「本のほかほかだより」0号~4号

第4号 本を選ぶということ

絵本をよむくまさん(イラスト)

図書館に並んでいる本は、司書が数多くの中から「選ぶ」という作業をしたものです。なぜ本を選ぶということが必要なのでしょう。

我々大人は、「子供の頃のように素直にものに感激できなくなった」とか、「本を読んでもすぐ忘れてしまって」とか、「子供の時にもっと本を読んだり、勉強しておけばよかったなあ」などと感じることがあります。つまり、子供時代は特別だと感じているわけですね。なぜ本を選ぶかの答えもそこにあります。子供時代は、感性においても、知識を吸収する力においても、人間の一生の中で特別な時代です。そしてその時代はとても短く、あっという間にすぎてしまいます。だから、その大切な時代に、無駄なく良いものにたくさん触れてほしいのです。子供時代をより実りの多いものにするために、その環境をととのえ、手をかけてあげるのは大人の役目です。ですから、大人や司書が「正しく選んだ」本を手渡すことは、決して押しつけではないと考えています。

図書館も、おすすめの本を直接子どもに手渡すだけでなく、大人の方にも様々な情報を発信し、一緒に考えていきたいと思います。

あっこちゃんのQ&A

質問

子供に本選びをまかせてはいけないの?

回答

どんなに泳ぎが得意な子でも、泳ぎ方を知らないうちに海に放り出したら、恐怖しか残らず、海が嫌いになるだけですね。本選びも同じではないでしょうか。本にあまり触れたことのない子どもを、あふれんばかりの玉石混交の本の海に送りこんでもとまどうばかりでしょう。

どんな本が本当に楽しい本なのかを感じとれるのであれば、本人が選ぶことは決して悪いことではないと思います。たくさんのよい本を読んでもらって育ってきた子は、どんな本が自分に楽しい世界と時間を与えてくれるのかを、直感で感じ取れるといいます。この"本物を見抜く目"をある程度持つまでは、その目を養ってあげるのは大人の役割です。また、新しい分野の本へのチャレンジなども、大人の手助けがあれば、よりスムーズでしょう。

何よりも、子供の成長にあわせて親子で本選びができるのは、とても幸せな時期です。どうぞ十分に楽しみながら選んでみてください。

第3号 本は心の栄養です

おはなしのおねえさん(イラスト)

本は心の栄養です。カルシウムが取れるからといって子どもにたくさん牛乳を飲ませても、次の日に骨が強くなっていると思う方はいないと思います。少しずつでも続けることが大切だといわれています。

本も栄養ですから、同じ事がいえます。昨日良い本を読み聞かせしたからといって、すぐ本が好きになるわけでも、心が豊かになるわけでもありません。長い間の蓄積があってこそ、現れてくるものです。読み聞かせした効果は、数字として現れにくいものです。幼い時に読んでもらった経験や本からの感動に思い当たるのは、大人になってからかもしれませんし、全く意識せずに終わってしまうこともあるかもしれません。それでも、必ずその人の中に何かが残っているはずです。

本は、あるときには子どもの心に種をまきます。またあるときは、その種を育てる土や養分ともなり、根になることもあるでしょう。

どうぞゆっくりと本と子どもの関係をつくり、見守ってあげてください。

あっこちゃんのQ&A

質問

読み聞かせにコツってありますか。

回答

一番大切なのは、読んであげる人が子どもと一緒にその本を楽しむことだと思います。あとは、子どもが絵を見て理解し、楽しむ時間を考えてゆっくり読んであげること。大人は文字を読みますが、子どもは絵をみていますから…。

それから、登場人物によって、あまりおおげさに声色をつけるのは考えものです。子どもの注意がそこばかりに向いてしまいますし、子どもの想像力の広が りを妨げることにもなりかねません。自然に湧いてくる感情を大切にすれば自然に読み方にも変化がでてくるでしょう。

第2号 読み聞かせのすすめ

近頃は、読み聞かせという言葉も普及し、図書館でも親子で読み聞かせをしあう姿が日常的にみられるようになりました。この回は、読み聞かせについて考えてみたいと思います。

