更新日: 2018年5月28日

2018年3月14日 一般質問(中村よしお議員)

一般質問(中村よしお議員)

会議
午前10時開議
○松井 努議長 ただいまから本日の会議を開きます。


○松井 努議長 日程第1一般質問を行います。
 順次発言を許します。
 中村よしお議員。
○中村よしお議員 おはようございます。公明党の中村よしおでございます。通告に従いまして一般質問を行います。
 地籍調査及び区域線測量について、(1)本市の地籍調査についての考え方及び取り組み状況についてであります。過去、市川市は地籍調査について、国の補助事業である市街地緊急地籍調査をおよそ平成16年ぐらいに、また同様に、平成17年度から22年度にかけて都市再生地籍調査事業を行っております。阪神・淡路大震災や新潟中越地震、東日本大震災時に地面が動きまして境界の復元が困難になる実害が出ていることなどから、地籍調査の必要性が改めて認識をされているところであります。
 市川市議会における過去の会議録を見てみますと、2003年の2月定例会で市街地緊急地籍調査と統合型地理情報システム整備計画について質問されておりまして、それに対する答弁として、この市街地緊急地籍調査事業というのは市域全域の道路、河川などの公共用地と民地との境界を確定していくもので、これまで行った区域線測量事業が路線の一部について官民、官官境界を確定する手法とは異なり、市域を15ブロックに区分し、ブロック単位で重点的に、計画的に全ての官民、官官境界を確定していくものだと。事業の進め方は、多くの公共事業が予定され、多くの測量業務が見込まれる外環道沿線から着手する考えであり、北国分地区を第1期と考え、順次南部方向に移行する考えであるというふうに説明をされております。しかしながら、約15年たった現在の市川市の地籍調査の状況を見ると、答弁のようには事業は進捗をしていないようであります。
 それはそれとして、今回、地積調査について議論を進めていくに当たり、まずは(1)本市の地籍調査についての考え方及び取り組み状況について伺います。
○松井 努議長 道路交通部長。
○田村恭通道路交通部長 お答えいたします。
 地籍調査は、国土調査法に基づく国土交通省所管の調査の1つでありまして、調査対象区域内の1筆ごとの土地について、その所有者、地番地目を調べ、境界の確認、面積の測量を世界共通の測量基準であります世界測地系を使用して行い、現況に合った正確な地図及び台帳を作成するための調査でございます。地籍調査には、1筆ごとに民地と民地の境界を全て決める方法と、道路に面した部分を先行して決める方法がございます。その区域全体の所有者の同意が得られた場合は地図及び台帳を法務局に送付し、法務局で公図を地積図に入れかえ、台帳の内容を登記簿に反映することになります。登記簿に反映する理由といたしましては、現在、この公図は旧土地台帳附属地図と表記されておりますように、明治初期の地租改正時につくられた図面がもとになっており、当時の測量技術及び図面が短期間でつくられたことなどから境界や形状等が現地と整合しておらず、登記簿上の土地の面積も正確でない場合があるからでございます。また、国土交通省が平成16年から3年間で都市部の地籍調査を推進するための基礎的データを整備する調査を都市再生街区基本調査として行ったところでございます。この調査におきましては、本市には現況測量に使用するための街区基準点2,549点が設置されたところでございます。この街区基準点は、平成18年、市に移管されております。地籍調査は土地取引の円滑化、災害復旧の迅速化及びまちづくりの円滑な実施等に資するものであるとともに、固定資産税や不動産登記行政の基礎データとなります。法務局の公図等に反映することから必要なものとは認識しております。そして取り組み状況でございますが、本市はこれまでに1.68?の地域で地籍調査を行ったところでございます。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。本市では地籍調査、市域の1.68?の地域で行っているということでありました。答弁からもわかりますように、地籍調査というのは土地取引の円滑化、災害復旧の迅速化及びまちづくりの円滑な実施等に資するとともに、また固定資産税や不動産登記行政の基礎データとなる法務局の公図に反映することから、本市も必要なものであるというふうに認識をされているということであります。地籍調査は、土地をめぐる行政活動、経済活動、全ての基礎データを築くものであると認識しております。
 それでは続けて伺いますが、地籍調査を行うメリットについて、本市はどのように捉えているのかお答えください。
