井上洋介

井上洋介(1931-2016)

略歴

1931(昭和6)年東京都港区生まれ。本名、洋之助。漫画家、画家、イラストレーター、絵本作家。時に「エログロ・ナンセンス」と称される強烈な個性と独特のユーモア溢れる画風で幅広く活躍をした。『くまの子ウーフ』(神沢利子/作 ポプラ社 1969)や、『でんしゃえほん』(ビリケン出版 2000)などの作品は、長く子ども達に親しまれている。

くまの子ウーフ
『くまの子ウーフ』(神沢利子/作 ポプラ社)

子どもの頃から絵描きになることを思い定め、東京都立日本橋新制高等学校(現・東京都立日本橋高等学校)の夜間定時制の美術科で版画を学び、その後、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)西洋画科を卒業した。
新聞や雑誌の投稿漫画で小島功や長新太らに評価され、武蔵野美術学校在学中から独立漫画派に参加する。1963(昭和38)年に初の漫画集『サドの卵』を自費出版した。1965(昭和40)年にナンセンス漫画で第11回文藝春秋漫画賞、1969(昭和44)年には第4回東京イラストレーターズ・クラブ賞を受賞する。
画家としては、1955(昭和30)年第19回新制作展入選、日本アンデパンダン展、読売アンデパンダン展等に油彩画を出品している。1970年代からは紙と墨でも制作を重ね、田島征三の誘いで从(ひとひと)展に大作を発表した。

一方、1959(昭和34)年から福音館書店の「母の友」に挿絵や表紙絵を描き始め、1960(昭和35)年には初の絵本「おだんごぱん」(『こどものとも47号』瀬田貞二/訳 福音館書店1960)を発表。1969(昭和44)年出版の『くまの子ウーフ』の挿絵を描き、この作品は国語の教科書(光村図書 昭和52年度版2年生など)にも掲載された。1976(昭和51)年の『ビックリえほん』(文研出版)からは、文章を書いた自作絵本も手がけるようになった。

 

1988(昭和63)年『ぶんぶくちゃがま』(筒井敬介/文 三起商行 1987)ほかで第37回小学館絵画賞を受賞。『月夜のじどうしゃ』(渡辺茂男/文 講談社 1993)で1994(平成6)年、第25回講談社出版文化賞絵本賞、2001(平成13)年に『でんしゃえほん』で第6回日本絵本賞大賞、2013(平成25)年に『ぼうし』(イースト・プレス 2011)で第3回JBBY賞を受賞した。

「卵」や「電車」が大好きで、繰り返しモチーフとして描かれた。同じく繰り返し描かれた「行列」は、東京大空襲で焼け出された人々が千葉街道を延々と行くイメージが記憶にあるという。戦争中に少年時代を過ごした原体験を常に作品の根底に見据え、自分が感じた絵と、「おれ流のおかしさを描き続ける」ことを貫いた。

2016(平成28)年2月3日逝去。

市川市立図書館の井上洋介著作の所蔵リストは以下のボタンからご覧ください。

所蔵検索を著者名「井上洋介」で検索する

市川市との関係

戦後10代の頃に市川市に越して、1961(昭和36)年から市川市の真間・須和田に在住。2002(平成14)年に市川市民文化賞・奨励賞を受賞。また、市川市芳澤ガーデンギャラリーで2009(平成21)年に「井上洋介 ヱホンとタブロー」展を開催した。
京成電鉄を愛し、もうひとつのアトリエのように創作のアイディアを練ったという。2013(平成25)年には同ギャラリーの「京成電鉄展」に「電車図」等を出品し、ギャラリートーク「京成電鉄と私」を行っている。

参考文献

『市川の文学 散文編』(市川市文学プラザ 2012)
『井上洋介の世界』(井上洋介/著 立風書房 1974)
『井上洋介図鑑』(井上洋介/著,松本育子/編 河出書房新社 2013) 
『絵本作家のアトリエ 1』(福音館書店母の友編集部/著 福音館書店 2012)
『絵本の作家たち 2』(小野明/聞き手,井上洋介/[ほか述] 平凡社 2005)

このページに掲載されている情報の問い合わせ

市川市教育委員会 生涯学習部 中央図書館

〒272-0015
千葉県市川市鬼高1丁目1番4号 生涯学習センター内

電話
047-320-3333(自動応答)
047-320-3346(直通)