文化財(国指定)立正安国論
立正安国論(りっしょうあんこくろん)
法華経寺が所蔵する二つの国宝のうちの一つです。
日蓮48歳の時の著で、鎌倉幕府の前執権・北条時頼に建白した『立正安国論』の控えの真筆です。厚手の楮紙(ちょし)を36枚継ぎ、縦29センチメートル、全長は15.98メートルにも及び、各紙片の端に枚数を記しています。
原文は漢文で、「当今いろいろと国に災いが続くのは念仏の流行に原因がある。もし、これを禁じないでおけば、さらに内乱外寇が必ず起こるであろう」と経文をあげて予言し、これを防ぐためには法華唱題を広めるよりほかになく、またこれを用いない為政者は早死にするということを、主人と旅人の問答形式で書いています。
奥書には「文応元年(1260年)太歳庚申勘之 従正嘉始之文応元年勘畢」と記し、ついで予見的中の諸箇条を追記したあと「文永六年(1269年)太歳己巳十二月八日写之」と執筆の年次が明らかになっています。
これは日蓮が正面から堂々と幕府を諫めたものなので、字体も略字を用いず楷書で書き、厳しい調子が全体にあふれています。このため、以後日蓮は次々と迫害を受けることになるのです。
なお、第24紙目は紛失したため、これを慶長6年(1601年)11月6日に日通が補写して挿入しています。また軸紙によると正保3年(1646年)8月に本阿弥光甫が補修していることが分かります。
念仏
鎌倉時代に新しくいくつかの宗派が起こりましたが、その中で「南無阿弥陀仏」と口で唱える派を念仏宗と呼びました。浄土宗・浄土真宗・時宗を指します。
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