○松井 努議長 道路交通部長。
○田村恭通道路交通部長 先ほども申し上げましたが、地籍調査は広い範囲を世界測地系で行い、現況に合った正確な地図を作成しておりますことから、大規模災害が発生し、仮に土地がずれた場合におきましても、復旧することが可能となることが最大のメリットと考えております。隣の浦安市が地籍調査を行っておりますが、これは東日本大震災で大きな被害を受けた海側の土地の復旧を行っているもので、震災後に始めたと伺っておりますが、災害以前に地籍調査を行っていれば早期復旧が可能になったと考えられます。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。地籍調査のメリットについて、特に災害時に土地がずれても早期に復旧できるということを挙げられました。ひとまず、これはこれで結構であります。
 次の本市の区域線測量についての考え方及び取り組み状況について伺ってまいります。本市は、地籍調査は現在は行っていないというふうに認識をしておりますが、区域線測量は毎年行っているというふうに承知をしております。この区域線測量について、本市の考え方及び取り組み状況について伺います。
○松井 努議長 道路交通部長。
○田村恭通道路交通部長 お答えいたします。
 区域線測量は、道路法に基づき市が主体となり、市が管理する道路の境界を確定するもので、一般的には路線単位に行われ、道路の区域を明確にすることを目的に行われるものでございます。区域線測量は、市が主導して道路隣接地境界の同意を得ることで道路区域が明確になり、その隣接地の土地取引の円滑化にも役立つものと認識しております。また、同意を得ました境界点は世界測地系の座標で管理しておりますことから、災害復旧の迅速化にも資するものであると考えております。これまで本市で区域線測量を実施しました測量基準には世界測地系以外の基準を用いたものもございますが、補正することで使用が可能となります。
 取り組み状況でございますが、現在、市の道路工事を行う箇所につきましては優先的に行っており、平成28年度までに区域線測量を行った延長196㎞で、これは市が管理する道路延長約900㎞の21.8%となります。測量基準ごとの内訳でございますが、日本測地系約122㎞、世界測地系約39㎞。残りの約35㎞につきましては、1つの路線を複数年度に分けて行いましたので、日本測地系と世界測地系が混在した状況でございます。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。地籍調査は根拠が国土調査法であって、区域線測量は道路法が根拠になっているということで、進捗についても理解いたしました。
 では再質問を行いますけれども、区域線測量を行うメリットを市はどのように捉えているのか。このことについて伺います。
○松井 努議長 道路交通部長。
○田村恭通道路交通部長 お答えいたします。
 道路の境界について確定させることから、地籍調査と比べて同意を得る土地所有者が少ないことで時間が短縮できることと道路の境界が明確になることは、道路管理者としては大きなメリットとなります。また、世界測地系を使用しておりますので、災害後にも有効なものと認識しております。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。ここで一度整理をしておきますけれども、日本測地系とか世界測地系というのがあって、日本測地系というのは明治時代につくられたものであると。世界測地系については近年の国際的に定められている測地基準系だということでありますけれども、実際、この日本測地系と世界測地系がどのくらい違っているのかというのを若干御説明というか、お話をすると、例えば日本測地系の経緯度であらわされている地点を世界測地系の経緯度であらわすと、東京付近では、これを距離に換算すると北西方向へ約450mずれることに相当するというように説明があるとおり、かなり大きくずれているということで、世界測地系もやはり人工衛星等を用いた観測でより正確なものができるようになった。これに合わせていかなければいけないということであります。今、御説明があったとおり、世界測地系以外でも、補正することで使用が可能になることがあるということですけれども、先ほどの大きくずれるところを補正するというのが簡単にできるのかなというのはいささか疑問ではあるんですけれども、できるということでありますので、これはきっちりと補正をしていくことが課題であるかなというふうに思っております。
