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荷風をめぐる人々 その4

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更新日: 2019年1月18日

荷風を訪れた編集者は語る

佐藤観次郎(1901〜1970)

佐藤観次郎 さとう・かんじろう  ジャーナリスト 1901(明治34)年〜1970(昭和45)年 
 
 1933(昭和8)年「中央公論」編集長。中京新聞社取締役編集総務を経て、1947(昭和22)年より衆議院議員となる。
 佐藤による思い出は『編集長の回想』(東京書房 1958)にまとめられているが、ほかに※「晩年の荷風先生」でも、次のように語られている。
 
 “昭和十九年まで、私は中央公論社にいたことになるので、戦時中にも時々あい、また、先生が市川の菅野に居をかまえてから、出版社に依頼されて、再びしげしげと訪問した。(略)菅野旧宅の折には、飯盒で、ニンジン飯をたいて朝の飯をたべていたことをよく見たのであったが、その時、一級酒、一本づつ必ず一緒にあがるのであった。先生はニンジンが好きなようでもあったが田舎のぶさいくの婆さんを使いに出して、自分でつけて、自分でなんでもやるという生活、年老いた八十 歳近くまで、この生活を続けておられたことは、常人の出来ない生活であった。”
 
※「晩年の荷風先生」は『回想の永井荷風』(霞ケ関書房 1961)に所収。
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臼井吉見(1905〜1987)

臼井吉見 うすい・よしみ  評論家  1905(明治38)年〜1987(昭和62)年
 
 1940(昭和15)年、筑摩書房の創設に参画し、編集者として手腕を発揮するとともに、文芸評論家、小説家としても活躍。1958(昭和23)年初冬、荷風宅を訪ねた様子を『作家論控え帳』(筑摩書房 1977)の中でこう語っている。

 “京成電車の踏切を越え、平凡な田舎町の家並みもまばらになり、道端からはずれた五、六の農家のうしろに、この老大家の住まいを見つけだしたのであった。二間つづきの、ありふれた簡易普請で、実直な会社員夫婦の住居といった感じのものだった。戸口の前からすぐ田んぼになっている。(略)古びた洋服で畳にきちんと坐っている。ネクタイなしで、ワイシャツの袖口が長くはみだしている。話をするたびに、前歯の二本ほどぬけたままになっているのが目につくが、予想に反してびっくりするほど若々しい。(略)部屋のまんなかに小机が一つ、隅に蒲団が一組、床の間に和本類が重ねてある。隣の部屋は六畳くらい、襖の隙間からコンロなど自炊道具が見えている。”
 
 実に無駄のない描写で、菅野の家の様子が語られている。
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小田切進(1924〜1992)

小田切 進 おだぎり・すすむ  文芸評論家  1924(大正13)年〜1992(平成4)年
 
 早稲田大学卒業後、改造社の編集を担当。のち、立教大学名誉教授。日本近代文学館、神奈川近代文学館の創設に関わる。
 荷風との思い出は、『小田切進エッセー選 1』(博文館新社 1992)の中でこう語られている。
 
 “長く荷風に心酔していたわたしは「改造」記者として千葉県市川市・菅野の家で荷風と二度会った。「昔、文学全集の印税で不正があったから、書きたくない」と言われた。わたしは単刀直入に、「では原稿料を前払いするから、どうでしょう」とたずねると、「それなら」という返事だった。そこで前金を届けに重ねてたずねると、いつもはなかなか開かない玄関の扉が簡単に内がわからあけられ、すぐ領収証をもって来られた。日記『断腸亭日乗』には、わたしの名が来訪者として記録はされているが、勿論前払い金を受けとったことや、原稿はついに書かなかったことなどは、いっさい触れられていない。”
 
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半藤一利(1930〜)

半藤一利 はんどう・かずとし  ジャーナリスト  1930(昭和5)年〜
 
 東京大学卒業後、文藝春秋入社。以来、「週刊文春」「文藝春秋」の各編集長、出版局長、専務取締役などを歴任。1993(平成5)年、『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞受賞。当時創刊間もない「週刊文春」記者として、荷風の葬儀に立ち会う。その様子は、『荷風さんと「昭和」を歩く』(プレジデント社 1994)に詳しい。
 
 “その日ずいぶん早く荷風死すの第一報が入ったとき、それッといってすぐ飛びだせるものがいなかった。いや、かんじんの荷風の家を知っている編集者がひとりもいなかった。前々から荷風さんを崇拝するわたくしだけがとくと存じていた。晩年の荷風さんをそれとなくお送りしたことがあったからである。”
 
 なお、本書は『永井荷風の昭和』と改題され、2000(平成12)年に文春文庫として刊行されている。その解説は市川市在住の経済評論家で荷風研究家としても知られていた吉野俊彦(1915-2005)氏が担当している。
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