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大久保康雄(おおくぼ やすお)。1905(明治38)年茨城県生まれ。英米文学者、翻訳家。本名は保雄。
大宅壮一が主宰した大宅翻訳集団に参加して『千夜一夜物語』全12巻を完成させたのが、翻訳の道に入るきっかけとなった。また、翻訳工場と呼ばれるグループの名義人的存在で白木茂、田中西二郎、中村能三ら大久保の元に集まる人々に下訳をまかせ、主に米国の小説を中心に100冊以上もの翻訳作品を世に送り出した。
マーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』(共訳)、スタインベックの『怒りの葡萄』、オルコットの『若草物語』、他にもエミリー・ブロンテ、パール・バック、ヘミングウェイ、コナン・ドイル、ヘンリー・ミラー、エラリー・クイーン、O・ヘンリー、マーク・トウェイン、レイ・ブラッドベリ等少年少女向けからミステリ、文芸と幅広いジャンルの作品を翻訳した。つねに自分が好きな作家の作品を原文に忠実に訳す、が大久保の翻訳に対する姿勢であった。
また、懐の深い人で、家を訪れる編集者は跡を絶たず、ゴルフなどの遊びに付き合う人間も多かった。

1943(昭和18)年頃から市川市に約45年間住み、クロマツの多い菅野が気に入っていた。1957(昭和32)年に葛飾八幡宮境内に市川市立図書館として新館が建築されたときに、広く市民から著書の寄贈を受けたが、中でも大久保は1958(昭和33)年4月に622冊もの文学を中心にした書籍を寄贈。図書館ではこれを受けて同年7月の主題図書として、特別に「大久保康雄氏寄贈コーナー」を設置した。このとき寄贈された書籍の一部は、翻訳図書を中心に、現在でも中央図書館市民文庫として大切に保存している。
刊行年あとの★:市川市図書館所蔵あり。
| タイトル名 | 出版社 | 刊行年 |
|---|---|---|
| 偉人を語る(編) | 三笠書房 | 1936 ★ |
| 「現代英米文学の動向」(『現代文章講座 第6巻』所収) | 三笠書房 | 1940 ★ |
| アメリカ文学史 | 三笠書房 | 1941 |
| アメリカ文学史 | 三笠書房 | 1948 |
| 孤獨の海 | 仏蘭西書院 | 1948 ★ |
| 自由は銀河のごとく:ジョゼフ・ピュリッツァの一生 | 翰林書院 | 1949 ★ |
| 「ヘンリー・ミラーについて」(『わが読書』所収) | 新潮社 | 1960 |
| 「マーガレット・ミッチェル」(『アメリカ女流作家群像』所収) | 駸々堂出版 | 1980 ★ |
| ヘンリー・ミラー:現代作家論(編) | 早川書房 | 1980 ★ |
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