更新日: 2023年6月27日

階段が一つの建築物における火災発生時の適切な避難のために

直通階段が一つの建築物の危険性と避難行動に関するガイドラインの策定について

令和3年12月17日、大阪市北区において多数の死傷者を伴うビル火災が発生しました。
直通階段が一つの建築物は、唯一の避難経路である階段付近で火災が発生した場合に避難が困難となる可能性が高いと考えられます。
総務省消防庁では、この火災を受けて、「直通階段が一つの建築物向けの避難行動に関するガイドライン」を策定しました。
直通階段が一つの建築物の関係者(従業員等)の皆様におかれましては、本ガイドラインを参考にし、有事の際に適切な避難行動や避難誘導が行えるように訓練等を通じて日頃から備えていただきますようお願いします。

ガイドラインのポイント

1 避難

火災発生場所などを踏まえ、適切な避難経路を判断して、避難誘導を実施しましょう。

第1選択肢 直通階段 階段室(竪穴部分)避難後に戸等を閉鎖し、直通階段を使って避難する。 ポイント 直通階段が使用できる場合は直通階段を使用して避難しましょう。

第2選択肢 避難上有効なバルコニー 段室(竪穴部分)戸等を閉鎖する避難上有効なバルコニーが設定された居室等に避難し、避難上有効なバルコニーから避難はしご等を使って外へ出る。

第3選択肢 直通階段から離れた居室等 (1:避難器具が設置されている室、2:防火区画されている居室、3:退避区画(設置されている場合)) 階段室に近寄ることができない場合、戸等を閉鎖し、直通階段から離れた居室等に避難し、避難はしご等を使って外へ出る。

  • ※避難時の注意事項

直通階段から離れた居室等への誘導時の実施事項

避難場所はこっちです。(右の居室に避難)

誘導時には以下の事項を実施しましょう。

  • 煙の流入を防ぐため、可能な場合は階段室の戸等を閉鎖しましょう
  • 退避場所(直通階段から離れた居室等)を確実に把握している人が声を出して誘導しましょう
  • 逃げ遅れがいないか声を出して確認しましょう。
  • 火煙が流入する前に直通階段から離れた居室等に誘導しましょう。

直通階段から離れた居室等に退避した場合の実施事項

煙が流入するのを防ぐため、ガムテープやアルミテープ等を使用して戸の時間を塞ぎましょう。 戸等を確実に閉鎖しましょう。

退避した場合は以下の事項を実施しましょう。

  • 戸等を確実に閉鎖しましょう
  • 避難者が到達して開放する必要があるとき以外は、不必要に戸等を開放しないようにしましょう。
  • 退避してくる人がいないことが確実に判断できる場合には、煙が流入するのを防ぐため、ガムテープやアルミテープ等を使用して戸の隙間を塞ぎましょう。
  • 退避した人数を把握しましょう。
  • 消防機関へ通報しましょう。
  • 避難はしご等が設置されている場合は、それを使用して避難しましょう。

2 初期消火

屋内消火栓設備が設置されている場合は積極的に使用しましょう。
屋内消火栓設備には2つのタイプがあり、操作方法が違うため訓練等の機会に確認しておきましょう。

【ホースが折りたたまれて消火栓ボックスに収納されているタイプ】

ホースが折りたたまれて消火栓ボックスに収納されているため、ホースを延長した後でないと水をホース内に流すことができません。このため、ホースを火元付近まで延長し放水する人と消火栓のバルブを開放する人の、最低でも2人の操作員が必要となります。

1 消火栓ポンプ起動 発信機のボタンを押し、消火栓ポンプを起動します。2 ホース延長 ホースにねじれがないように確認しながら延長し、出火箇所に向かいます。 3 バルブ開放・放水 出火箇所に接近した捜査員の放水準備ができたら「放水始め!」の合図で、消火栓のバルブを放水します。

【ホースがドラムなどに巻かれて消火栓ボックスに収納されているタイプ】

ホースが収納された状態でもホース内に水を流すことができます。このため、一人で操作することができます。

1 バルブ開放 バルブを開放すると消火栓ポンプが起動します。 2 ホース延長 ホースを持ちながら、出火箇所に向かいます。 3 放水 ホースノズルのコックを開き放水します。