 また答弁では、区域線測量の取り組み状況は、現在、市の道路工事を行う箇所を優先的に行い、平成28年度までに延長196㎞であるということであります。純粋に世界測地系で測量したのは39㎞ということで、市が管理する道路延長900㎞の約4.3%ほどであるということで、現在、災害に見舞われても早期に復旧できる箇所というのは、市の管理する道路の約4.3%ほどであるのかなというふうに理解をいたしました。
 では次の項目に移りますけれども、ちょっと目先を変えて、地籍調査や区域線測量の他の自治体の取り組み状況はどうなっているのかについて伺います。
○松井 努議長 道路交通部長。
○田村恭通道路交通部長 お答えいたします。
 地籍調査と区域線測量について、船橋市、松戸市、鎌ケ谷市、浦安市、柏市、八千代市及び習志野市の7市に照会を行いました。地籍調査につきましては、浦安市が32%、八千代市が6%完了し、現在も実施中とのことでございます。柏市が38%完了し、現在は休止中とのことでございます。ほかの4市は地籍調査を実施したことがないとのことでございました。なお、浦安市につきましては、先ほども御説明いたしましたが、東日本大震災後の平成24年度から地籍調査を始めて、平成27年度に4.32?、市域の約29%、平成28年度に0.39?、市域の約3%が完了したとのことでございます。また区域線測量につきましては、鎌ケ谷市、浦安市、柏市、八千代及び習志野の5市は実施したことがないとのことでございました。船橋市及び松戸市は区域線測量を実施しておりますが、境界同意を区域線測量と一般申請による区別ごとの集計は行ってないため、数値としてあらわすことができないとのことでございました。また、地籍調査、区域線測量とは異なりますが、国道及び県道につきましても同様な境界同意を得ておりますが、その延長は不明とのことでございました。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。近隣市についてということで御説明をいただきましたが、印象としては、浦安市については東日本大震災で被害を大きくこうむりまして、それもあって地籍調査が進んできているということであります。しかしながら、他の近隣の自治体においては、柏市は別として、この地籍調査も区域線測量のほうも進んでいないのかなというふうに感じました。
 浦安市の地籍調査について、平成24年当時の日刊建設新聞の記事によると、浦安市については24年度、地籍調査事業コンサルティング業務委託についてプロポーザルの参加手続を公告したということで、東日本大震災によって液状化現象が発生、都市基盤施設や民間宅地などにおいて、噴出土砂や地盤の隆起や沈下のほか、土地境界を示す境界ぐいやプレート等が移動、滅失するなど甚大な被害が生じたと。市では、その年の3月、復興計画を策定。その中で地籍調査事業を実施する方針を示したが、これまで地籍調査事業に未着手であることや、復興を進めながら短期間で広範囲に地籍調査を実施して住民要望へ応える必要があることから、地籍調査事業に精通した事業者による支援が必要となって、このプロポーザルの参加手続を公告したということであります。やはりこの地籍調査というものをしっかりやっておかないと、いざこういうときには大変な状況になるということであります。
 ここで翻りまして、市川市の地籍調査のこれまでの状況について確認をしておきたいというふうに思うんですが、平成13年度までは、市川市内では地籍調査などは全くと言っていいほど行われたことがなかったと。換地処分後の確定測量が行われた大野、大町、堀之内、妙典の各土地区画整理事業においても、十分な測量精度を有することのあかしである国土調査法第19条第5項の指定を受けていなかったということであります。このため、不動産登記法第17条で備えるべきこととなっている地図が法務局市川支局になく、地図に準ずる図面のみが保管されているだけの状態であったと。しかしながら、平成13年に測量法の改正が行われたということで、地方公共団体は世界測地系、先ほどお話ししましたけれども、この新しい基準で測量しなければならないということであります。その後、市川市は平成16年度から22年度まで、例えば田尻とか、真間とか、原木とか、宮久保、堀之内、大和田、ここで官民であったり、1筆であったり、地籍調査を行っていると。その結果、先ほど答弁いただきましたけれども、実施面積1.68?、市域の2.98%となっているということであります。これはこれで結構であります。
 (4)の地籍調査や区域線測量を実施する上での課題と今後の方向性について伺います。まず、今まで地籍調査や区域線測量、説明等をいただきましたけれども、今後、事業を実施する上での課題と今後の方向性についてどのように考えておられるのか伺います。
○松井 努議長 道路交通部長。
