
市川市は市制九十周年を記念し、三田文学会とともに「永井荷風文学賞」を創設しました。
永井荷風は明治43年『三田文學』を創刊し、初代編集長となって以降、百数十年にわたる日本文芸の隆盛の礎を築きました。戦後、荷風は晩年を市川市で過ごし、市川の風物を描いた作品を多く残しています。荷風が橋渡し役となって三田文学会と市川市は深い縁で結ばれています。
本文学賞は、既刊本を対象とする“永井荷風文学賞”と公募を対象とする“永井荷風新人賞”から構成されます。
画像提供:永井壮一郎氏
- 2025年06月16日 第1回 永井荷風文学賞最終候補作品が決定しました。
- 2025年04月28日 選考委員からのメッセージを更新しました。
- 2025年04月21日 選考委員からのメッセージを更新しました。
- 2025年04月14日 選考委員からのメッセージを更新しました。
- 2025年04月07日 選考委員からのメッセージを更新しました。
対象作品
荷風の幅広い功績にならい、小説、随筆、評論、演劇、詩、翻訳の分野において、永井荷風文学賞に最も相応しい文学作品。
対象期間
第1回は、令和6年6月1日から令和7年5月31日に刊行された作品。
※本文学賞は、既刊本を対象としています。
結果通知・表彰
賞金 100万円
受賞結果並びに選考会の様子は広報いちかわ並びに「三田文學」誌上に掲載予定。
永井荷風新人賞は新進気鋭の書き手の発掘と支援に情熱を傾けた荷風の精神にならい、「三田文學新人賞」を引き継ぐ形で行います。
対象作品
対象分野は小説と評論で、募集要件は未発表作品で400字詰め原稿用紙100枚以内。
対象期間
毎年6月1日~翌年5月31日としますが、第1回に限り令和5年11月1日~令和7年5月31日とします。
結果通知・表彰
永井荷風新人賞 50万円
佳作 10万円
※受賞作が複数の場合は賞金を等分します。
※受賞に該当する作品が無い場合があります。
受賞結果は広報いちかわ、受賞作品の全文ならびに選評は「三田文學」誌上に掲載予定。
第1回 文学賞最終候補作品(文学賞・新人賞の受賞作は9月に発表を予定しています)

市街地ギャオ / 著
『メメントラブドール』 (筑摩書房、2024年10月)

田中純 / 著
『磯崎新論』 (講談社、2024年11月)

宇野常寛 / 著
『庭の話』 (講談社、2024年12月)

乗代雄介 / 著
『二十四五』 (講談社、2025年1月)

江本純子 / 著
『真夜中に寂しくなったときに観たい演劇』
(上演用台本、公演期間:2025年4月11日~4月20日)
※刊行・発表順
選考委員からのメッセージ(2025年 4月 28日更新)

1879年(明治12)~1959年(昭和34)
東京(現・文京区)生まれ 本名:壮吉
若くしてアメリカやフランスに外遊し、『あめりか物語』(明治41)、『ふらんす物語』(明治42)を著す。
明治43年慶應義塾大学教授となり、「三田文學」を主宰創刊。あいつぐ発禁処分を経て、江戸文化、趣味に傾倒する。
随筆『日和下駄』(大正4)、小説『腕くらべ』(大正6)、『つゆのあとさき』(昭和6)、『濹東綺譚』(昭和12)、オペラ「葛飾情話」(昭和13)など多数。
昭和20年戦災で自邸偏奇館(現・港区)を焼失、疎開ののち、昭和21年より市川に移り住み、終焉の地となる。


戦後は小品を雑誌に発表し、昭和27年には文化勲章を受章している。
荷風が市川周辺の風物を描いた作品には、「来訪者」「或夜」「羊羹」「畦道」「にぎり飯」「買出し」「葛飾土産」などがある。
また、大正6年9月16日から昭和34年4月29日の亡くなる前日まで42年にわたって書き続けられた日記『断腸亭日乗』が残されている。
(参考:『市川の文学 散文編』市川市文学プラザ 2012年)