更新日: 2023年5月22日
特集2:情熱が実を結んだ
善六さん市川のなしをつくる
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[特集]目次
[特集2] 情熱が実を結んだ
善六さん市川のなしをつくる
日本での梨栽培は、1300年前に書かれた『日本書紀(にほんしょき)』という歴史書に桑や粟(あわ)などと共に梨の栽培が奨励されたと記述されており、そのときには始まっていたようです。
千葉県では約230年前(江戸時代の頃)に八幡村の川上善六(かわかみぜんろく)氏が、漢詩の一節から梨栽培を思い立ち、栽培が盛んな地域から枝を持ち帰って栽培し広まったという言い伝えがあることから、本市が県の梨栽培発祥の地と言われています。
これから旬を迎える市川のなし。
その生みの親である川上善六氏の梨栽培にささげた生涯を紹介します。
問い合わせ=TEL047-711-1141農業振興課
■一.<貧しい暮らし>余裕なしの日々
寛保(かんぽう)2 (1742) 年1月、善六は八幡村(現在の八幡2丁目、3丁目の一部) で生まれ、幼少の頃から農業に励んでいました。しかし、この地域は砂地であることなど穀物には適さない土地であったことから、農民たちは貧しい暮らしを送っていました。
善六の家もまた祖父の代からかなりの借財を抱えており、このような環境から抜け出そうと農作物の栽培を工夫しましたがうまくいきませんでした。
■二.<詩集との出会い>なし栽培のきっかけ
善六は少年の頃から学問を好み、農業のかたわら漢学を勉強していました。明和(めいわ7 (1770) 年、善六28歳のとき、葛飾八幡宮の祭祀(さいし)で中国の漢詩を集めた詩集に出会います。その詩集の一節から梨栽培を思い立ち、寝食を忘れて梨栽培に没頭しました。
■三.<なし栽培を学びに>美濃・尾張へ
その後何年も梨栽培に没頭しましたが、なかなか成果が上がりません。ある時美濃と尾張(現在の岐阜県と愛知県それぞれの一部)地方で梨栽培が盛んだと知り、寛政(かんせい)年間(1789~1801) に同地方を訪れます。すると、土壌が八幡と同じ砂地であることに驚き、そこで栽培方法を学び尾張藩の許しを得て、丈夫な梨の枝を八幡に持ち帰ることにしました。
■四.<涙なしでは語れない>枝の持ち帰り
当時は電車もなく交通が不便であったため、枝を枯らさずに持ち帰ることは簡単ではありません。そこで善六は大根に枝を挿し、道中の村々で新しい大根を求めては挿し替えて、挿し替えて…、水分を絶やさぬようにしながら、やっと八幡に持ち帰りました。その枝を葛飾八幡宮の別当寺(べっとうじ)である法漸寺(ほうぜんじ)境内でつぎ木をして育て、その後境内の2000坪を借りて梨園を開きました。
■五.<江戸の市場をにぎわす>市川のなし誕生
数年後、立派な果実をつけ、江戸の市場にて高値で取引されるようになりました。善六はこの梨の栽培方法を多くの農民たちに広め、八幡を中心に梨栽培が盛んになりました。その結果、たくさんの梨が江戸に出荷され、「八幡梨」として市場をにぎわし、将軍家にも献上されました。これが「市川のなし」の起源と言われています。
■六.<なし栽培以外も見習いたい>その後の善六
梨栽培に成功した善六は、梨の枝の持ち出しを許してくれた尾張藩主に対して、梨を毎年献上することを忘れませんでした。また祖父以来の借財を返済し、多大な財産を作った善六でしたが、驕(おご)らず真面目で質素な生活を送りました。これが広く知れ渡り、享和(きょうわ)元 (1801) 年にはこれをたたえて当時の代官から苗字帯刀(みょうじたいとう)を許されました。善六は文政(ぶんせい)12 (1829) 年8月9日87歳でこの世を去りましたが、大正4(1915) 年彼の遺徳を偲(しの)んで、有志によって葛飾八幡宮境内に遺徳碑(いとくひ)が建てられました。
出典:市川民話の会,『市川のむかし話』〔改訂新版〕,2012
市川市教育委員会,郷土読本『市川の歴史を尋ねて』,1988
《チェック!》梨の食べごろカレンダー
市内で主に収穫される品種は幸水、豊水、あきづき、新高です。その時期に旬のおいしい「市川のなし」をご賞味ください(収穫時期は目安になります)。
▽幸水/やや歯ごたえがあり、多汁で甘みが強く酸味が少ない
8月上旬~中旬
▽豊水/甘み・酸味ともに強く味がきわめて濃厚
8月下旬~9月中旬
▽あきづき/みずみずしくてほどよく甘い
9月上旬~下旬
▽新高/果実が大型でやわらかく、甘みが強く酸味が少ない
9月中旬~10月上旬
「市川のなし」は市内スーパーや道の駅いちかわでも販売所されていますが、全体の7割は直売所で販売されています。市内の農産物の直売所を地図にまとめた「農作物直売所マップ」を農業振興課(分庁舎C棟)に設置しています。直売所に行く際には上記と併せてご利用ください。
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