○田村恭通道路交通部長 地籍調査、区域線測量とも、隣接地権者の境界同意を得るという点で共通しており、この境界への同意を得ることが地権者のおのおのの思いや財産にかかわることでございますので、一番の課題となります。さらに、費用や期間がかかること、人材の確保や育成も課題であると認識しております。
 今後の方向性でございますが、どちらの手法を選択するかは別としましても、境界確定作業は市民にとって重要なものと考えております。しかしながら、費用及び事務量も異なりますことから、今後、市として、どのような方法で調査を行うかも含めて関係部署と協議してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。市として地籍調査なのか、区域線測量なのか。どの手法を選択するかは別として、いずれにせよ、境界確定作業は重要であるというふうに考えているということでありました。
 ここで再度確認といいますか、再質問を行いますけれども、地籍調査を今後行わないと再開発事業とか、道路整備事業とか、影響が出るのではないかというふうに考えておりますが、所見を伺います。
○松井 努議長 道路交通部長。
○田村恭通道路交通部長 お答えいたします。
 再開発事業や道路整備事業等を既に地籍調査が完了している地域で行う場合は、その成果を利用することとなります。地籍調査を行っていない地域で事業を行う際は、その事業者が地籍調査と同様な精度の高い調査を行いますことから、直接的な影響が出るものではないと考えております。しかし、事業者側から見ますと、経費及び時間がかかる等の影響は少なからず出るものと考えられます。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 今の御説明ですと、地籍調査を行ってなくても区画整理事業等を実施すれば、結局、地籍調査を行ったと同じような効果が得られるのだから、それほど影響はないということでありますけれども、立場の違いからくる見解かもしれませんが、土地取引の円滑化や開発事業の推進にとって、正確な地積の情報は不可欠であり、地籍が不明確であることが土地の流動化や都市基盤整備の推進を妨げる要因になる場合があります。また、中心市街地の開発などにおいても、ごく一部の地籍の問題によって再開発事業や土地の有効利用が妨げられているケースもあるというふうに伺っております。区画整理事業が終わるまでに土地の権利関係で話がまとまらず、何年もかかるということはよく聞くことであります。本市のまちづくり、都市再生を展望したときに、やはりよい影響はないというふうに考えております。
 再度伺ってまいりますが、財政面から見れば、市の単独予算である区域線測量の手法ではなくて、地籍調査の官民先行というものを行うと。この補助金を活用すれば経費削減につながるというふうに考えておりますが、見解を伺います。
 また、担当部局で人材を確保、育成していくことがやはり今後大変重要になると考えておりますが、あわせて見解を伺います。
○松井 努議長 道路交通部長。
○田村恭通道路交通部長 お答えいたします。
 確かに補助金を受けると経費の削減になるとは思いますが、そもそも地籍調査と区域線測量では積算根拠が異なるため、削減額を申し上げることはできない状況でございます。単純比較はできませんが、区域線測量では、一般的な幅員4mの道路1kmで約300万円を市の経費で実施するのに対し、地籍調査では、国、県からの補助金及び特別交付税が交付されますことから、市の最終的な実質負担は事業費の5%となるところでございます。また、地籍調査では、地元説明会、調査結果の閲覧など区域線測量とは異なった作業が生じることから、現在の職員体制では極めて困難であり、本格的に地籍調査を行うには専門部署を新たに設置し、専門知識を持った人材の確保等が必要となることが予想されます。このように、実施の際にはさまざまな視点からの検討が必要となってまいると考えております。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。これについてもまとめていきたいと思いますけれども、少し引用が長くなるかもわかりませんが、2003年6月定例会の会議録には次のようなことが書かれております。やはり似たようなテーマについての答弁になるわけですけれども、地籍調査に係る職員の体制についてということで、説明会の開催など、市民への周知の普及については地籍調査事業の工程に位置づけられているということで、この説明会はやはり実施をすることになっていると。