子どもは、本の中の主人公に同化し、主人公の体験を自分の体験としていくことは前に述べました。それが一番容易にできるのが“人に読んでもらう”ということなのです。例えば、字を覚えたばかりの子どもを考えてみましょう。字が読めるのがうれしくて子どもは一生懸命に字を追っていきます。「の・ね・ず・み・の・ぐ・り・と・ぐ・ら・は」といった調子でしょう。こんな風に一字一字を追うことに夢中になっていたら、お話の内容を理解し、楽しむことができるでしょうか。黙読をしながらその情景を頭の中に思い描いて物語を楽しむというのはかなり高度な技なのです。

これに対して、“読んでもらう”と、子供は話の内容を自分なりに描いてその絵を生き生きと動かし物語を楽しむことができます。

大人の方も、たまには他の人に読み聞かせをしてもらってみてはどうでしょう。きっと本の楽しさが再発見されると思いますし、子どもの気持ちや子どもの視点も理解できるのではないでしょうか。

あっこちゃんのQ&A

質問

毎回同じ本ばかり読んで欲しいというのですが?

回答

読んであげる大人にとっては同じ本でも、子供はその度に想像力を働かせ、物語をいろいろに膨らませて楽しんでいます。昨日のお話と今日のお話は子供の中ではきっと違うはずです。子供が毎日同じおもちゃを飽きずに楽しんでいるのと同じなのでしょう。一つの物語をじっくり楽しみ、広げていくことで想像力もついていくのではないでしょうか。また、自分の知り尽くしたお話を再度読んでもらうことは、安心できる世界にひたれる心地よさを感じることができ、心の安定につながります。

時には大人の方から他の本を「この本も同じ位おもしろいよ」という働きかけがあって良いと思います。それによって子供の読書に幅がでてきます。しかしそれも、子供の要求を満たしてあげてからでも遅くはないでしょう。

第1号 なぜ、本をすすめるの?

本を読まないでほしいと願う親はいないでしょう。では、なぜ本を読んでほしいと思っているのでしょうか。本を読むとどんないいことがあるのでしょう。

子供は本を読むとその中の主人公に同化し、自分もその主人公と同じ体験をしていくという柔軟な心をもっています。「ぐりとぐら」を読むと自分もぐりと同じように卵を発見して喜び、拳でたたいて割れなくて「お~手がいたい」と感じます。そしてみんなと一緒に出来たてのかすてらを食べる喜びを味わいます。

このように子供は本を読む(読んでもらう)ことによって経験を積んでいくことになります。子供はまだまだ狭い世界に生きていますから実体験はかなり少ないはずですが、本の中でいろいろな場面に直面し、その経験を自分の心に蓄積することによって人の心を理解し、思いやりを持ち、また人の悲しみが理解できるようになります。

いじめや少年犯罪など、子供に関する不安が増している時代ですが、こんな時代だからこそ本から豊かな経験を与え、強くたおやかな心を育ててあげたいと思います。

あっこちゃんのQ&A

質問

テレビがあれば本はいらない?

回答

テレビと本の違いは何でしょう。一番の違いは情報の流れの違いだと思います。テレビは個人の都合にかかわらず情報が一方的に流れてきますし、そのスピードや量を調節することもできません。一方本は、自分の思う通りに好きな所を何度も読んだり、前に戻って考え直すことも可能です。こういうところから私達は物事をじっくり考える力を身につけていくのではないでしょうか。また、本は自分で自由に想像をめぐらせ、個人個人のイメージで楽しめるのもいいですね。

第0号 「本のほかほかだより」をはじめま~す

本の好きな子供に育ってほしい、良い本をたくさん読んでほしい。親であればだれでもそう願います。では、なぜそう思っているのでしょうか。本を読むとどんないいことがあるのでしょうか。

楽しい本を与えてあげたいと思っても、どんな本を選んだらいいのでしょう。本屋さんにいってもあまりにたくさんの本の中で悩むことはありませんか。

本を読むときはどんな風に読めばいいのでしょう。同じ本を何度も読んでと言われたらどうすればいいのでしょう。

この「本のほかほかだより」はそんな時にちょっと参考になることをお知らせしていくとしょかんからのレシピです。どうぞ手にとってみてください。疑問点などありましたら、お気軽にこどもとしょかん職員までまでお尋ねください。

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