SF作品にみる巨大建造物

地球上での巨大建造物は、重力の制約があるため、構造上あまり大きく高くはできません。でも宇宙空間ならば可能です。たとえば映画「スター・ウォーズ」に出てくる帝国の要塞「デススタ」ーや、アニメ「銀河鉄道999」の宇宙に敷かれている軌道や「機動戦士ガンダム」の宇宙コロニーなど皆さんたくさん思いつかれるでしょう。

但し今回は本格SF作品の中でも、人工惑星や人工星系など気宇壮大な、天体クラスの大きさに匹敵する建造物の出てくる作品に限定しました。

  • ※このコンテンツは、1999(平成11)年6月から9月にかけて、中央図書館で開催された特集展示「巨大建造物」に併せて、ホームページに掲載したものです。今回、再録にあたり、主な種別ごとに整理し再構成しました。

宇宙エレベータ

「宇宙エレベータ」とは、主に宇宙への資材搬出、人員輸送などを目的に、地球の表面から静止軌道上まで伸ばされたエレベーターのこと。「軌道エレベータ」とも言う。

『楽園の泉』 アーサー・C・クラーク/著 山高昭/訳 (ハヤカワSF文庫 1979)

赤道上の静止衛星軌道と地上を結ぶ「宇宙エレベータ」建造の物語。この地球と宇宙空間を結ぶエレベータは長さ4万キロにもおよぶ。

『星ぼしに架ける橋』 チャールズ・シェフィールド (早川SF文庫 1979)

マーリンという名の主人公が「ビーンストーク」(豆の枝の意味)と名づけた「宇宙エレベータ」を建設する物語。こちらは全長10万キロ。

『垂直世界の戦士』 K・W・ジーター 冬川亘/訳 (早川SF文庫 1989)

遥かな未来、雲海よりも上層に聳える巨大な「シリンダー」と呼ばれる巨大建造物があり、人々はその内側の水平な床や外側の垂直な壁で暮らしていた。

恒星間飛行建造物=小惑星・コロニー型宇宙船

『宇宙のランデヴー』 アーサー・C・クラーク/著 南山 宏/訳 (早川書房 1973)

西暦2130年、太陽系内に突如現れた小惑星「ラーマ」は、直径40キロ、自転周期4分という途方もなく、巨大な円筒型の宇宙船であった。その内部は自転による擬似重力があり、海や都市、運河などから成る小世界。NASAの「スペースコロニー計画」の原点とも言える作品。ジェントリー・リーとの共著による続編が4巻まであり。

『ティータン』 ジョン・ヴァーリィ/著 小野田和子/訳 (創元SF文庫 1979)

土星の探査に向かった有人宇宙船「リングマスター」はそこで異星人のものと思われる直径1300キロの車輪型の衛星を発見。内部は豊かな自然にあふれ、異様な生物たちが闊歩する広大な世界であった。続編として『ウィザード』(創元SF文庫 1980)があり、約70年後の設定。

『永劫』上・下 グレッグ・ベア 酒井昭伸/訳 (早川SF文庫 1985)

地球上空に突然現れた謎の小惑星は、直径100キロ、長さ300キロの大きさで「ストーン」と名づけられた。内部に保存されていた資料から、未来の地球人による建造物であることが判明する。さらにこれから起こる未来の熱核戦争の結果まで記されていた。

ダイソン球殻天体

『スターメイカー』 オラフ・ステープルドン 浜口稔/訳 (国書刊行会 1935)

惑星系を解体して中心の恒星を取り囲む殻状の構造体によって放射エネルギーを全て活用している超文明-物理学者フリーマン・J・ダイソンの球殻天体のアイデアの原点となった古典的作品。

『リングワールド』 ラリイ・ニーヴン 小隅 黎/訳 (早川書房 1970)

リングワールドとは、太陽と同じような恒星を幅1600キロでリボン状に取巻き、毎秒約130キロで回転する人工世界。回転することにより内面には重力が発生していて、大気がある。ダイソン球殻天体の帯状とも言える環状世界のアイデア。続編として『リングワールドふたたび』がある。

そのほか

『小遊星物語』 パウル・シェーアバルト 種村季弘/訳 (平凡社 1913)

星と星をつなぐ塔を建設する一大建築事業に没頭するパラス星の指導者を描いた古典的作品。著者は晩年の著作「ガラス建築」により、ブルーノ・タウトやグロピウス等、第一次大戦後の建築家世代に大きな影響を与えた。

『虚空のリング』 スティーヴン・バクスター 小木曾絢子/訳 (早川SF文庫 1994)

宇宙の支配種族ジーリーが建造した謎の大構築物「リング」。宇宙の黎明から終局まで描く驚異の未来史。

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