市町村の境界について、現地調査に着手する前に関係市町村の境界を調査するものと国交省令によって定められているということで、松戸市に限らず、市境の付近を調査する前には関係市町村の関係職員の立ち会いを求めるとともに、土地の所有者、その他利害関係者の立ち会いを求め境界標を設置するということで、官民境界の確定には高度の知識を必要とすると。公図の沿革など、歴史的な知識、現在の国土調査法のみだけでなく、過去の土地に係る法律の知識も必要であると。高度な測量を行う技術的な知識も必要であると。そのため、国交省などが主催する研修会へ職員を派遣したり、市街地緊急地籍調査事業で先行している市町村とも連絡をとって技術の習得をしてまいりたいということで、2003年時点でそのような答弁をされているわけであります。これはつけ足しになるかもしれませんが、その後の答弁の中で継続事業であるということで、対策室の新設が必要であるかどうかについて、その当時は担当制というものをしいていたんですが、その後に組織改正で専従制を充実させていきたいというふうに答弁をされておりますけれども、今の組織体制を見ると、そういうふうにはなっていないというところをちょっと押さえておきたいと思っております。
 話は戻りますが、先ほどの答弁の中で、いずれにしても、境界確定作業を進めていくということについては、私も本当にそのとおり、やはり計画的に進めていかなければならないというふうに考えております。また答弁の中で、専門部署の専門知識を持った人材の確保、これもまさしくそのとおりであります。現在の区域線測量については、道路交通部道路管理課なんでしょうか、所管をしているということでありますが、仕事の中に近年増加をしている一般境界の協議、査定のほうも入ってきて、職員で対応するのは大変であるなというふうに認識をしております。もちろん一般境界協議という足元の対応というものについては、円滑に対応する必要があるというふうに考えております。しかしながら、この協議の結果、境界を確認された成果については、管理者ごとに保管されて広く利用されていないと。また、高額の測量費用が住民負担になる等の不都合があるというような指摘もあります。
 中長期視点からは、市川市が持続可能な発展を遂げていくために価値の高い市川市の土地を有効活用していかなければならず、そのために地籍調査事業を粛々と計画的に進めていくことは非常に重要と考えております。また、市川市は今後も道路、下水道等、都市基盤整備事業を着実に進めていかなければなりません。地籍調査、区域線測量の市職員の確保が課題となっていましたが、とりわけ土木分野の職員がさらに必要になっていくということが予想されます。職員が不足しているから、地籍調査担当になった職員が他の部署、例えば下水道等に異動になってしまうと。このようなことがあっては、10年、20年、30年後の市川市の持続可能な発展はおぼつかないというふうに思います。地籍調査は大変長い年月を要すると言われております。今から土木職員の確保等、専門職の確保、育成を図られることを強く要望いたしまして、このテーマについては終わりたいというふうに思います。
 続きまして、次の労働条件審査について伺います。
 (1)本市における労働条件審査の考え方及び取り組み状況について。このテーマについて何度も一般質問を行っておりますが、2年前の平成28年2月定例会において、市川市の公契約における労働条件の改善について一般質問を行いました。少し経緯、経過について申し上げますと、2015年2月定例会での私の一般質問に対する答弁は次のようになっています。市川市では、平成24年から公契約調査検討委員会が設置され、調査研究を行う中で公契約に関するチェック機能の強化という目的で、社会保険労務士を活用した労働条件審査が平成26年度から開始されたということであります。これは私が提案したものでございます。この制度は県内で初めて、また、全国的にも島根県出雲市に次いで2番目という大変先進的なものであったと記憶をしております。前回の一般質問におきまして、私から建設業の下請業者に対しての賃金の確認ということと、社会保険労務士による労働条件審査を業務委託に導入する考えはないかという質問をしたところ、財政部長から、建設業の下請業者に対しての賃金の確認ということについては、遅くとも平成29年の4月から、また、社会保険労務士による労働条件審査を業務委託に導入することについても同じ時期から導入していく考えであるという答弁をいただいたと思います。
 そこで今回、本市における労働条件審査の考え方をいま一度確認するとともに、先ほど申し上げた2点について、その後どうなったのか、導入されたのか、その後の取り組み状況を伺います。
○松井 努議長 財政部長。
○松本雅貴財政部長 労働条件審査についてお答えを申し上げます。
