更新日: 2022年3月8日

教育長室からのお知らせNo.13

教育長

 大阪市の男子生徒の自殺に端を発した「体罰」の問題は,その後も各方面に波紋を広げています。そして,その背景には,行き過ぎた勝利至上主義の存在が指摘されています。
 「そっ啄同時(そったくどうじ)」という言葉があります。「そつ(口へんに卒)」とは,鳥の雛が卵からかえろうとする時に,殻の内側からコツコツとつつくことを言い,「啄」とは,ちょうどその時に,親鳥が外側から殻をつついて,雛鳥の孵化を助けることを言います。この「そつ」と「啄」とが一致(そっ啄同時)することによって,健康な新しい生命が誕生します。これを教育に置き換えれば,子どもたち自身が一つ上の段階にステップアップしようとする,まさにその時を指導者が見極め,適切な支援を与えることによって,子どもたちの真の成長が図られるということです。子どもたちの心身の準備ができていないにも関わらず,「体罰」のような強引な手法で,雛鳥を無理やり卵から引きずり出すようなことをしたのでは,その後の健全な成長は,決して望むことはできません。
 授業であれ,部活動であれ,あらゆる教育活動の目的は,子どもたちのより良い人間形成にあります。今回の体罰の問題を契機として,安易な手段で目先の結果を求めるのではなく,子どもたち一人一人の資質や可能性を信じて,認め励ましながら,子どもたちの自ら伸びよう,高まろうとする営みを根気強く支援する。各学校におけるそうした教育の推進を,教育委員会としても全力で支えていきたいと考えています。

 さて,今年も年間を通して,子どもたちや教職員の活躍に関わる数多くのうれしいニュースがありました。ここでは,その中から2つをご紹介します。
 一つは,児童・生徒学習賞です。これは,学芸やスポーツに関する全国,関東,全県レベルの大会・コンクール等に参加して,最優秀またはそれに準ずる成績を収めた市内の小・中・特別支援学校の児童生徒(個人・団体)を表彰するものですが,このような大変に厳しい基準にも関わらず,今年も30件以上の個人と団体が受賞することとなりました。書道やダンスなど,全国一を獲得したものもあります。
 もう一つは,日本教育公務員弘済会千葉支部が募集する教育実践研究論文です。市内の3つの小・中学校が,自校における教育実践についてまとめ,応募し,その全てが入選(最優秀:1校,優秀:1校,優良:1校)するという素晴らしい成績を収めました。
 いずれも,子どもたちや先生方の日頃の努力の結実ともいえる,本当にうれしいお知らせです。
 本市では,一人一人の子どもたちを家庭・学校・地域が一体となって育む「人をつなぐ教育(教育の共有化)」と,各学年・学校段階における教育活動の充実と連携の強化を通して,長期的な視野に立って子どもたちの個性や能力の伸長を図る「未来へつなぐ教育(教育の接続化)」を2本の柱として,子どもたちの「生きる力」の育成を図っています。そうした中,このような多くの賞を受賞することができたということは,本市教育の方向性に対する,客観性のある一定の評価をいただけたものであると励まされる思いです。
 現在,教育委員会では,平成26年度施行予定の第2期市川市教育振興基本計画の策定に取り組んでいます。現行の基本計画を基盤としつつ,社会の変化等に伴う新たな教育課題にも適切に対応することができるよう,一層の内容の充実を図りたいと考えています。
 皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

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