1986年 | 昭和61 | 「腹鼓記」「不忠臣蔵」第20回吉川英治文学賞 |
1988年 | 昭和63 | (昭和庶民伝三部作の完結)第15回テアトロ演劇賞 |
1991年 | 平成3 | 「シャンハイムーン」 第27回谷崎潤一郎賞 |
1991年 | 平成3 | 「東京セブンローズ」第47回菊池寛賞 |
2001年 | 平成13 | 知的かつ民衆的な現代史を総合する創作活動 第71回朝日賞 |
2001年 | 平成13 | 第3回織部賞 |
2003年 | 平成15 | 「太鼓たたいて笛ふいて」をはじめとする創作活動 第44回毎日芸術賞 |
2003年 | 平成15 | 「太鼓たたいて笛ふいて」第6回鶴屋南北戯曲賞 |
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情報の問い合わせ
市川市文学ミュージアム
(市川市 文化国際部 文化施設課)
〒272-0015
千葉県市川市鬼高1丁目1番4号 生涯学習センター(メディアパーク市川)2階
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