ホーム > サル山2010初夏


サル山2010初夏

印刷する
更新日: 2018年10月23日

はじめに

2010年 5月現在、市川市動植物園のサル山では、31頭のニホンザルが暮らしています。

2008年 6月20日、元気に生まれたオトメ(♀)は、子育てがわからなかったお母さんに置き去りにされてしまいました。

その後、人工哺育ですくすくと育ち、お気に入りのクマのヌイグルミと群れのNo1、ゴロン(♂)の力を借りて無事、群れの仲間になれました。

今ではヌイグルミ(親?)離れし、多少のことではゴロンの助けが無くても、大丈夫です。
同年生まれのミミ(♀)、マルコ(♀)とは良い遊び仲間となり元気に暮らしています。


2009年初夏

2009年 6月、1才になるオトメは群れの仲間になるため毎日、開園前の朝のエサの時間から閉園まで、ヌイグルミと一緒に群れとの同居を続けていました。サル達にも、認知され、かかわり方も覚えてきました。でも、夜間だけはまだ心配なので、他のサルが入れない部屋で過ごしていました。

春~初夏はニホンザルの出産の季節です。この年も6月1日、5日、7日に計3頭の子ザルが誕生しました。ニホンザルの赤ちゃんは、普通一度のお産で1頭。夜間に生まれる事がほとんどで、朝、飼育員がサル山に行くと、すでに母ザルが子ザルを抱いています。

6月5日の朝、飼育員がいつも通りサル山に行くと、生まれたばかりの子ザルが、置き去りにされていました。子ザルは静かに横たわり、オトメの時の様に声をあげてはいませんでした。群れのサルはあまり気にする様子もありません。

一見したところ体も大きく、毛も乾いています。
幸いなことに目立った外傷も無く、目もしっかりと見開いていました。
夜は群れとは別々に過ごすオトメは、この子ザルを、この時まだ知りません。

ぬいぐるみと一緒に
ニホンザル画像1

子ザルと母ザル

ニホンザルを多頭数で飼育しているサル山でも、2年連続での育児放棄は、まれなケースです。
子ザルは体重508gのオスでした。オトメが生まれた時とほぼ同じ大きさです。

お母さんザルは出血の跡などから、初めてのお産だったハナでした。
ハナは群れの順位は下位で、臆病なため群れのサルに対して、一定の距離をとって行動していました。

ハナは気の弱いサルで、逃げ場が限られた飼育環境の中での生活を思うと、この育児放棄は一概には責められません。

今までに、ひどいケガを負う様ないじめを受けた事はありませんが、おそらく出産の時、他のサルが近づく事を嫌い、その場から逃げてしまったのでしょう。

本来、野生動物であるニホンザルを、人工哺育する事は好ましい事ではありません。

しかし、この子ザルはオトメと同様、群れに戻す為、リュウと名付け、人工哺育で育てる事になりました。
顔に少々のすり傷がある程度で大きなケガもなく、しがみつく力もありました。

へその緒を処置していったん保育器で体を温めます。

保育器の中で
ニホンザルの画像2

リュウとオトメ

リュウの人工哺育は、オトメの時と同じです。へその緒を処置して、保育器に入れます。
そして、数ccほどのミルクを、小型の哺乳ビンで、少しずつ注意しながら与えます。
次に、暖かく湿らせたタオルなどで、お尻を軽くマッサージして排泄を促します。

最初は胎児の時にお腹の中にたまっていた、胎便が排泄されます。

2日ほどすると飲んだミルクの便に変わってきます。ミルクを飲む量も順調に増え、一安心です。

数日後、保育器から飼育用のケージにいくつかのヌイグルミと一緒に移しました。だんだんとつかまる力も強くなり、1ヶ月ほどで、まだ上手に使えない手でリンゴなどを口に運びます。

2~3ヶ月すると、手も器用になり、ミルクと共に、リンゴ、野菜、サルペレットなど、大人のサルと同じエサを積極的に食べる様になります。

哺乳の様子
ニホンザルの画像3
2009年8月、1才2ヶ月になるオトメは、自立心が強くなったのか、ヌイグルミから離れて行動する時間が長くなってきました。
ある日、雨ざらしにされびしょ濡れの為、ヌイグルミをしまいました。

オトメは平気で走り回っています。
渡せば、乗っかったり、引きずったりしますが、もはや遊んでいるみたいです。今まで、お母さんがわりだったクマのヌイグルミの疲労?も限界、クタクタです。この日で、ヌイグルミ(親?) 離れとしました。

オトメが順調に群れに馴れてきた8月。
リュウを群れのサルとの顔合わせの為、サル山に連れて来ました。ケージ越しに、お見合いです。
オトメとリュウ
ニホンザルの画像4
初め大人のサルに少しビックリした様子でしたが、すぐに慣れてきました。
中でも、オトメはリュウの入っているケージに積極的に近づきます。そこで、しばらくしてオトメとリュウを夜間だけ同居させる事にしました。

教育係?のオトメはマイペースながら、リュウがくっついても、あまり嫌がらず、なかなかのお姉さんぶりです。
2ヶ月ほど夜間一緒に過ごしましたが、部屋の中では飽き足らなくなったのか、朝、部屋から出すと一目散に群れの中に駆け込んで行きます。その姿は群れのサルそのものです。

11月初旬、オトメは一日を通して、群れの中で生活させる事にしまた。

今度は、リュウが群れの中に入る練習を始めます。
この頃には哺乳は終わり、食べる物は群れのサルと同じです。

午後のエサの時間にケージの扉を開け放し、外に出るのはリュウの自由に任せます。
恐る恐る外に出てエサを拾いますが、早くしないと、美味しいエサはなくなります。頼りのオトメも、リュウの手からサルペレットを取り上げたりします。
しだいに、リュウも負けずにエサを拾い、素早く頬袋に詰め込む事を覚えます

同居訓練
ニホンザルの画像5
頬袋に詰め込む!
ニホンザルの画像6
2010年初夏、リュウの群れに入る練習は続いています。
行動範囲も少しずつ広がり、群れのサルとのかかわり合いも覚えてきました。
しかし、オトメの時の様にヌイグルミを持って歩く事はしません。
あまりヌイグルミには依存していない様で、むしろ、オトメやゴロンについて行こうとしています。

終わりに

まだまだ、リュウの奮闘は続き、学習する事もいっぱいあります。
いざという時は助けてくれるゴロン、優しいと思って背中にしがみついたら「それはダメ!」とばかりに振り払われます。子育て中のお母さんザルには「おまえはどこの子だぁ!」という感じでにらまれます。
大人のサルと一緒に
ニホンザルの画像7
オトメと一緒
ニホンザルの画像8
おばあちゃんザルは近くでエサを食べても平気ですが、大人のオスは体も声も大きく、近くに来るだけでちょっと怖くて、その場から逃げます。
今ではすっかり群れに馴染んだオトメは、大好きなペレットを横取りする事もあるけれど、何かと頼りになります。

今年も子ザルが誕生しました。
リュウも先輩になり、オトメはだんだんと大人のサルに近づいてきます。
群れの中で、成長するオトメとリュウに会いに、どうぞサル山に足を運んで下さい。