更新日: 2025年4月30日
ブルーカーボンに関する取組
市川市魚食文化フォーラム実行委員会では、カーボンニュートラル実現に向けて、海洋における二酸化炭素削減の効果が注目されている「ブルーカーボン」を推進するため、三番瀬の海の藻場の保全・回復に関する取組を実施しています。
【カーボンニュートラルとは】
二酸化炭素などの温室効果ガスを削減し、温室効果ガスの排出量と、森林などによる吸収量を差し引いて「実質ゼロ」とすることです。
ブルーカーボンとは
【ブルーカーボンとは】
沿岸・海洋生態系が光合成によりCO₂を取り込み、その後海底や深海に蓄積される炭素のことを「ブルーカーボン」と呼び、温室効果ガスの吸収源の新しい選択肢として世界的に注目されています。
ブルーカーボンの主要な吸収源としては、藻場(海草・海藻)や塩性湿地・干潟、マングローブ林があげられます。
【ブルーカーボンの仕組み】

アマモの移植実験(令和6年度)
市川市魚食文化フォーラム実行委員会では、令和6年度から三番瀬にアマモを植え付ける実験を実施しています。アマモは、ブルーカーボンの吸収源として効果が期待されています。
また、アマモは「海のゆりかご」と呼ばれ、産卵する魚介類も多く、稚魚や稚貝のすみかとなるため、移植したアマモ場に生物が定着するか調査していきます。
アマモの植え付け(令和6年11月2日)
市川市漁業協同組合と特定非営利活動法人三番瀬フォーラムにご協力いただき、富津で採取したアマモ約300株を三番瀬に移植しました。
移植後に流されにくくするため、採取したアマモの根に紙粘土を付ける作業を行いました。紙粘土を付けたアマモは、一本ずつダイバーが海底に植えていきます。移植後に紙粘土は水に溶け、アマモが根を張り定着していく予定です。
モニタリング1回目(令和6年11月16日)
移植して約2週間が経ち、最初のモニタリングを実施しました。
船上から水中ドローンを操作して、海底のアマモを観察します。移植後に暴風や波浪もなく、株の消失はほとんど見られませんでした。このまま順調に育つことを期待しています。



モニタリング2回目(令和6年12月14日)
移植から約1か月半が経ちました。当日は強風で水中も濁っていて、調査が難航しました。
アマモの株数はほとんど減っていませんでしたが、一部枯れている箇所が確認されました。前回から育っていないように見えますが、アマモは冬の寒い時期に生長が盛んになるので、引き続き見守っていきます。



モニタリング3回目(令和7年1月11日)
令和7年最初の調査を実施しました。アマモは、根本付近にウシケノリと思われる藻類が多く付着していましたが、前回の調査から葉の数が大幅に増加し、草丈の伸長も見られました。稚魚などの生物の定着はまだ見られません。
また、冬の晴天時は、三番瀬の海からも富士山がきれいに見えます。



モニタリング4回目(令和7年2月15日)
順調に生長が続いています。地下茎から株が分かれ、草数が多くなりました。平均で40センチメートルまで草丈が伸び、50センチメートルを超える個体も見られました。



モニタリング5回目(令和7年3月15日)
今回は直前の天候などの影響で透明度が悪く、海中の観察を行うのが難しかったです。まだアマモ場に生き物の様子を観察することはできませんでしたが、アマモはしっかり生長し続けていて、草丈が平均して70~80センチメートルほどにまで育ちました。
次回の調査では、最干潮時に移植地点まで行き、直接生き物の定着具合を調査する予定です。



モニタリング6回目(令和7年4月29日)
移植して半年が経ちました。今回は干潮の時間帯にアマモ場に近づいて調査しました。
草丈は平均で約100センチメートル、最長で135センチメートルのものもあり、株の密度は移植時から10倍程度に増えていました。また、花枝を付け、種を放出しようとしている様子も確認できました。
さらに、先月までは生物が確認できませんでしたが、今回はスズキ、メバル、ギンポ、ヒメイカなどの稚魚が多数観察できました。さらに、根元には三番瀬でほとんど見られなくなったアサリの稚貝も確認でき、アマモが「海のゆりかご」と呼ばれる理由を実感することができました。
次回の調査でどのようになっているのか、非常に楽しみです。


