文化財(国指定)観心本尊抄
観心本尊抄(かんじんほんぞんしょう)
文永10年(1273)佐渡に流された日蓮は、配所にあって独自の教学を宣明しました。本書はその宗旨の教学的内容を漢文で論述したもので、日蓮宗の根本聖典とされています。紙数は17枚で、厚手の楮紙(ちょし)に表裏にわたって書かれ、また13紙以下は寸法の異なる斐紙(ひし)に書いていることなど、流人生活の反映がうかがわれます。
筆跡は実に雄渾闊達です。17紙を一綴りとして牡丹文錦の表紙をつけ、外題に「観心本尊抄」と題し、その下に「日常」と書かれているのは法華経寺の開基日常が外題を書いたことを示しています。また本文の末尾には「文永十年太歳癸酉卯月廿五日、日蓮註之」とあって、著作の時点を明らかにしています。
附添状(そえじょう)
「観心本尊抄」を書いた翌日、富木常忍(後の日常)にあてて、本尊抄の重要性を述べ、その取扱いについて厳しく注意を与え、自ら撰述の心境を披瀝(ひれき)したものです。
附 春日山蒔絵筥(かすがやま まきえばこ)
「観心本尊抄」や添状を納めた筥は、春日山、秋草、鹿などを散らした優雅な金の高蒔絵(たかまきえ)で、名工五十嵐道甫(いがらしどうほ)(2代)の傑作です。これは正保3年(1646)加賀藩主前田利常の寄進によるものといわれています。
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