[特集展示アーカイヴ]旅へのいざない

新緑の行楽シーズンに合わせて、「旅」をテーマにした図書や市川ゆかりの資料の展示を行いました。

  • ※この特集展示は、2004(平成16)年5月1日から6月20日にかけて、中央図書館で開催されました。

協力:市川図書館友の会

主な展示資料

A展示:特集展示コーナー〔関連図書展示の貸出〕

展示概観(写真画像)
  1. 旅をつづる
  2. 旅の物語
  3. 日本古典と旅
  4. 市川にゆかりの作品と旅

の各テーマで関連図書を集めて約300冊

  • 東山魁夷『東山魁夷 第三巻 欧州紀行』(講談社 1989)
  • 東山魁夷『東山魁夷 現代の日本画7』(学習研究社 1999)
  • 田中穣『東山魁夷』(芸術新聞社 1992)

B展示:絵画コーナー

東山魁夷複製画集『北欧旅想』展、水木洋子脚本『裸の大将』資料展

絵画コーナー展示概観(写真画像)
  • 東山魁夷『北欧旅想 東山魁夷自選習作集』(日本経済新聞社 1983)
    • 「白樺の丘」「白夜」「フレデリク城を望む」「湖上の城」「夏の道」「二つの月」
  • 水木洋子:脚本『裸の大将』(昭和33・堀川弘通監督・東宝)関連資料パネル

C展示:図書館入口ガラスケース〔市川ゆかりの文学と旅展〕

  • 『市川の文学』(市川市教育委員会 1983)1982
  • 『文学の散歩道 万葉のみち』(市川市教育委員会)
  • 『city Voice20 江戸名所図会を歩く』(市川市 1996)
  • 永井荷風『ふらんす物語』(新潮社 2003)
  • 『永井荷風と東京』1999 江戸東京博物館
  • 東山魁夷『白夜の旅』(新潮社 1980)
  • 星野道夫『長い旅の途上』(文藝春秋 2002)
  • 浮谷東次郎『がむしゃら1500キロ』(筑摩書房 1990)
  • 郭沫若『郭沫若日本脱出記』(第一書房 1979)
  • 山下清『山下清放浪日記』(水木洋子蔵書)
  • 水木洋子『日本ぶらりぶらり』(裸の大将の仮題)台本
  • 水木洋子「白鳥の来る湖」(『日本の四季 ふるさとへの旅11 佐渡/北陸』国際情報社 出版年不明)

市川ゆかりの文学と旅

資料展示概観(写真画像)

市川における文学は、日本最古の歌集『万葉集』に、都からの旅人高橋虫麻呂、山部赤人らによって「真間の手児奈」が詠まれたことに始まる。以降、「真間」は旅情を誘う「歌枕」の地として、多くの和歌に詠まれるようになる。中世には、『義経記』などに市川が登場する。

江戸時代、松尾芭蕉は『鹿島詣』で市川の様子を記している。江戸時代はまた、庶民も多く旅に出るようになり、今日の旅行ガイドに当たる『江戸名所図会』『成田参詣記』などに、市川の風物がイラストとともに描かれる。上田秋成『雨月物語』にある「浅茅が宿」も、市川の旅文学といえよう。

明治27年に総武線が開通すると、正岡子規、田山花袋など、多くの文人が市川を訪れ、その作品に「市川」を著した。市川ゆかりの作品として、伊藤左千夫『野菊の墓』、山本有三『波』、中野孝次『ブリューゲルの旅』、三島由紀夫『遠乗会』、井上ひさし『四千万歩の男』、山下清『裸の大将放浪記』、浮谷東次郎『がむしゃら1500キロ』、山本一力『草笛の音次郎』などが挙げられる。郭沫若『日本脱出記』も、壮絶な旅の記録といえよう。

図書館で特別コレクションとしている荷風、魁夷、星野道夫については「旅」とは、どんなものだったのだろうか。
永井荷風は、アメリカからヨーロッパに遊学した経験を基に『ふらんす物語』『あめりか物語』を発表し、文学界に新しい地平を切り拓いた。
東山魁夷は、北欧や国内をくまなく歩き、画題を求めた。
星野道夫も、「きっと、人はいつも、それぞれの光を捜し求める長い旅の途上なのだ」のことばを残し、旅先に消えていった。

ほかに、旅関係の著作の多い市川ゆかりの人としては、五木寛之、石川文洋、さだまさしなどがいる。

東山魁夷と旅

資料展示概観(写真画像)

東山魁夷は、北欧や国内をくまなく歩き画題を求めた。

絵画コーナーでは以下の作品を展示

  • 東山魁夷 『北欧旅想 東山魁夷自選習作集』(日本経済新聞社 1983)より
    • 「白樺の丘」
    • 「白夜」
    • 「フレデリク城を望む」
    • 「湖上の城」
    • 「夏の道」
    • 「二つの月」
  • 東山魁夷 『白夜の旅』(新潮社 1980)
  • 東山魁夷 『東山魁夷 第三巻 欧州紀行』(講談社 1989)
  • 東山魁夷 『東山魁夷 現代の日本画7』(学習研究社 1999)
  • 田中穣 『東山魁夷』(芸術新聞社 1992)

水木洋子と旅

絵画コーナー展示概観(写真画像)

市川市在住の脚本家である水木作品で旅に関わる代表的な作品は、放浪の画家、山下清を描いた「裸の大将」であろう。また「白鳥の来る湖」は、新潟での紀行文。

  • 山下清『山下清放浪日記』(水木洋子蔵書)
  • 水木洋子『日本ぶらりぶらり』(裸の大将の仮題)台本
  • 水木洋子「白鳥の来る湖」(『日本の四季 ふるさとへの旅11 佐渡/北陸』 国際情報社 出版年不明)
絵画コーナー展示概観(写真画像)2
  • 水木洋子脚本 『裸の大将』(昭和33年・堀川弘通監督・東宝)の関連資料パネル