更新日: 2022年6月16日

市川はノリの産地です!

はじめに

獲れたての生ノリ

私たち日本人は、ノリをワカメやコンブとともに古くから食べてきました。歴史の古さだけではなく、食べる量も他の国よりも断然多くなっています。全国のノリの生産量は、昭和60年度で90億枚、62年度は97億枚そして63、元年度にはついに100億枚の大台に達しました。平成21年度は、79億枚と減少しましたが、例年、約100億枚生産されております。

ところが、ノリの生きている姿は余り知られていません。ノリが生育している海は、人が簡単には近づけない特別な場所だからでしょう。海藻という植物の仲間であり、種から芽がでて、生長していく姿は陸上の植物とほぼ同じです。これから、いつも皆さんの食卓を飾るこのノリを深く調べてみましょう。

近年のノリ事情

【ちばの輝き】
平成28年度漁期は全国的に不漁の中、生産技術の革新により生産量も維持され、高値で取引されております。
しかしながらノリ養殖は気象や海況に大きく左右され、特に水温はノリの生育に大きな影響を与えております。ノリが安定して生育するには、秋季のスムーズな水温降下が必要ですが、近年の温暖化傾向により、この時期の水温が高く、また変化が大きいことがノリの健全な生育を妨げ、全国的に生産枚数減少の一因となっています。
 そこで、平成21年度に品種改良により生まれたのが、高水温時の水温変化に強い新品種「ちばの輝き」です。

「ちばの輝き」の特徴として
・秋の高水温停滞期でも生長が良い
・葉形が極めて細く、単位面積あたりの収量が多い
・葉が薄く、なめらかで歯切れが良い製品ができる


今後は、「ちばの輝き」が全国のノリ生産量の回復を牽引していく存在となりますので、どうぞご期待ください。
 
参考:千葉県ホームページ
【ノリ生産者の減少】
市川市内でノリ生産を行っているのは5軒程度しかいません。生産者の減少は自治体だけでなく、全国的に問題となっているため育成計画も取り組んでおります。

ノリの語源

『ぬるぬるする』の『ぬる』が訛って、ノリに変わったと言われています。別の説によると、『ノ』は『ナ』の変わった呼び方であり、『ナ』は菜(ナ)魚(ナ)のように食べものの全体を示すものであって、『リ』は藻類の意味であります。食物の呼び名は、1字をいやがることから2字を使って『ナリ』、それが変化して『ノリ』になってものとされています。

ノリの食べはじめ

およそ1300年前の大和時代から、ノリを税金の代わりとして納めていたという記述があります。平安時代も同様です。また、平安時代には貴族は米を主食にしており、おかずとして海藻が野菜等とともにかなり食べられていたようです。江戸時代になると産業の発達にともなって、ノリの生産が増え、庶民の口に入るようになるほど大衆化しました。お茶うけとしても利用されていたほどです。

ノリ作りのはじまり

江戸時代の終わりになると人口も増え、家々から出される食べ物のかす等が隅田川を伝って東京湾に流れ込み、栄養たっぷりになったため、岩や流木にノリがよく生長するようになりました。こうして発生するノリを安定して収穫しようと工夫し始めたことがノリ作りの始まりです。

漁師は魚をとるために浅い海に立てたソダ(葉を落とした木や竹を束ねた物)にノリが付くことに気付き、これを海に何本も立ててノリの養殖を始めました。1717年のことです。 ソダひび(ノリを付着させる道具)によるノリ作りは、種のつく量が少ない等自然まかせのかなりあらいことが欠点でした。今では合成繊維の網でノリを成育させる網ひび法(固定式)が開発され、安定した収穫量になっています。

行徳のノリ作り

千葉県のノリ作りは1821年近江屋甚兵衛によって始められ、今では数少なくなった干潟がノリ養殖に適していることから、干潟の広がっていた千葉県の東京湾全域にひろがりました。

市川の行徳、南行徳のノリ作りは、隣の浦安、船橋よりも新しいものです。行徳では、明治政府が塩作りを奨励したので、ノリを作りたくても作ることができず、仕方なく浦安と船橋から漁場を借りて、ノリの生産を細々と行っていました。ノリの漁場を権利として手に入れたのは戦後のことです。

ノリ作りの場所

千葉県のノリ作りは1821年近江屋甚兵衛によって始められ、今では数少なくなった干潟がノリ養殖に適していることから、干潟の広がっていた千葉県の東京湾全域にひろがりました。

市川の行徳、南行徳のノリ作りは、隣の浦安、船橋よりも新しいものです。行徳では、明治政府が塩作りを奨励したので、ノリを作りたくても作ることができず、仕方なく浦安と船橋から漁場を借りて、ノリの生産を細々と行っていました。ノリの漁場を権利として手に入れたのは戦後のことです。

