4 みず(湧水)
4 みず(湧水)
長田谷津(ながたやつ)には「ゆうすい」があります。ゆうすいは、つちのなかからでてくる、しぜんのみずです。ゆうすいは、「わきみず」と、だいたいおなじいみです。
ゆうすいは、たにのしたのところからでてきて、ながれます。ちいさなかわになったり、ちいさないけになったりします。
あめがふると、あめがじめんにしみこんで、なんじゅうねんもたってから、でてきます。そのみずが、ゆうすいになります。
長田谷津(ながたやつ)には、ゆうすいがあるので、くさや、きが、げんきです。あめがふらなくても、にんげんがみずやりをしなくても、みずがあるからです。
長田谷津の生態系は、斜面裾からしみ出す湧水を軸に形成されています。地下水面は長田谷津の下流側で標高12メートル、最上流部で標高16メートルの位置にあり、谷底の標高よりも地下水面がやや高くなっています。そのため、地下水が地表に現れます。また、北総線大町駅の北側の台地には地下水面が標高22メートルを超す場所もあります。この地域に、豊富な地下水があることがわかります。
湧水は、植物を起点とする食物連鎖を支えています。また、川や池、浅い湿地など多様な水辺を生み出し、多くの生き物に生息場所を提供します。湧水が枯れても乾いた陸地の生態系はできますが、それは、現在の長田谷津の自然とは全く異なったものになります。
湧水は、台地上に降った雨水に由来します。それが地下に浸透し、数十年後に流れ出します。長田谷津の周辺の台地上は梨畑で、土の地面です。そのため、降った雨がそのまま地下に浸透します。農地に由来する水なので窒素などの成分が多くなっていますが、そのことが生物に影響している様子はありません。農地に由来することで生じる水質の問題と、農地が無くなることで生じる地下水の枯渇をくらべれば、農地の存在がいかに大切か、明らかです。