文化財(国指定)絹本著色日蓮聖人像

絹本著色日蓮聖人像(けんぽんちゃくしょくにちれんしょうにんぞう)

日蓮が床上に座し、両手に経巻を開いて読誦している姿で、信者の間では「水鏡の御影」と呼ぶ画像です。縦63.9センチメートル、横38.2センチメートル、額面と肉身は胡粉の白色、肉線と衣文線は墨、頭部と髯の剃りあとは淡青色、唇には朱が施されており、法衣と袈裟は淡黄色です。大和絵の系統に立つ作品で鮮やかな色遣いは見事です。床前には法華経8巻を並べた経机と花瓶を置いた卓があり、かたわらに磬が配されています。

絹本著色日蓮聖人像

また画面の右上隅に縦10.9センチメートル、横15.2センチメートルの色紙形の区切りがあり、紅白の地塗りの上に金銀の切箔野毛の装飾が施され、そこに「曽谷入道殿許御書」の一節が次のように墨書されています。

  • 正像二千自西流東
  • 暮月之如始西空末
  • 法五百自東入西朝
  • 日之似出東天

作者は法華経寺第2世の日高聖人で、正和3年(1314)の作と伝わります。鎌倉時代後期の日蓮像としてもっとも優れた作品であるといわれています。

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