 昨年4月に建設業下請業者につきまして、労働者に賃金が正しく支払われているかの確認を目的といたしまして、労働者の適切な賃金水準による賃金支払いの確認に関する試行要領を制定いたしまして、運用を開始したところでございます。また、業務委託の労働条件審査につきましては、平成26年度に市川市発注建設工事等に係る労働環境等の確認に関する試行要領を制定いたしまして、試行といたしまして、建設工事についての労働条件審査を運用しておりましたが、これに加えて業務委託につきましても、社会保険労務士による労働条件審査を行えるよう、これも昨年4月に要領の一部改正を行ったところでございます。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。この2点についても、本年度からきちんと導入をしていただいているということであります。理解いたしました。
 では再質問を行いますけれども、これまでの労働条件審査の実施件数について伺います。
○松井 努議長 財政部長。
○松本雅貴財政部長 実績についてでございますが、これまでの労働条件審査の実施件数は、平成26年から先行して試行を開始している建設工事におきましては、昨年度までに9件を実施しております。また今年度につきましては、建設工事、業務委託、ともにそれぞれ1件ずつが実施済みとなっております。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 労働条件審査の実施件数について、建設工事では10件、そして昨年、今年度導入された業務委託については1件が実施済みであるということでありました。これはこれで結構であります。
 では、(2)個別事案における労働条件審査の分析及び改善について伺います。答弁にありましたが、建設業の下請業者に対しての賃金の確認が昨年4月に導入されたということですが、対象事業者、下請業者に対しての賃金の確認はどのように行っているのか。また、その分析結果とどのような是正が図られたのかについて伺います。
○松井 努議長 財政部長。
○松本雅貴財政部長 下請業者の賃金確認についてお答えをいたします。
 まず、対象となる案件は、労働条件審査と同様に設計金額は3,000万円を超え、かつ低入札となった案件を対象としております。本年度につきましては、既に3件が実施済みであります。確認の方法でありますが、対象案件において、元請及び全ての下請業者から賃金台帳の写しを提出していただき、これを元請業者が取りまとめて市に提出をします。その後、市におきまして、職種別に実際に支払われている賃金が設計労務単価の85%を下回っていないかについての確認作業を職員が行っております。この85%という料率につきましては、公契約条例を制定している先進自治体の事例を参考に決定しております。これまでに電気工事1件、配管設備工事2件、合計3件の確認が終了しておりますが、分析の結果、全ての下請業者において適切に賃金が支払われていることが確認されたということですので、是正勧告には至っておりません。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。賃金の確認というのは1つの課題だったわけでありますけれども、建設工事の設計労務単価の85%、この根拠については先進自治体を参考にしたということで、これはこれで理解をいたしました。特に適切に賃金が支払われていて是正勧告には至っていないということで、これについても理解をいたしました。
 では再質問ですけれども、業務委託についても今年度導入されましたが、建設工事及び業務委託の労働条件審査の対象事案の分析及び是正、改善について伺ってまいります。
○松井 努議長 財政部長。
○松本雅貴財政部長 労働条件審査についてお答えをいたします。
 まず建設工事におきましては、設計金額が3,000万円を超え、低入札価格調査の実施後、落札決定となった建設工事の契約案件を対象として実施しております。また業務委託におきましては、同様に設計金額が3,000万円を超え、入札において最低制限価格から2ポイントの幅の中で落札した案件、これは最低制限価格に非常に近い低い金額で入札された案件について、審査の対象としております。建設工事、業務委託、ともに労働条件審査の実施につきましては、市と千葉県社会保険労務士会との間に協定を結びまして、同会の社会保険労務士があらかじめ事業者に提出を求めた書類の確認並びに事業者側の使用者、労働者の双方に対してヒアリングを行い、調査を実施いたします。調査の項目は、労働条件、労働時間、賃金の積算、安全衛生及び労働保険の加入状況等の項目について点検し、是正が必要な事項や改善に向けて検討が必要とされた事項があれば、抽出して事業者に対して是正改善を求め、この結果についての報告書が市と事業者の双方に提出をされます。審査の結果につきましては、これまでに審査を実施した全ての案件におきまして、5段階評価の3、すなわち若干の是正事項はあるが、おおむね良好という結果でありまして、この評価値3を下回る案件は現在のところ1件もございません。