ノリの一生

ノリは1年で芽生えて枯れる海藻です。春から初秋までの六ヶ月のあたたかい間はカキ殻などの貝殻にもぐって、眼に見えないぐらい小さな糸状体(しじょうたい)と呼ばれる糸状の姿となって過ごします。9月に入り水温が23度に下がると、そこから胞子(種)が飛び出してそれが他の物に付着して、生長していきます。種が飛び出すのは、大潮の頃の特に午前中が多いようです。やがて肉眼で確認できる葉の姿となって伸びてきます。3月になると、生長した葉から果胞子(卵)を放って同時に枯れます。この卵がカキ殻に付着すると、すぐに糸状体を作ります。

漁師さん達のノリ作り

春に、成熟した葉から放出された果胞子(卵)をカキ殻の中にもぐらせます。夏の間は水を入れたタンクの中で面倒を見て、秋にここから胞子(種)が飛び出すのを待ちます。盛んに飛び出すようになったところで、網への種付けを行います(陸上採苗)。するとおよそ一ヶ月で摘みとれる大きさの葉になります。種付けから収穫までの間にアオサやアオノリ等の雑藻を取り除く作業をはじめ、農作業と同じような作業が行われます。ノリの収穫は11月から4月まで行われています。特に11月から年内にとれるものは新ノリと呼ばれ、柔らかくておいしいものです。

陸上採苗とは

天候等に左右されず、陸上で採苗を安定的に行うことができる方法です。

直径2メートルの大きな水車に100枚程度のノリ網を巻きつけます。この水車と23度以下に冷却した海水で満たした水槽で採苗します。水槽には、20度に冷却した海水を満たし、採苗の1週間前から培養したカキ殻を吊るしておきます。カキ殻を真っ暗な状態から解放し、光りをあてますとおよそ30分ほどでノリの種が放出します。これをノリ網に付着させるわけです。水車を回転させることによって、種が均一に付着します。ノリ網に、種が一定の数、均一に付着したことを確認するため、光学顕微鏡や蛍光顕微鏡(付着した種だけが蛍光を発します)を用います。適正な付着であったノリ網は水車からはずし、養生水槽で乾燥、冷凍に対して強くなる状態まで育苗します。俗に、芽立ちをすると言います。丸い種がこん棒状から根元がくびれた状態に成長するまで育苗します。この間、およそ3から4時間です。ここまで育苗したノリ網は水を切り、マイナス20度以下の冷凍庫に一定期間保管しておきます。海水温が23度以下になったならば、漁場に張り込み、生産用の網に仕立てていきます。

乾ノリの作り方

網についたノリを昔は素手で摘み取っていましたが、今はノリペット(ノリ摘み機)で摘み取れるため、作業が楽になりました。回転するカッターでノリを切り取り、切りとったノリを
海水とともに吸いこんで、ノリと海水を自動的に分ける機械です。最近では高速摘採船(通称:潜水艦)を網の下に潜らせて、ノリを収穫する効率の良い方法も取り入れられています。
摘みとられてたノリはその日のうちに乾ノリとされます。

作業工程

1.ノリの洗浄 摘んできたノリからゴミや他の藻などの混じりものを除き、きれいに洗う。 (現行式:自動洗浄機  旧式:手で洗う)

2.ノリの切断 洗ったノリを細かく切断して、ペースト状にする。 (現行式:自動切断機  旧式:薄い包丁で切る)

3.ノリすき  四角い(21センチ×19センチ)簀(す)にすく。 (現行式:自動ノリすき機  旧式:守薄い包丁で切る)

4.ノリの乾燥 簀(す)にすいたノリの水を切り、40度前後にした温風で乾燥する。 (現行式:機械乾燥  旧式:天日乾燥)

5.ノリ剥ぎ  乾しあがったノリを簀(す)から剥ぎとる。1枚約3グラム (現行式:自動はがし機  旧式:はがし板ではぐ)

6.ノリの結束 10枚1帖として、2つ折りにして、帯をする。

ノリの養殖について

ノリ養殖は今から約300年前の江戸時代中期に始まったと言われており、発祥の地は一説に東京湾の品川あたりといいます。

ノリ養殖が飛躍的に発展したのは、第二次世界大戦後に発見されたノリ糸状体にあります。ノリは冬場に葉状体の形をとり、生産期を迎えますが、ノリ糸状体の発見まで現在主力の養殖品種であるアサクサノリやスサビノリの生活史、夏場の過ごし方がわかりませんでした。ノリは夏場、貝殻に穿孔した胞子が糸状に成長、成育し、秋の彼岸ごろブドウの蔓(つる)にたわわに実った果実のように、育ったノリ種が海中に放出されノリ網に付着し葉状体へと成長していきます。貝殻に含まれているノリ糸状体がノリの胞子であることを発見したのは英国の海藻学者、キャサリン・M・ドリュー女史です。これを機にそれまでは限られた漁場による天然採苗をもとにノリ養殖は営まれていました。この発見が人工採苗を可能とし、安定生産の足がかりとなりました。

その後、生産技術、資材、新品種など枚挙に暇がなく開発が進み、併行して陸上での製造施設の拡充から現在の安定した生産を実現しました。

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情報の問い合わせ

市川市 行徳支所 臨海整備課

〒272-0192
千葉県市川市末広1丁目1番31号

電話
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