6 トビハゼ

6 トビハゼ

江戸川放水路(えどがわほうすいろ)には、たくさんの、いきものが、くらしています。そのなかで、いちばんの、にんきものは、トビハゼです。
トビハゼは、さかなの、なかまです。江戸川放水路(えどがわほうすいろ)の、ひがたで、くらしています。でも、さかななのに、みずのなかには、いません。さかななのに、みずが、きらいです。どろのうえで、ピョンピョン、とびはねています。カエルみたいです。

干潟は、一日のうちで水中と空気中という2つの環境が入れ替わる特殊な場所です。有機物が流れ着き、浅い水深で太陽光が水底まで届くため多くの生物が生息していますが、それらのすべてが、入れ替わる環境に適応しているわけではありません。干潟の水たまりにいる魚や、泥の中にいるゴカイ類や二枚貝は、水が無くなってしまったので仕方なくそこにとどまり、次の潮が入るまで耐えています。潮が引いた干潟で活動するわけではありません。
逆に、干潟の泥に出てくるアシハラガニやクロベンケイガニは、干潟よりも陸地側のヨシ原に生活拠点があり、出現した干潟を陸地の拡大ととらえて、採餌などに出てきます。潮が満ちれば、陸地側へ移動します。
トビハゼは、潮の満ち引きに対する行動パターンはアシハラガニに似ていますが、潮が引いた干潟に生活拠点があります。泥の上で餌を捕り、泥に巣穴を掘って繁殖します。潮が満ちると仕方なくヨシ原に退避しますが、それは耐える時間であって、生活は潮が引いた干潟が中心になっています。
魚でありながら体を空気にさらし、浮力がかからない泥の上で行動するために、トビハゼには独特な体のつくりがあります。ひとつが、皮膚呼吸の能力が高く、呼吸の多くを皮膚呼吸に頼り、エラ呼吸の割合が低いことです。そのため、鱗は小さくて目立たず、逆に体表が発達して毛細血管が張り巡らされています。ただ、体表が乾いてしまうと皮膚呼吸ができなくなるため、常に液体の水が身近に必要です。干潟の地形が平らなお皿のようであれば、液体の水は泥の上に多く存在できます。トビハゼは、干潟でも特にそういう場所に多く生息します。
もうひとつが、陸上で行動するための体です。全身の骨格はしっかりとしていて、胸ビレは前足のように動きます。腹ビレは癒着して体を支える吸盤となっています。泥の上で姿勢を保つときは、胸ビレと腹ビレ、体の後部の4点で腕立て伏せのようにします。この姿勢はハゼ類で多く見られますが、トビハゼの場合は浮力がかからない空気中です。強い骨格で支えています。泥の上で胸ビレを動かして前進し、体の後部をひねってジャンプするという行動も、しっかりした骨格に支えられています。

トビハゼの写真
トビハゼ
トビハゼの巣穴の写真
トビハゼのすあな(トビハゼの巣穴)

動画 江戸川放水路のトビハゼ

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