 また、是正が必要とされた具体例でありますが、就業規則の不備、三六協定や育児・介護休業に関する協定等、労使間で結ぶべき協定の不備でありますとか、健康診断を実施していない、あるいは受動喫煙やセクハラ防止の対策はとられていない等の事例がありましたが、どの事業者におきましても、指摘後は速やかに是正、改善の処置が行われたことを確認しております。労働関係の法令改正に使用者が十分対応できていない状況が分析から明らかとなりましたので、こうした点からも、労働問題の専門家であります社会保険労務士による指導助言は有効であると考えております。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。審査を実施した全ての案件については、5段階評価の3となっているということであります。事業者においては、指摘をされた後、速やかに是正、改善が行われていることを確認されたということで、これも理解をいたしました。これはこれで結構であります。
 では、(3)の先進自治体の取り組み状況について伺いますが、この労働条件審査は、全国では島根県出雲市で最初に始まり、本市が2番目ということでありました。その後、出雲市を含めた先進市では、同じく運用を続けているのか。それとも、公契約条例とステップアップにつなげているのか。先進自治体の取り組み状況についてお聞きいたします。
○松井 努議長 財政部長。
○松本雅貴財政部長 先進自治体の事例でございますが、御質問の出雲市におきましては、本市に先立ち、平成24年からほぼ本市と同様の労働条件審査を取り入れ、現在も継続しているとお聞きしております。本市との運用の違いといたしましては、本市におきましては、審査対象となった事業者の費用負担としておりますが、出雲市におきましては、必要経費を予算化した上で建設工事、業務委託、いずれも毎年1件ずつ審査しているとのことでございます。また、対象とする事業者につきましては、建設工事では本市と同様に低入札調査の該当となった事業者としておりますが、業務委託につきましては、一定の実績金額の事業者の中から選定委員会が選定して実施している点が異なっております。また、その他の自治体におきましては、労働条件審査の制度を設けている自治体はありますが、社会保険労務士による労働条件審査を行っている自治体については、これまでに確認できておりません。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。出雲市については手法が異なるということで、これはこれで理解をいたしました。答弁の中には直接入ってなかったと思いますけれども、アプローチは異なると思いますが、公契約条例を導入しているような自治体、これは賃金をしっかり定めていくというところでアプローチの方法は違うと思いますけれども、そういった取り組みもなされているということも認識をしているところであります。先進自治体の取り組み状況については、これはこれで結構であります。
 では、(4)の今後の課題及び方向性について伺います。本市の労働条件審査の導入から来年度で5年目ということになります。庁内で立ち上げられた検討委員会、名前を出していいのかわからないですけれども、当時の管財部の次長だった花澤さんとか、あと秋本さんがここから見えるわけですけれども、こういった方々が本当に先進的に取り組んでいただいたおかげで今があるんだなということで敬意を表するところであります。それまでの間、建設工事については、いよいよ下請業者の賃金の確認まで、そして業務委託についても対象範囲が広がってきた。本当に実効性が高まってきているというふうに認識をしております。
 その上でお聞きしますが、今後の課題と方向性について伺います。
○松井 努議長 財政部長。
○松本雅貴財政部長 今後の課題及び方向性ということでございますが、今後につきましては、建設工事に関しましては、労働条件審査を実施した対象が10社と実績を重ねてまいりましたが、一方、課題といたしましては、今年度より開始いたしました業務委託について、同様に実績を積み重ねていくことが必要と考えております。その中で、より有効で実効性の高い制度にしてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。再質問を行いますけれども、先ほども申し上げたとおり、本市は労働条件審査導入から来年度で5年目になると。実効性についても高まってきたと。先にやっていた出雲市についても、試行ということを外したというふうにも伺っております。本市もそろそろ要領の試行というものを外してもいいんじゃないかというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。
