4 ぎょうとくかどうせき(行徳可動堰)

4 ぎょうとくかどうせき(行徳可動堰)

「ぎょうとくばし」という「はし」のすぐちかくに、「ぎょうとくかどうせき」があります。「ぎょうとくかどうせき」は、みずを、せきとめる「すいもん」です。ふだんは、江戸川放水路(えどがわほうすいろ)のみずが、じょうりゅうに、いかないよう、せきとめています。江戸川放水路(えどがわほうすいろ)のみずは、うみのみず(しおみず)なので、じょうりゅうに、いってしまうと、すいどうのみずや、こうじょうのみずを、つくるときに、よくないからです。
あめがたくさんふって、えどがわのみずが、いつもより、おおくなると、すいもんをひらいて、えどがわのみずを、江戸川放水路(えどがわほうすいろ)にながします。えどがわのみずが、あふれると、まちが、こわれてしまうからです。たくさんのみずが、江戸川放水路(えどがわほうすいろ)にながれます。でも、江戸川放水路(えどがわほうすいろ)の、いきものは、すみっこに、にげるので、だいじょうぶです。いっしょに「どろ」がながれてきて、その、どろは、ひがたの、どろになります。

放水路として開削された江戸川放水路には、当初から江戸川本川と隔てる堰が設けられています。堰は、海水の遡上を防ぎ、増水時は江戸川の水を江戸川放水路に流すことが役割です。
海水は、大潮の満潮時は、堰がなければ流山市付近まで遡上すると言われています。そのため、水道用水と工業用水の原水に塩分が混じらないように堰で海水の遡上を止めています。いわゆる「潮止めの堰」としての機能です。
当初の堰は、「固定堰」と呼ばれる、要するに土手でした。大潮の満潮の水位よりも土手が高ければ、海水の遡上は防げます。一方で、増水した江戸川の水は容易に土手を乗り越えます。必要な役割を果たすことができました。
その後、円筒形の水門が3基ある可動式の堰になりました。これが行徳可動堰です。普段は円筒形の水門を下げて海水の遡上を防ぎ、増水時は水門をワイヤーで上げて水を流下させます。円筒が回転する形式は珍しく、「ローリングゲート」の名で関係者に親しまれました。その後、堰板は円筒ではなく平らなものになりました。
行徳可動堰には、長く行徳橋が併設されていました。そのため、行徳橋という言葉が行徳可動堰と同義のように使われていました。その後、行徳可動堰のすぐ上流側に新しい行徳橋ができ、両者は別々の施設になりました。
行徳可動堰が開放されると、増水した江戸川の水が江戸川放水路に流れ込みます。大雨の時ですから、流れてくるのは泥水で、流木や草木も大量に混じっています。泥はアサリ漁に影響し、流木などは沿岸の施設に影響します。一方で、流れた泥はやがて満ち潮にのって干潟に届けられ、干潟の維持に貢献します。
なお、行徳可動堰の両脇には小さな口があって、江戸川の水が江戸川放水路に流れ込んでいます。これは「維持流量」と呼ばれる水で、定められた量を江戸川放水路へ流すことが決められています。維持流量は、ひどい渇水で川の流量が激減しても、どうしてもこの量だけは流し続けたい、という河川の機能を最低限維持するための水量です。江戸川から江戸川放水路へ流れるのは維持流量分の水だけです。雨が降って江戸川をたっぷり水が流れ下ってきても、江戸川放水路へは維持流量分しか流れず、残りは全て旧江戸川へ流れていきます。
旧江戸川は、もともとの江戸川の流路です。江戸川放水路を「江戸川」に名称変更した時に、そのままだと「江戸川」が2つになってしまうので「旧江戸川」になりました。ただ、いまなお江戸川を流れてきた水は旧江戸川へ流れ、歴史的にも江戸川そのものであった川です。そこに「旧」をつけることに対しては、違和感を持つ市民もいたようです。
江戸川放水路と同様、旧江戸川にも水門が設けられています。堰板が横一列に並んだ「水門」と、流路の前後に1枚ずつある「閘門」です。通常は、合わせて「江戸川水閘門」と呼んでいます。
水門はゲートが5基あり、組み合わせて開閉することで江戸川から旧江戸川に流れる水量を調節します。基本的には東京湾が引き潮のときに水門を開けて水を流し、満潮になると水門を閉めて海水の遡上を防ぎます。また、上流で雨が降っていない時は、流してしまうと水位が下がって水道水や工業用水の原水を取水口から取り込めなくなる恐れがあるので、流す量を絞ったり、干潮時でも流さずにためたりします。満ち潮、引き潮、上流からの流量などを考慮して操作が行われています。
閘門は、船を通すための施設です。例えば干潮時に水門を開けずに上流側の水位を高く保っているときは、水門の前後で大きな水位差ができます。2基の堰板に挟まれたプールのような場所に船を入れ、そこに水を入れたり抜いたりして水位を船の進行方向の水位と合わせてから送り出します。花火大会の時などは、狭い閘門を順番に通ることになるので、屋形船の渋滞が起こってしまいます。

行徳可動堰と江戸川水閘門の位置図
ぎょうとくかどうせきが、あるばしょの、ちず(行徳可動堰と江戸川水閘門の位置)
行徳可動堰の写真
ぎょうとくかどうせき(行徳可動堰)
江戸川水閘門の写真
えどがわすいこうもん(江戸川水閘門 左が閘門 右が水門)

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