3 通報について

  • 電話等で速やかに消防機関へ火災の発生を通報しましょう。
  • 責任者等への連絡・報告を優先することによる通報の遅れがないように注意しましょう。
  • 火災を発見したら、周囲にいる人に大声で火災の発生を知らせ、自動火災報知設備の発信機等で在館者に火災の発生を知らせましょう。

【通報・報知に使用する設備の説明】

左:火災通報装置 真ん中:放送設置 右;自動火災報知設備の発信機 手動または自動火災報知設置の感知器の作動と連動して、蓄積音声情報(住所等)により消防機関に通報できます。 放送設置や自動火災報知設置の発信機を押すことで、音声又は音声により火災の発生を知らせすることができます。

【通報例】

ポイント 火災発生場所や燃焼物等の具体的な状況を正確に伝えましょう。 通報者:119番通報※をする 119番指令センター:「はい、消防です。火事ですか、救急ですか。」 通報者:「火事です」 119番指令センター:「場所はどこですか。」 通報者:「○○区(市)○○町○丁目○番地○号○○(事業者名)です。」 119番指令センター:「何階建てですか・燃えているところは何階ですか。」 通報者:「3階建ての1階が燃えています。」 119番指令センター:「建物には何人いますか。逃げ遅れた人はいますか。」 通報者:「従業員は〇名です。逃げ遅れは今のところわかりません。」 119番指令センター:「何が燃えているかわかりますか。」 通報者:「給湯室から出火しています。」 119番指令センター:「わかりました。すぐに行きます。」

4 火災発生のリスク及び被害軽減のための対策

建物関係者(従業員等)は、火災発生のリスク軽減や被害軽減のため、次のことに留意しましょう。

【階段室(竪穴部分)の維持管理】

火災発生時、直通階段等を介して各階へ煙が拡散しないように階段室の防火戸等を適正に維持管理しましょう。

イラスト:防火戸等の設置
  • 防火戸等は設置されていますか。
  • 防火戸等は正常に作動しますか。
  • 防火戸等が常時閉鎖式の場合は、自動閉鎖装置が破損していませんか。
  • 防火戸等が煙感知器の作動と連動して閉鎖する場合は、適正に点検され作動しますか。
  • 防火戸等の閉鎖障害となるくさびや物品などはありませんか。

【直通階段から離れた居室等の維持管理】

火災発生時、退避した居室等内への煙の流入を防ぐため、居室等の戸などを適正に維持管理しましょう。

  • 戸等は設置されていますか。
  • 戸等が常時閉鎖式の場合は、自動閉鎖装置が破損していませんか。
  • 戸等が煙感知器の作動と連動して閉鎖する場合は、適正に点検し作動しますか。
  • 戸等の閉鎖障害となるくさびや物品などはありませんか。
  • 居室等に避難器具が設置されていますか。
  • 居室等に煙の流入を防ぐために使用するガムテープやアルミテープ等が保管されていますか。

イラスト:左 戸等に閉鎖障害がある 右 自動閉鎖装置が破損している戸

【階段、廊下、避難口その他の避難上必要な施設の維持管理】

火災発生時、可燃物などの物品は避難障害や延焼拡大の要因となるため、避難施設(階段、廊下など)を適正に維持管理しましょう。

イラスト:戸等の周り
  • 避難上支障となる物品は置いていませんか。
  • 可燃物を置いていませんか。

【消防用設備等点検報告】

防火対象物に設置されている消防用設備等又は特殊消防用設備等について、定期的に点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しましょう。防火対象物の規模等により消防設備士等に点検をさせなければならない場合があります。

  • 消防用設備等の点検報告を適切に実施していますか。
  • 点検結果に不備があった場合は適切に改善していますか。

イラスト:防火対象物等の点検

【放火防止対策】

放火されない環境をつくりましょう

  • 建物の周囲や階段等に可燃物を置いていませんか。
  • 建物の死角を巡回や監視カメラ等で定期的に確認していますか。

イラスト:監視カメラ作動中 建物の死角

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市川市 消防局 予防課

〒272-0021
千葉県市川市八幡1丁目8番1号

建築担当
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