 また業務委託について、建設工事と比べて業務委託は、設計金額のうち労働の占める部分がより大きいことを考えると、今の設計金額3,000万円というのを例えば2,000万円とか、より低く設定して労働条件審査の対象範囲を広げるという考え方もあるのではないかと。考えたほうがいいと思っておりますけれども、本市の業務委託の設計金額別案件数はどのくらいあるのかを伺うとともに、そのような考えはあるのかお聞きをいたします。
○松井 努議長 財政部長。
○松本雅貴財政部長 試行ということについてでございます。御指摘のとおり、建設工事の労働条件審査に関しましては実績を重ねてきたところでありますが、業務委託の労働条件審査につきましては、同一の試行要領を改訂し、規定を盛り込んだところでございますので、試行を外すということにつきましては、業務委託においての実績を重ねてから考えてまいりたいと思います。
 案件ということでございますが、業務委託におきまして、最低制限価格を設定して入札した案件の数は、28年度は289件でございました。設計金額別では、2,000万円以下は216件、2,000万円を超え3,000万円までは23件、3,000万円を超えるものは50件でありますので、仮に現行の3,000万円を2,000万円に引き下げた場合、労働条件審査の対象となり得る案件は70件程度ということになります。
 また、労働条件審査の対象範囲を広げるべきかということにつきましては、業務委託における労働条件審査は本年度制度を開始したばかりということでございますので、制度を運用していくに従って、例えば同じ事業者が複数回対象になってくるということも起きてくると考えられますので、費用の問題を含め対象範囲につきましては検討してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○松井 努議長 中村議員。
○中村よしお議員 わかりました。試行については業務委託、この実績を重ねた上で検討するということ。また、業務委託の対象についても、費用の問題も含めて対象の拡大については検討を重ねたいということでありますので、ぜひこの実績を踏まえて、また検討を進めていただきたいというふうに考えます。
 これについてもまとめてまいりますけれども、本市の労働条件審査は建設工事の業務委託を対象とし、建設工事については下請業者の賃金チェックも行われるなど、実効性を高め、着実に実績を重ねていることを高く評価いたします。
 我が国、そして地方自治体の財政逼迫等による公共工事のダンピング受注、あるいは官製ワーキングプアということが言われて久しいというふうに考えております。今日、住民の福祉の増進と官製ワーキングプアが同期をしているとの指摘があります。地方自治体は住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うためにあると地方自治法に規定されております。しかしながら、財政逼迫によるコスト削減が公共工事や業務委託に従事する労働者等の労働条件を低水準にとどめることにつながっていると言われております。働けど働けど自立した生活設計を立てられない、あるいは家族を養うことが困難な低水準の賃金や報酬しか支払われない人々が、自治体が発注する業務を担い、住民の福祉の増進につながる公共サービスを提供している。このような住民の福祉の外に排除されたものにより住民の福祉の増進が図られることがあってはならないと考えます。市川市は、この点、労働条件審査制度の導入によって、このようなことに歯どめをかけているというふうに認識をしております。
 また、加えて当該制度については、事業者を一方的に規制するものでなく、事業者が当該制度の審査を受けることによって法令違反状態であることを知ることができたというふうに感想を述べていることからもわかるとおり、事業者にとっても、メリットのある制度であるというふうに認識をしております。今後も条例化を念頭に置きつつ実績を積むとともに、より実効性を高めていかれることを強く要望し、このテーマについての質問を終わります。
 以上で私の一般質問を終わります。

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